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職業特記 ＜芸術系職業＞ 職業技能ポイント：EDU×10＋POW×10 =10×10+16×10 260 ＜特徴表＞ 3-7.俊敏 回避の初期値がDEX*5になる。 「俺には音楽の神様がツイてるんだよ～！」 地域でもそれなりに大きい方のお寺に生まれた馬鹿息子。 小さな時はそれなりに真面目に生きていた。 よく学ぶ一人息子。 その時の両親はこれで禅定寺家は安泰だろうと思っただろう。 10年前。 書道の塾の帰りに見た光景。 鮮烈すぎていてそれがテレビだったのか肉眼だったのかも覚えていない。 視覚よりも聴覚が勝って忘れられない事なんてあるんだろうか。 ただそれ以上に本能が自分に焚きつけるものがあっただけなんだろう。 空を塗り替えるような鮮やかなさと心臓を鷲掴んで引きちぎりそうな力強さと目を晦ませるような明度を持って、音楽は、ロックは俺を殺した。 これまでの禅定寺志樂はその時死んだ、そして死骸にロックが命を吹き込んだ。 五月蝿い心臓の鼓動はお経のようなリズムではなく、無茶苦茶に熱くて厚顔無恥な程に己を主張する。 思いっきり引っ叩かれた時みたいに目を大きく見開いて、流れ星を掴むような無謀さで手を伸ばす。 その時、腕を掴まれた。 声が聞こえた。 「力が欲しいか？」 とにかくロックに触れてみたくて、あの音に近づいてみたくて頷いた。 そこからだった。 自分にロックの神様が降りてきたのは。 ＝＝＝＝＝ まずは両親にこっぴどく叱られた。 ロックという音楽に両親は嫌いがある訳ではない、ただ跡継ぎの息子が傾倒するなら話が別だ。 自分の立場、家柄の話を沢山聞いた。 でもそれは耳に残る重低音によってキャンセルされた。 いつの間にか高校生活が終えたら勘当される事が決まった、ただそれも聞き流れて行った。 次に手当たり次第に金を貯めた。 雑巾がけや新聞配達、ラーメン屋の皿洗い、近所のばあちゃんちの草むしりと何だってした。 塵も積もればなんとやらで10円が何万円と膨らんで、中学生でやっと初めて楽器屋に足を踏み入れた。 さて、そこで気がついたのは「自分はロックの何をやりたいのか」が決まっていなかったという事実だ。 一番の花形のボーカル？ 縁の下の力持ちのドラム？ それともテイストをがらりと変えるトリッキーなキーボード？ 圧倒的ソロパートでも魅せられるギター？ どれも素敵だ、どれが欠けてもロックは成立しない。 でも自分がやりたいあの音とは少し違うように思えた。 心臓を掴んで、脳を揺さぶるあの重低音を。 気がついたときには一本のベースを手に取っていた。 思うように指で弾いてかき鳴らして、踵でリズムを打つ。 初めてなのに、まるで最初からこれを弾く為に生きてきたんだと確信できた。 かくして自分はベーシストを志すことが決まった。 中学でも高校でもロック漬けの生活で、時間あれば仲間と一緒に楽譜を前に腕を組み、音を合わせて。 そのおかげさまあってか全くと言っていいほど学業は伸びなかった。 先生が匙を投げるくらいなんだから相当なんだろう、先生は夢で食っていける奴は一握りだと言っていた。 そうだと思う。 自分はその一握りになるから、先生の言う事は違っているとは思っていなかった。 そんな時間はやがて終わりを告げて、自分はとうとう実家を勘当された。 だから自分で決めていかなきゃいけなくなった、だからバンドを組むことにした。 それ以外に選択肢はない。 だって俺はロックに殺されて生かされているんだから！ リーダーともとちゃんとさばちゃん、完璧の最高なメンツ。 年齢も考えも正確も経歴もバラバラだけど、別にそんな事はどうでもいい。 大事なのはロックが好きだということ。 それだけでいいでしょ？ 毎日起きてから寝るまで”アトの祀り”と一緒だ。 一緒に前向いて、好き勝手はしゃいで暴れて、笑ってたまに悔しがって。 そしたら少しずつそんな自分達と一緒に遊んでくれるファンが出来た。 夢で食っていける奴は一握りだ。 俺達の夢を応援して、一緒に前を向いてくれる人がいる。 それが夢で食っていくってことだ。 …今思えばあの時の音はザ・ウィンドフォールズだった。 この間見に行ったときに確信した、あれはマツモトさんの音だ。 10年前からずっと追っかけている背中は変わらないんだ。 絶対的な安定感のある底を這うような音、聴くとゾワゾワして思わず口角が上がる。 なんならこの前の新曲シングルをフラゲして聴いた時は鼻血出した。 そのくらいあの人の音は絶大に人を動かす。 だからこそ絶対に追いつく。 追いついて、同じハコで胸張れるくらいでっかくなって。 いつかあんくらい人を動かせるようにありたいと思ってる。 いや、絶対になる。 だって俺には”アトの祀り”がいるから！ だって俺にはロックの神様がついてるから！！ 「さ～～～～～～～～！今日も行ってみよ～！」 ◆音楽雑誌インタビュー◆ 1.いつ頃から音楽を始めましたか。きっかけは何ですか。 ベース買ったのは中学生の時！ 俺にロックの神様が降りてきたっていうか、やりたいこと定まったってか！ なんつーの、こうグワッてなったんだよ～！ 2.担当楽器へのこだわりは何かありますか。 それはねぇ、ベースのこの音がいいっていうかかっこよくない！？ 心臓をこう、ガッとやるこの音がいいんだよね～ちなみに俺のベースの名前はゆかりちゃんっていうんだよ～！ 3.あなたにとって「ロック」とはなんですか。 人生!！！！！！！！！！！！！！！！！！！ 俺はロックが好き！ロックの為に生きてるようなもんだから！！！ 補遺◆芸術:相対音感について 技能成功した場合、演奏技能に若干の補正が掛かる。 補正値はKPに委任するものとする。 通過シナリオ：誰がロックを殺すのか 「俺は、貸したものを返したに過ぎないみたいだから。これから頑張ればいいってことだよね～！？」

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