タグ： 亜月式NPC 振斗 あなたがくれた拍動の熱 闇バンド

︎︎ ︎︎︎ わたしのことがこわいのは、 あなたがひとりぼっちだから。 あなたがひとりぼっちなのは、 ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎だから。 特徴:行方不明の家族、大切なもの(増加P50) 職業:ファッション系芸術家 職業ポイント:EDU×10+DEXまたはPOW×10 職業特記:流行に敏感。相手の服装を見ただけで、社会的地位や収入などがわかる。さりげないアクセサリーの価値もわかる。 年収:350万円 財産:1750万円 Miss Mary(ミス メリー) 都市伝説「メリーさんの電話」を担当する、闇バンドのドラマーをしている少女。少女といってもそう語られているだけで実年齢は不明だが、その呼び方が最も適している見目であることは確かである。 黒と赤を貴重にしたゴスロリ服を身に纏い、演奏時以外は(ステージに余裕があれば)常にパゴダ傘を差している。表情がほとんど変わらないこと、気品溢れる立ち居振る舞いをしていることなどから、彼女の姿を見て人形らしさを想起するのはそう困難なことではないだろう。 演奏時もそれ以外でも必ず他のメンバーより少し後ろの位置に佇んでいる。同時に特別無口でもあり、必要に駆られない限りは何も語らず、言葉を発する時も口数は最小限。総じて限りなく大人しい挙動をしているわけだが、それゆえに異彩でもあり、存在感が他メンバーに押し負けてしまうこともないようだ。 メリーが彼女自身について話す機会が多くないため、有名な都市伝説を担当するわりに確定している情報は多くない。ハッキリしていることといえば、司る恐怖の形が「孤独」であること、一人でいることが彼女に狙われる条件だということ、メリーは他のバンドメンバーであるThe bloopに"拾われた"ということ、だけである。 といっても、元の都市伝説とメリーのふと零す発言とを照らし合わせて生まれた通説は存在している。 メリーは時たま「あなたもひとり」という言葉を投げかけることがある。そういう時、彼女は決まって「あなた"も"」と発言している。 「メリーさんの電話」とは、元はといえばメリーさんという名の捨てられた人形にまつわる怪談話であった。メリーがこのメリーさんと同様の経歴であるのならば、持ち主に捨てられた人形であるメリー自身が深い孤独に苛まれているのではないか。狙った人間を「あなた"も"ひとり」と評し、一人でいる者のみを恐怖に陥れるのは、メリー自身が孤独に耐えかね自分と同じ境遇の者を引きずり込もうとしているのではないか……。 と、いうのが囁かれたり囁かれなかったりする憶測である。メリー自身の口からそれが真実であるとは未だ語られていないが、目立った反証もないため決して的外れな妄想ではないだろう。 ちなみに、ドラマーとしての腕前はなかなかである。どう見ても適していなさそうな衣装で表情を大きく崩さないまま鮮やかなスティック捌きを魅せてくれるので、それもまた魅力的なギャップとなっている。 さて、そんな彼女の舞台裏の姿だが。 実年齢は25歳、ゴスロリ系アパレルショップ店員の傍らバンド活動をこなす女性である。 ステージ上の静かな人形はどこへやら。素はかなり明朗快活で、よく喋りよく笑う。自分を魅力的に魅せることを心がけており、自信に溢れた笑顔もそういった一面を伺わせるだろう。とにかくポジティブで気持ちのいい性格なので、舞台開始前の緊張した様子の他メンバーを励ますのも彼女の役目の一つになりつつある。 メリーの少女的な外見に反して日頃はマニッシュな印象で、中性的なゴスロリ服を愛用している。それに合わせて靴も変えているため、普段はメリーでいる時よりも少し背が高くなるらしい。最近はゴスロリを愛するあまり服の自作も始めたとのこと。 ここまでで既にお分かりの通りゴスロリを中心にファッションをこよなく愛しており、バンドの衣装に関しても積極的に提言している。それどころかメンバーの普段着でさえ色々着飾ろうとしてくる。それはどうなの？ また、高校生の頃からU子(ゆーこ)というユーザーネームで叩いてみた動画(ドラム演奏動画)を投稿している。どう見ても演奏に適していなさそうなゴスロリ服でドラムを叩くのはこの頃から変わらないらしい。とはいえ学生時代は(所持金の都合で)現在よりは全体的に控えめな衣装である。 一応メリーとして演奏する際は彼女なりに気をつかっていて、普段の演奏ほど動きが激しくならないようにしている。ただし完全に別人になり切れることはもちろんないので、見る人が見ればメリーとU子が同一人物であることは分かってしまうかもしれない。 彼女を語るベき大事な要素として、生粋の悪役オタクであるということも挙げられる。 U子は悪役の有する特異な雰囲気に惹かれた。始まりを遡れば、(悪役という訳ではないが)セーラームーンのタキシード仮面に辿り着く。主人公と対する者が持ち合わせる、それにしかない独特の存在感。それに魅力を感じた幼少期をきっかけに、あれよあれよという間に悪役にハマっていき、沼に浸かれば浸かるほどストライクゾーンも拡張され、今では立派な悪役オタクと相成った。 この様な趣向のため、悪役の中でも矜恃であったり品であったりプライドであったりを漂わせるタイプが特にぶっ刺さるらしい。なんならゴスロリという品のあるダークさが魅力の服装を好んでいるのもこういった趣味に由来するところだと思われる。 ​─────── その人は、よく煙草を吸っていた。 煙を深く吐き出しながら、スティックを撫でながら、同じ夢の話を何度も何度もあたしにしていた。 あたしはその話を聞くのが大好きで、同じくらいにその人のことが大好きで、 ママは、そんなパパと煙草のことが嫌いだった。 ​─────── あともう少しで、この活動を始めて10年になる。 見つけたいものはずっと見つけられないまま。それでも、何も手に入らなかったわけじゃない。 見てくれる人が増えて、嬉しくなる言葉もたくさんもらった。たまにキツいことも言われたけど、それだって糧にできたから今がある。 両手のスティックを操って、それで叩いて音を奏でて、そんな動きを数え切れないほど繰り返すごとにこの名前が羽ばたいていく。 あたしにとって、それは何よりも尊い瞬間だった。 結子って名前、昔からずっと好きだった。でも、好きだったっていうそれだけがこの名前の理由の全部じゃない。 この名前が好きなのは、意味が素敵だとか、今っぽくないのが逆にイイとか色々あるけど、多分そういうのって本当は全部後付け。 あたしは、あたしに名前を付けてくれたママとパパが大好きだったから、あたしの名前が好きなんだ。 そんな名前、考えてくれた名前を使っていたら、いつかまた会えるんじゃないかって。 それこそが、あたしのこの名前の理由。 ​─────── 離婚の原因はパパの不倫だった。 パパはあたしに「ごめんな」って言ってくれて、でもそのときの顔は上手く見えなかった。 ママとパパの会話を盗み聞きしてわかったのは、不倫相手の人はママより若くて、パパの夢を応援してくれてたということ。 パパは昔からドラマーを目指していて、でもなれなかった。だからサラリーマンをしてるんだって、よく聞かせてくれたから知っていた。 ママはパパのことが嫌いだった。上の弟もパパのことは嫌いみたいで、下の弟はそのときまだ2歳だった。 だからそのとき、パパとさよならしたくなかったのはあたしだけで、ママもそれがわかってたからあたしには話しにくそうにしてた。 あたしはパパもママも大好きだったから、どちらかとしか一緒にいられなくなるのがすごく悲しくて、それからしばらくはずっと泣いていた。 あたしがずっと泣いてるもんだから、パパが自分のドラムスティックをくれた。 あたしは毎日それを抱きしめて、やっぱり泣きながら眠りについていた。 ​─────── 家にあったドラムが消えてからも、あたしはパパに叩かせてもらったそれへの憧れが消えなくて、ずっと机か何かを代わりにして打音を奏でてた。 多分、ママはあたしに諦めてほしかったんだと思う。でも結局、諦めたのはママの方だった。 あたしはお小遣いとバイト代をどうにか貯めて、ようやく自分用のドラムを手に入れた。学校の備品だけじゃ味わえない、最高の嬉しさ！ 嬉しくて嬉しくて、あたしはお母さんに怒られるまで、怒られてもずっとドラムを叩いてた。 それからしばらくして、あたしもよく見る動画みたいに自分の演奏を投稿してみたいって思った。 そのとき、ふと思いついた。 パパがくれたスティックと、パパがくれた名前で演奏したら、パパはまた、あたしを見つけてくれるんじゃないかって。 もう一度、パパに会えるんじゃないかって。 ​─────── まっ、結局今日までパパとは会えなかったんだけどね！ でもね、いいの。だってあたし、もう寂しくないもの。 ねぇ、パパ。パパってほんとに悪役みたいね。 ママに嫌われたり、子供に嫌われたり、そもそも子供に覚えてもらえてすらなかったり。 去り際だってそう。結局相手の人とは上手くいってるの？自分の夢を応援してくれたんでしょ、ちゃんと大切にしなきゃだめだからね。 ねぇ、パパ。パパは残したいものを何も残せなかったって、ずっと嘆いていたけどね。 あたしは、あなたがくれたリズムで観てくれる皆を熱くさせられるの。 あたしは、あなたがくれたドキドキで人生に熱を灯すことができるの。 きっと全部、あなたがくれた贈り物。 今でもずっと、あなたのことが大好き。パパもあたしを好きだったかは、正直わかんないけど。 でも、一つだけ確かなことはある。 パパも、あたしと同じように、音楽が、ドラムが、大好きなんだよね。 あのね、寂しくないって言ったし、それは嘘じゃないんだけど。 また会いたいって、今でも思ってるからね。 あたし、もっともっと高くへ羽ばたきたいの。もっともっと遠くに行きたいの。 そうしてどんどん大きくなって、いつかどこからでも見えるようになってみせるから、 パパの大好きなドラムの音、どこまでも届けてみせるから、 そのときは、またあたしのこと見つけて、会いに来てね！ ​─────── 『お姉ちゃ～～～ん！！！☆ 久しぶり！！！ねえ～めっっちゃライブ最高だったんだけど～！！！！♡』 「歩～～久しぶり～～！！！ありがと～～～！！！！♪　歩のこと見つけてたよ～～めっちゃ嬉しかった～～！！！！」 『ホント～～！！？☆ ぼくもお姉ちゃんが歓声浴びててめっちゃ嬉しかった～～～！！！！♡』 「や～～んも～～～ありがと～～～！！！！♡」 ​─────── バンド名:Miss Mary(みす めりー) ハンドルネーム:U子(ゆーこ) 本名:葉山 結子(はやま ゆうこ)

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