タグ： しょうごはん クトゥルフと帝国

日本陸軍憲兵。 近頃は陸軍内部で不穏な動きを見せる歳帰派の首魁・雅楽頭 宗厳(ウタノカミ ソウゴ)の監視を行っている。 それなりに教養を持ってはいるが、理屈っぽいようで彼の根本にあるのは感情である。時代にそぐわない理想主義者であり、現実を正しく認識していないところがある。 また、その思想を上面では装って迎合してはいるが、本心ではこの国のどこにも居場所がないと感じている。 比較的恵まれた身の上。世界に対して上から目線。加えて己の身が脅かされることなど考えていない。おれは兵士ではないのだから、ましてや戦火が我が身に迫るなど、と。臣は自ずから動くべきではない、とは自ずと行動できない彼の自己弁護でもある。 後に満洲へと渡ることになるが…？ 前大戦迄の戦史を独学(故に些か偏りがある)で研究し、軍を純然たる暴力装置と捉える。初めは獨逸の奮戦を称賛していたが、いつしか事ある毎に誹るようになった。 軍部内では皇道派・統制派ともに良い印象を持っていない。むしろ天皇を大義に掲げて我を押し通そうとする皇道派こそが逆賊であると内心考えている。(なので統制派ではなく「反皇道派」) 本当に忠を語るのであれば主の意向を待つべきである。「待て」も出来ぬ駄犬がいくら尻尾を振ろうと吠えようと喧しいばかりではないか。 彼の君主像とは近世的な啓蒙専制君主に近い。実力主義的なある種の差別思考だがそのロジックは「能ある者が働くのは当然」「無能に求めても仕方ない」である。どんな馬鹿だって望んで馬鹿になったわけではないのだから。じゃあお前自身は無能か否かと訊かれると言い淀む。たぶん彼は馬鹿ではなく愚か。

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