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華覡 文美/かげき ふみ(27) 【誕生日】8月14日 【家族構成】父、母、兄 【好きな物】物語 【苦手なこと】人を愛すること 物静かでミステリアスな雰囲気を持つ女性脚本家。 小さな頃から絵本や小説など物語に触れる事が好きで、物語の中に出てくるものは全てに魅了され、それ等をずっと愛していた。 しかし、そんな昔から好きだった物語とは裏腹に現実はそう上手くは行かなかったようで、兄はプライドが高い上に人間よりも動物等の方が好きな変人であり、更に両親は子育てが好きではなく半ば育児放棄のような物をしているような状態であった。 そんな周りの影響か否か、そんな環境の下で生まれ育った彼女は次第に現実に夢を見ず、ただただ物語の中に浸る日々となっていった。 そうしていると、彼女は次第に周りとの関係性の構築をしなくなっていき、そんな彼女に周りも近寄ることが出来ず孤立していくこととなる。 しかし、そんな彼女に1人、めげずに何度もアプローチをかける存在がいた。それが彼女の幼馴染である。幼馴染は男の子で、文美の事に純粋に興味があり、彼女か本を読んでいるのを見れば話しかけてくるようになった。 文美もそんな幼馴染の事が嫌いではなく、そのまま保育園を上がり小学生になり、中学生になってもアプローチをしてくる彼の事を邪険に扱う事はしなかった。とはいっても、好きというわけでもなかったようだが。 そんな幼馴染は次第に文美と接していくうちに惹かれていき、中学のある頃勇気をだして告白するが、文美はその頃にはもう人の愛し方が分からなくなってしまっていた。それを幼馴染に告げれば、それでもいいから付き合って見てくれないかと猛烈に押され、そのまま文美と幼馴染との交際は始まった。 が、しかし、何年経てども文美は彼に対する愛を抱く事は叶わず、高校を卒業する頃には彼と別れてしまうこととなる。 そこで彼女は、それだけで終わらせてしまった罪悪感からか、そんな幼馴染との一件を脚本に描いてみることにした。するとどうだろう。今まで彼に抱けなかった感情が嘘のようにその物語に出てくる幼馴染の事を、文美は愛する事が出来たのだ。 さらに、その思いの丈を綴った脚本は世間から認められ、賞までも受賞するようになる。 そんな輝かしいことを経験した彼女は、今度こそはと思い、また幼馴染に会ってデートのような物をしてみたのだが、しかし現実にいる彼の事は全く愛することが出来ず、ときめくことさえも出来ない。 そうして彼女は、自分が既に人のいう“普通”では無くなっていたことに気づいた。 しかし、気づいた時にはもう遅い。彼女のその歪んだ性癖は、既に手遅れなまでになってしまっていたのだ。 それから彼女は人を愛そうとしなくなった。愛そうとしても、そうする方法が分からないから。ならば、はなから愛することは出来ないと突き放せばいいと考えたのだ。 そうして彼女は、今日も物語を愛している。 ────────── 「私、ある時分かったの。…………私、人間は愛せなかった。私のことを愛してくれた家族だって、好きだって言ってくれた幼馴染の事だって。誰も愛せなかったの。 だから、私気づいたのよ。 愛せないなら、彼等を物語にして愛せばいいんじゃない、ってね」

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