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彼女にとっての正義とは 『子どもに夢を見せ続けること。』 『ヒーローであること。』 ヒーローに憧れる女。 カッコイイヒーローを追い求めて一人称は俺になった。 警官一家の娘。 幼い頃に父が手柄をあげ、表彰されるのを見る。 その姿は、本物のヒーローだと思った。 だが父は辛い捜査に当たったようだ。警察の上部が主となった事件だったらしい。父は社会の裏側、権力に押しつぶされたのだ。警察を追われた父は誇りを失い見るも無惨な、世界に絶望したような顔をして自殺した。 父は守ってきたはずの社会に殺された。 ヒーローは死んだ。 その時、ふつと湧いたのは悲しみと疑念だった。 自らの信ずる所であるヒーローはいとも容易く砕かれた。 こんなことはあってはならない。 ヒーローは夢を与えるものだ。絶望なんて与えてはならない。 ヒーローは、正義であり絶対だ。唯一無二たる力と誇りを持たねばならない ヒーローは、希望だ。導かなければならない。 そして彼女はヒーローになった。 ヒーローは夢を与えなければならない。ネガティブな発言は正義の誇りで押し潰した。 ヒーローは正義でなければならない。小さな子どものイタズラに目をつぶることは出来ない。 ヒーローは希望だ。強く、強く、強く、強さを求め、趣味などとうに失った。 かっこいいヒーロー。それになる為に自らを強く見せる。男にも負けない。そんな風に。 そうやってヒーローに縛られる。自分の中のヒーロー像から逃げられない。背を向けられない。 苦しい。 そんな中、手を伸ばしてくれたのは片瀬だった。 自分の中だけでのヒーロー像に囚われた自分を救ってくれた。 以降片瀬とは正義を語り合う唯一無二の仲となった。 私の正義。それは、悪を無くすこと。 表面だけの意味じゃない。悪を裁くために、法律という刀を振り下ろす。 俺の正義。それは、ヒーローになること。 警察に憧れた子ども達が、大きくなっても警察に憧れ続ける。幼い頃に見たヒーローの背中を追う。 私の、俺の、誰よりもかっこいいヒーロー。その背中を追うために自らの正義を、振りかざす。

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