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[生前] 極度のお人よし。家族は全員戦争の犠牲となって死去しており、 できるだけ多くの人が同じ悲しみを受けないことを願い、傭兵となった。 能力こそ低かったが、人望に厚く、その真っ直ぐな正義感に感化される者は少なくなかった。 しかし、その思考は戦争をしている者からすれば邪魔以外の何ものでもない。 正義感の伝染を嫌った上層部はその芽を摘み取ることを選んだ。 戦場を渡り歩いている最中、羽休みに逗留していた小村でそれは行われた。 暗殺者へは彼を狙ったことを悟られないために彼だけでなく村民をも皆殺しにするよう告げられており、 そして一人の例外を除いてそれは実行された。辛うじて守り抜いた一人の少女。 その小さな背中を目に焼き付け、太楠善人はその生涯を閉じた。 [死後] 埋葬されてから、十五年の年月が過ぎたその時、それは起こった。 土の中、本来ならば骨しか残っていないはずの肉体はゆっくりと再生され、 完全にその身が治りきったことをきっかけに停止していた心臓が再び動き始めたのだ。 蘇った肉体にはブラム＝ストーカーのシンドロームが目覚めており、 本人の意志とは関係なく、能力者としての傭兵生活が始まった。 ただし力に目覚めてから短く、まだまだ使いこなせておらず、 自らの血から人型を作り出し、それを盾とする程度のことしか出来ないお粗末な物だ。 しかし、そのようなものだとしても、これで今までより多くの人を救えると喜んで受け入れている。

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