タグ： 海も枯れるまで

愛未揶　梅　まなみや　うめ 23歳。大学四年生。普段はヘラヘラしていて物事をのらりくらりとかわしていそうな女性。顔からは微笑を絶やさず常ににこにこしている。温厚で優しく、誰にでも分け隔てなく接することができる善人。人前で表情を切らすことがなく大学内部でも割と有名人。もちろんいい意味でも悪い意味でも。 まさに「立てば芍薬座れば牡丹 」と言う言葉が最も似合う。 大学受験で浪人しているが大学では優秀な成績を納め、就職先の内定も取っている。 1人称：お姉さん、私　　 2人称：名前＋くん、君etc…. 「こんにちは、よろしくね？」 「ふふ、面白いわね。お姉さん君と話してると凄く楽しいわよ？」 『自殺について』 小学生の時、クラスでモテている子からの告白を断ったら、女子から上履きを隠されたり、仲間に入れてもらえなかったりの陰湿ないじめを受けた。それが悔しくて少し言い返してしまったとき、いじめっ子たちではなく、自分が怒られた。 中学生の時、女子からだけでなく男子からもいじめを受けた。なぜかはわからない。教師からも見て見ぬふりをされた。 高校生の時、いじめられはしなかったが気味が悪いと言われた。人形みたいと。悪気があって言ってるわけではないと自分に言い聞かせた。 そんな最悪な学校生活に耐えられたのは「姉」の存在があったからなのだ。梅は姉が大好きだった。自分よりも優秀な姉が、優しく自分の名前を呼んでくれる姉が、狂おしいくらいに。親も姉が大好きだった。自分よりも姉の方が。いつも比べられた。「なんでお姉ちゃんはできるのに、梅はできないの？」と。それで良かった、だって姉が好きだから。姉も自分を愛してくれていると感じていたから。あの時までは。 交通事故で姉が死んだ。梅が高校3年生の秋に。心底絶望した。自分のことを唯一愛してくれて自分が唯一愛した姉が死んだことに耐えられるはずが無かったのだ。母も父もそこでおかしくなり始めた。梅のことを姉の名前で呼ぶのだ。「桜ちゃん」と。梅は結局姉の代用品でしかなかったのだ。 それから1人で姉の遺品整理をした。その時に見つけた、いや見つけてしまったのだ。姉の日記を。それをなんとなしにパラパラめくってみた。 そこに記してあった文字は、 「梅って本当にバカみたい、気持ち悪い」 「あいつなんて死ねばいいのに、私の彼氏奪ったくせにのうのうと生きやがって」 「梅のこと大っ嫌い。」 自分への罵詈雑言だった。信じたくない、でも書いてあることだ。自分はあんなにも愛していたのに。誰にも愛されてなんていなかったんだ。そう思った瞬間、頭で何かが切れる音がして。人間は愛し合って生きていけるのに私は誰にも愛されないの？ならば生きてる意味なんてない。死んでしまいたい。と。ドロドロした感情が止まらなくなって。 生きる希望も、人を愛することも愛されることもなく、今を生きている。愛されたいだけだったのに、愛したいだけだったのに。 『本性』 愛されたい。顔じゃなくて自分を見て欲しい。傷つきたくない。そんな感情がグチャまぜになっている。善人を演じて、笑顔を絶やさないのも人に嫌われないため。

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