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特徴表 ・格闘センスの持ち主…キック、組み付き、頭突き初期値５０ ・大切なもの（Ⅾ）…大切なものを身に着けている。失った場合1/1d8のSANチェック。 　親友と交換した青いピアスor好きな女性に貰った赤い石のペンダント。今回はピアス。 狂気山脈ハンドアウト２Ａ『還らぬ友』 ▼生い立ち 中国人。5歳で両親を事故で失い10歳まで孤児院で育つ。 ある日親戚夫妻がやって来てあれよあれよという間に引き取られよくわからんうちに彼らが住むアメリカに渡った。 夫妻はめちゃいい人だったが思春期真っ盛りで文化も言葉も違う土地に放り込まれたのですごい苦労した。は？俺来年から中学生？１０歳なんだが。 渋いものが好きなジジイか？みたいな性格だったので若さ全開の周囲と全然テンションが合わず「一人でいた方が楽」という結論に至る。 しかし世話焼きなのでついお節介を焼いてしまい、普段一人でいるのに急に手を差し伸べてくれるいい奴として認識され「仙人」とあだ名される。 ▼サラ 15歳の時、ミドルスクールに用があって出向いた時にたまたま目の前でずっこけたサラという11歳の少女と出会う。 ずっこけたまま気絶されたので死ぬほど焦った。後から聞くと夜中寝る間も惜しんでバレエの稽古をしていたら眠くなってつい寝たという。 ぽやぽやしながら告げるその様子を見て（この女の側にいると世話係にさせられる気がするから逃げよう）と固く決意したが 逃げ切れず世話係になったし気付いたら好きになってしまっていた。思春期だから仕方ないね。 いつも世話になっているお礼だと言って家にあったらしい赤い綺麗な石を貰った時はさすがの仙人も男子高校生並みに嬉しかった。 大学まで一緒に過ごしたが「世話焼き兄」ポジションを脱せず卒業。登山家として活動し始めてからもなんやかんや世話を焼きに行くくらいには交流があった。 ▼ルーカス 22歳の時、登山活動中に出会う。自分とは真逆の人当たりがよく明るいムードメーカーのような男で絶対気が合わないだろうなと思った。 休憩中、水筒の中身（苦丁茶だった）を聞かれたので飲ませたら「ストレートに美味しくない」とがっかりした顔で言われた。味覚も合わなかった。 が、サラと同じく放っておけないタイプの人間だったため結局長い付き合いになる。毎回土産に変なものを買ってくるので自宅にルーカス部屋が出来ている。 マッターホルンに一緒に登頂した時、頂上で見た夕焼けが忘れられない。下山したテンションでルーカスが記念にピアスを開けると言い出したためピアス穴を開けてやる事になったが、41分経っても怖がっているのに痺れを切らし、不意打ちでぶち開けた。 自分も記念に買うことになり、せっかくだからとお互いにプレゼントした。今でもずっとつけている。 今回こそはと毎度水筒の中身をせびっては「美味しくない」と繰り返す親友の舌が、自分の味覚に追いつくようなジジイになるまで一緒に山に登ると約束した。 ▼ ルーカスとサラは自分を仲介に知り合って結婚した。結婚式で友人代表スピーチもしたし、新居の相談にだって乗ったし、引っ越しの手伝いもした、惚気話も聞いて、愚痴にも乗って仲直りしろと励まして、大事な親友を見て愛おしそうに微笑む好きな女と、好きな女を見て愛おしそうに笑う大事な親友を隣で見ていた。 気付かれたらあんまり惨めだ。どちらも失うことになるから、心に渦巻く澱のようなものを全部ぜんぶ呑み込んで、何でもない顔をした。 上手く出来ていたはずだ、良い友人で居られたはずだ、「狂気山脈に行く」と言ったルーカスを、引き留められなかったあの時以外は。 「留守の間サラを頼んだぞ」というその声に、喉がつかえて出遅れた。あの時「行くな」と伝えていれば、きっとなんにも壊れなかった。 今でもサラの事を想っているが、最愛の夫が戻らないことで発狂した彼女は精神を病んでしまった。 親友が居なくなって、壊れてしまったサラを見て、もう自分を映さない瞳を見下ろして、 あんなに必死で繋がろうとしていたものたちが全部手のひらから零れ落ちていく音を聴いた時、 好きな女に「彼が居れば何もいらない」と狂気山脈へ送り出された時、泣きたいようなやるせないような気持ちの正体に、そうして初めて気が付いた。 長く過ごしているうちに嫉妬やなんかはすり減って、自分は二人が、笑っているのを隣で見るのが好きだった。幸せでいてほしかった。 あの時「行くな」と伝えていれば、きっとなんにも壊れなかった。

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