タグ： 海も枯れるまで

すらりと長い手足に甘いマスクで、10代の頃よりなるべくして芸能界に入った。 子役、モデル、俳優、どの分野でもトップクラスの成績を残し人気を博している。 外資系企業でバリバリ働いている両親は、養成校の多額な費用をポンと出して好きなようにやれば良いと放任し、以後活躍にも無関心。決して不仲ではなく、子育てに向いていない人たちなのだと理解している。 人当たりもよく現場での好感度も高い好青年で通っているが、グループアイドルのオファーだけは頑なに断り、共演者に私的なSNSに写真が載ることなどを嫌がる傾向がある。常に一線引いた距離感を厭う人もいれば、スキャンダルには無縁のため芸能人向きだと評価する人もいる。 ・自殺願望について 何に恵まれなかったという訳でもなく、むしろ人から羨まれるスペックを持ちながら、それになんの価値も見出せないまま生きてきた。 努力する友人よりにこりと微笑むだけで評価の上がる自分。一つ仕事をこなすたびに悪口を賞賛に代える他人。本当に価値がないのは世界の方かもしれないが、この世をつまらないと思う自分こそ異質で、この世から価値を引き出せない自分こそ不要だと、どこか傲慢な儚さを常に抱えている。 現在は人気も右肩上がりだが、下がらないうちに幕を引くべきだと、良い自殺方法・スポットを模索するのがこの頃の日課。損害賠償が発生するような賃貸の自宅（現在住んでいる都内のタワマン最上階は買い切りだが建物自体は賃貸）は絶対にNG。 第一候補はやっぱり飛び降りなので、他人に迷惑がかからず程よい高さで即死できる場所をロケのたびに散策している。跳躍を鍛えている。 モチーフは西行法師

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