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一人称「俺」 Good morning ALL HO重病人 文系の国立大学に通う四年生の男性。ぼんやりと作家になりたいなーと思っていたが、就活をして地元の工場に内定を貰った。身体を動かすのはそこそこ得意だし、働きながらでも趣味の範囲で執筆は続けられるだろうと思ったから。 自分から人に話しかけることは少ないが親しくなった友人とはよく話す。大学で知らない人が話しかけてきても人懐こい笑顔で対応するので第一印象で嫌われることはまず無い。 昔から流れに身を任せればなんとかなってきたため、これからもとりあえず普通に幸せに生きていければいいなと思っている。好きなゲームの続編や週ごとに更新される漫画の続きでも楽しみにしながら。 医者から余命は残り数日だと告げられた時、世界がぐらりと崩れていくような気がした。震える手を握りしめて、死にたくないと強く思った。けれど自分よりも隣にいた両親の方が酷く動揺して悲しんでいたものだから、弱音も本音も隠してただ「大丈夫」と根拠のない強がりを口にして笑った。 「俺は死なないよ」 とある奇跡の話を知って、イギリスのゴーツウッドに行くと両親に伝えると二人は悩んだ後、笑顔でいってらっしゃいと言ってくれた。昔から彼らは自分がやりたいことを否定しないでいてくれた。余命僅かな息子の望みであれば尚更だったのかもしれない。けれど言葉にこそしないものの両親の顔にはさいごになるのなら家族で過ごしたいという想いがありありと浮かんでいた。自分も出来ればそうしたかったし、両親のことは大好きだったが、いつも明るかった二人が自分のことで悲しんだり過度に心配してくるのを見るともうすぐ死ぬ現実を突きつけられているように思えてそれが辛かった。だから両親と離れて少し前の自分だったら信じなかったような奇跡に縋ろうと思った。 死ぬつもりはない。これが両親との最後の別れになるわけでもない。初めての一人での海外旅行を楽しんで、帰ってくるだけ。そうしたらまた家族三人で笑って、幸せに生きていけるはずだから。 病気がわかった後、人の前では弱さを見せないように振る舞っている。血を吐いても身体に激痛がはしっても、心配する両親には大丈夫と強がる。一人きりの時は不安と恐怖で死んだような目をしながら、きっと今日こそ奇跡が起きるはずだと願っている。

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