タグ： 天秤

どんな絵本を読んでも、俺と同じ腕の生き物はいなかった。 それでも、嫌だとは思っていなかった。 「あなたは素敵な子ね」 母の言葉が真実だと思っていた。 父は母と子を閉じ込める。 それが普通だと思っていた。 「あなたと私を守るためよ」 母の言葉が本当だと思っていた。 あの日までは。 俺を引き取りたいという男が現れた。 父親は俺を化け物と言い、母の言葉を否定した。 母と俺は引き離され、俺は初めて部屋を出た。 部屋から出た俺がしたことは、破壊に次ぐ破壊。 俺を化け物と呼ぶ人間に対する、躊躇のない暴力。 それが普通だと言われた。 男はFHエージェントだった。 任務に失敗し、処理されそうになった俺を救ったのは、敵だった女の人。 俺の腕を見て、「素敵ね」と笑った。 それが、フリップトリックとの出会いだった。 FHチルドレンだった俺はUGNに保護され、教育を受けた。 常識、自分が異常であること、自分がしていたことが異常であること。 UGNは、俺に「忘れる」という選択肢をくれた。 でも俺はそれを拒んだ。 俺と同じ人間を増やさないという決意が揺るがないように。 そして、化け物になってしまっていた俺を人間にしてくれた人がいることを、 母と同じ言葉をかけてくれた人がいるということを忘れないために。 ───── 左腕に無数の魔眼を持つ。 その異様さから父親に監禁されて育ち、一度はFHに引き取られた。 常識を知らないままFHチルドレンとして行動していたが、任務に失敗。 隠蔽のため消されそうになったところをフリップトリックに救われる。 UGNに保護され、現在はチルドレンとして活動中。 フリップトリックは命と心の恩人であり、心から尊敬している。 無数の魔眼を持つ腕を増殖させて戦うスタイルと、閉じ込められた過去、そしてFHに反撃する者“ダブルクロス”であるという立場から、ティタノマキアにてオリンポスを勝利へと導いた巨人達に準え、ヘカトンケイルというコードネームを与えられた。 コンボについて 『コットスの進撃』 "突く者"の進撃の如く、鋭利に硬化させた左腕にて敵を貫く。 『ブリアレオースの猛攻』 "強き者"の猛攻の如く、増加させた左腕による殴打を繰り出す。 『ギューゲースの強襲』 "多腕多足なる者"の強襲の如く、周囲の空間をねじ曲げて自らの存在を多重化させ、複数の敵に対して「すべての左腕による攻撃」を同時に叩き込む。 『巨なる神/時の神を穿つ（クロノス・クラック）』 左腕の魔眼がすべて瞬き、時を封じ込める。 UGNに所属し、"凝視する腕（ヘカトンケイル）"のコードネームを与えられてから発現したエフェクト、《時の棺》。 ギリシャ神話においてヘカトンケイルを幽閉したティタンの末弟クロノスと時間神クロノスは度々誤って同一視されるが、本来は全く別の個体である。 ヘカトンケイルを名乗るオーヴァードに時を歪ませるエフェクトを発現させたのは、世界中の人間に宿るレネゲイドの集合知に生じたバグであろうか。 その真偽はさておき、"誰かを守ることができるエフェクト"が発現したのは、少なからず彼の目指す姿が影響しているのであろう。

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