タグ： ゆくい れんじ

両親が闇金に追われ、捨てられた経験を持つ彼は、学問はそこそこ。組に拾われた事を直向きに隠している中、自身の生き辛さと葛藤しながら日々生活をしている。 会ってきた人間は皆、自身や身の回りの選択を難なくこなしていく。彼はその様を見て不思議に思いつつ、より強く苦悩した。具体的に言えば、道を示してくれた組のレールを辿っている間に、己が決めた道を進む事に疑問を持つ様になった。 命令に反発する事なく、木偶の様にシノギやアヤを引いたり、芋を引く事なく与えられた仕事をなんでも熟して来た。そんな彼は、とんとん拍子で座布団の位置を変えていった。軈て自身の決断によって左右される未来に恐怖する様になった時には既に、彼は舎弟頭になっていた。 選択の自由や数ある中から選んだりなど、自身に関係する自由な行動を極端に嫌がるきらいが有る。置かれた立場や地位に安心感を得ているがしかし、舎弟や部下への命令はあまり下せずに、自らが動こうとした結果部下が読み取って先回りするなど、これまた事がうまく運んでいる。 これは選択や状況から逃げる為に人の顔色を見てきて育った影響で、他人の心情を読み取って動いているからであり、運んでいるようで自分で動かしている事には全くと言っていいほど気付く気配はない。彼が自身の選択肢の中に自分が部下を”動かしている”　or　”動かす”という極々僅かな選択肢を増やす事すら真相心理で拒んでいるからである。発狂した時などに発現する可能性が”あるかもしれない”程度であり。組での地位を認められているのも要因の一つだが、社会に真っ向から勝負する事は身を亡ぼすとさえ考えている所為で、組に身を置くことさえ不釣り合いと考えるが足を洗う事が中々出来ない。シノギで凌いでいる人生にうんざりしながらも、彼は……未だ死ぬ事すら自身の選択肢には無い。

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