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「────別に。俺はこれが好きなだけだし」 ◆嗜好◆ 好きなもの：天体観測……星空が好きなんだ。別に、これっていう理由はない。見てると、俺は一人になれる……そう、思うだけだよ 苦手なもの：写真撮影……切り取るより、焼き付けてここに残していたい。俺の記憶を、写真に委ねたくないんだ ◆性格◆ 大人しく、あまり動的ではない。感情の起伏が少なく、いまいち何を考えてるかわからないと言われる。慣れた相手には、やや……若干……うっすら……その感情の機微が、伺えるらしい。 やるべきことはやる主義から、成績は中の上を維持している。その上で、自分の趣味を阻まれたくないタイプ。 天体観測が趣味で、しばしば高地を探しては夜空を見上げている。 ◆略歴◆ 元々都会で生まれ育った子だったが、一時田舎の住宅街へ引っ越したことがあった。隣家の女の子の事が密かに好きだった少年は、想いを口にしなかったが……そこに住んでいる間は、よく遊んだものだ。 ある夜の事だ。ノックする音があり、怪訝に思って窓を開けた少年は驚きのあまり弾んだ声を隣家の女の子に人差し指で諌められた。他愛もない話の最中、女の子がふと声を上げた。 「あ、見て。流れ星」 つられて空を見上げた少年は、空を覆う輝きが線を引いて零れ落ちていく様を見た。2階の子供部屋から見上げたその景色は、今までに見たどんな夜景よりも煌びやかで美しかった。 思えば、それは初恋が色めき立たせた景色だったのだろう。強くフィルターのかかった記憶が、未だに脳裏を過ぎる日がある。 それから都会に戻った少年は、父に望遠鏡を強請った。 これまで何かを強く欲しがらなかった息子に対し、父は喜んで買い与えた。 ─────思えば、よくできた関係だったと思う。 俺は自分のやるべきことはやらないと落ち着かないし、それなりに楽できるようしっかりした大学へ進んだ。 友達も多い訳じゃないし、これと言って何か特別な人間じゃあなかった。でも、求められた事はちゃんとこなして来た。だから両親は俺にあれこれ言わないし……それは、俺の性格も知ってるからだけど。 俺が何を買おうが、どこで星を見て何時に帰ってこようが、特に何も咎められない。それは、俺がたまたま「真っ当に生きている」から。 ただ自分がすっきりするからやっているだけのことで許されるなら……ある意味、向いてるんだと思った。

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