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カストル・アトリエ 「ポラリス落つ」HO1/ジョバンニ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ あなたは痛みを知っている。 かつて唯一のジョバンニを失った元カムパネルラだ。 ショックのあまり歌声を失って久しい。〈芸術(詩歌)〉が自動失敗となる。 語ることは代えのきかない心の慰めであり、周囲の助力もあってか、なんとか職務に復帰することが叶った。 前のジョバンニは、為す術もなく立ち尽くすあなたの目の前でパニックに陥り狂い死んだ。 もう二度と、同じ過ちは繰り返さない。 〈精神分析〉に+40%の補正を得る。 あなたは新たな相棒とともに、世界中の物語を書き記さなければならない。 -------■職業 古物研究家ベース（シナリオ指定） 　芸術(執筆)、図書館、値切り、他の言語(英語、漢文、ラテン語など)、目星、聞き耳、心理学 -------■特徴表 ①信頼のおける人 　任意のコミュニケーション系技能3つに+10％ 　　∟＜母国語＞＜その他の言語：英語＞＜心理学＞ ②急速な回復力 　耐久力を回復するロールの結果に+1 -------■名前の由来 双子座、カストルとポルックスから。 アルファ星のカストルは光度1.6等と、一等星の仲間入りが出来なかった星。 これに対してベータ星のポルックスは1.2等。 アルファ星よりもベータ星のほうが明るいというのは少々奇異なことだが、これはカストル座とポルックス座が二つに分かれていたのを、のちに一つにまとめたため。 そのため兄のカストルのほうが暗いにも関わらず、アルファ星と決まったようだ。 （引用元：やさしい星座の見かた/山梨賢一） -------■備考 唯一の家族であり、パートナーでもあった片割れ「ポルックス」を失ったことが原因で失声症を患う、元カムパネルラ。 心因性のそれは回復の見込みがなく、現在は特注の携帯機に記録された機械音声に言葉を乗せ、周囲とコミュニケーションを交わす。 その見た目はとても痛々しい。右目は半分ほどしか開かず、顔中は傷痕だらけ。 衣装で誤魔化しているものの、あちこちに自傷したような痕がある。 性格は暗く、またとても大人しい。 醜い容姿をあまり人目に晒さないようにしているのもあるが、パートナーを失ったショックからか、今でも周囲と一歩距離を置きがち。 しかし仕事は仕事なのと、元来は穏やかで心優しい性格なのもあり、邪険に扱うというよりはただコミュ傷になっている模様。 機械音声は老若男女問わず、周囲のありとあらゆる人の声を組み合わせ、作成されている。 これは暗に、自分の声で伝えるものはもう何もないと意思表示でもあるが……。 その理由を語る声は、カストルにもう存在しない。 ////// ＞＞＞【Castor・Atelierの半生】 家族といっても、カストルにはきょうだいどころか、両親すらいない。 何が原因だったのか、物心つく前に孤児院に預けられた彼は、ひどく孤独に怯えるようになった。 決して周囲からひどい扱いを受けていたわけではなく、潜在的なものか、運命がそうしているのか、彼はとにかく何かを欲するように、常に「だれか」を探していた。 やがて、彼の元に一人の”弟”が現れる。 ”弟”は誰よりも勇ましく、またとても丈夫な子だった。 それが理由だったのか、あるいは、やはり運命ともいうのか。 カストルは鮮烈なまでに自分を惹く”弟”を求め、愛し、その激情ともいえる感情を詩に綴り、歌った。 また”弟”も、まるでずっと前から同じであったかのように、カストルを愛し、その心を言葉に乗せ、語り聞かせる。 彼らはほんとうの双子ではない。 けれど、身を焦がすような感情は、昂る心は確かに自分達に強い繋がりがあることを示し、それをひたむきなまでに信じた。 今世でも、あの星々のように共に在り続けようと。 叶うならば、死ぬときまで共に在ろうと。 図書局へ入局したのは、巡り合わせ、そして育ててくれた孤児院への恩返しだった。 孤児院の中でも身体・教養が優秀であった双子は、親代わりであった大人たちに感謝を示し、自分達の能力を生かせる場所へ羽ばたいていく。 しかしある時の任務で、自分達と同じきょうだい、あるいは双子の神――グレート・オールド・ワンを目にする。 脅威を切り抜けた先に待ち受けていたのは漆黒の太陽、その中に絡み合うように閉じ込められた二対の冒涜的な双子だった。 恐怖で立ち尽くすカストルを前に、ポルックスは叫ぶ。 あれらが離れた時、世界は滅び、そして浄化される、と。 その後、なんとか帰還を果たしたカストルの横に、”弟”はいなかった。 のちに回収された遺体は目が潰れ、喉は割け――とてもその人とは思えない姿だった。 カストルは半身ともいえる弟を失ったショックから、声を失う。 あの時の弟の叫びの残響と、なによりも愛を綴り、歌う相手がいなくなったことが原因だったのだろう。 カストルにとって歌うことはポルックスへの想いを伝える”手段”であり、それはカムパネルラの役割とたまたま一致していたに過ぎない。 声を失い、歌うことが出来なくなったカストルは、ストレスから頭を打つ、手首を切る、目を潰そうとする。 挙げ句には、震わない声帯を壊そうと、拳銃を咥えたこともあった。 しかしそれでもどうしてか死にきれず、また彼の周囲も兄だけでも生かそうと、必死に手を尽くした。 あの星々のように在ろうという願いを叶えようとした。だが、あと一歩、死にきれない。 まるで神話の中にいる、不死身の弟のように。 どんな傷を負っても、カストルは生き続けた。 呪いじみた生に、カストルは光を見出せていない。 しかしそれでも生き続けてしまう己の生に、絶望もしきれていない。 もしこれがポルックスの遺した呪いであるならば、甘んじて受け入れよう。 もしこれがあの二対の神が与えた呪いであるならば、神話の中の弟のように、願おう。 カストルは筆を取り、言葉を綴る。 今世でも弟と共に、あの輝く星になりたいと。

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