タグ： バロック ロマネスク

かの少年の、美に届かんがばかりに【加速する狂気】は、強すぎる理性が、自我を崩壊させないように、そうあることをしいているのである、今この時ある移ろい行く美を何処までも問い続け、官能や、自らの正義、太陽を大義名分として全てをナルシスの餌とするか、又は何物にも値し、何物にも値しないそれを照らし、自らの美で塗り替えるような自我の炎にくべてしまうようにして、自らを形にし、証明する【狂鬼】こそが彼の自我を押し止めている。 時はかの少年の肉体のように、美の形を奇妙に【歪曲】させ、そして散り散りにしてしまう、故にかの少年はいずれくる死に抗うようにして、何よりもはやい移ろいゆく美が、どこかに消えてしまう前に手を伸ばし駆け抜けるにだ。あらゆる自己欺瞞を自らの【怪力】で払いのけてしまった彼は、その鎧を失ったばかりに、自らの肉体は耐えられず崩壊していく。それでも尚生を望む自我は崩壊のしようのない、【機械仕掛け】の黒い鋼鉄の肉体を手にいれた。 彼の崩壊とは、太陽の崩壊だ。黒い鋼鉄の論理に近づいていくことだ。彼の記憶を見たネクロマンサーは死んでしまった、黒い鋼鉄の論理から自分を守るようにして。 彼は両方を欲した、黒い冷えた鋼鉄と、狂おしい程の太陽を。時に太陽の熱から逃れ得るために、冷えきったを求め、また時に鋼鉄に身を刷り寄せて身を凍らせぬよう、灼熱の太陽を求めた。彼は理性と感情の狭間で狂う超越者である。理性が感情を求め、感情が理性を求める。肉体が知性を高め、知性が肉体を高める、そして私は美のイデアに至る。彼の生とは世界に対する自我の干渉であり、死とは意味や価値を失い退屈に浸ることだ。故に彼は生きる。故に彼は証明する。そして彼は刹那に好奇を見る。いずれくる死が今ある生を駆り立てる。死に至る病は生だ。妥協は許されない。私を縛るのは私だけでいい。

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