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永い後日談のネクロニカ PC作成ツール
天翔 龍弥(あまがけ りゅうや)
ID:1618075
MD:471c97239c0f8fbda0d0ffa9b45e1077
天翔 龍弥(あまがけ りゅうや)
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まつこ趣味キャラ
まつこ
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-
ステーシー
タナトス
ゴシック
レクイエム
バロック
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サイケデリック
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総計
武装
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めだま
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部位切断
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腕を全部
胴を全部
足を全部
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あご
こぶし
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かた
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はらわた
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カ
テ
ゴ
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|
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腕
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防御/生贄
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足
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損傷
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部位
○マニューバ
タイミング
コスト
射程
効果
取得先
通常技
必殺技
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補助
妨害
防御/生贄
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ダメージ
ラピッド
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ラピッド
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カルマ
達成
条件
詳細
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記憶のカケラ
名前
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未練
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種類
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発狂効果
備考など
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独占
依存
執着
恋心
対抗
友情
保護
憧憬
信頼
恐怖
隷属
不安
憐憫
愛憎
悔恨
軽蔑
憤怒
怨念
憎悪
忌避
嫉妬
依存
憐憫
感謝
悔恨
期待
保護
尊敬
信頼
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3
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への
嫌悪
独占
依存
執着
恋心
対抗
友情
保護
憧憬
信頼
恐怖
隷属
不安
憐憫
愛憎
悔恨
軽蔑
憤怒
怨念
憎悪
忌避
嫉妬
依存
憐憫
感謝
悔恨
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への
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独占
依存
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恋心
対抗
友情
保護
憧憬
信頼
恐怖
隷属
不安
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悔恨
軽蔑
憤怒
怨念
憎悪
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寵愛点 / 獲得総計
点
メモ(習得技能など)
戦闘寵愛
個人寵愛
獲得計
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点
点
2
点
点
点
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点
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パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
種族
享年
初期配置
煉獄
花園
楽園
身長
体重
暗示
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
【生前】彼は最終戦争に参加した兵士の一人だった。日本軍の兵士として命を賭し、最強の軍人として敵味方問わず評価された。だがある日、敵国の基地に潜入する際、敵国の少女との運命の出会いを果たす。戦争からも国からも逃げ、彼女と共に地の果てまで駆ける。ようやく見つけた安住の地で、彼はその少女と長い生涯を閉じるまで幸せにくらした。だが、何もかも捨てた彼は、世界からは大罪人として見られた。無論彼は世界中を敵に回しても愛する人と共に戦うつもりだった。そして戦い抜き幸福を手に入れた。しかし彼と彼の愛する人の死体を見つけたネクロマンサーは、彼等を許していなかったのだ。 【死後ドールとなってから】 起きた時には16歳ほどの少年になっていた。手に馴染む日本刀、脳にすり込まれた戦闘知識。だが、その容姿だけが違和感の塊だった。声も体も若々しい。戦場を駆けたあの時と変わらない。成程、ここは戦場なのだ。どういうわけか自分は戦場に呼び戻された。良いだろう、何度だって戦い抜いてみせよう、儂は天翔龍弥。戦場にその人在り、人ならざる修羅と呼ばれた日本軍最強の兵士なのだから。幸い共に戦う仲間もいる。儂が居る限り彼女達の道を切り開こう。お前がいない世界でも、儂はきっと生きてみせる。死は暖かなものだった、けれど生きていることはもっと暖かいものなのだから。 【基本設定】 姉妹の中でもまず間違いなく最年長であり、それ故姉妹に被害を与えず敵を倒すという使命感に駆られている。軍人として培われた技術はネクロマンサーに没収されることなく、戦闘用ドールとして更なる調整が与えられている。落ち着いた老人の態度を取る、所謂ショタジジイ。一人称は「儂(オレ)」和やかな場面ではとってつけたような老人口調をすることもある。冗談交じりに年長者を労れとか言う。普段はホリックとは思えない程優しく思いやりのある人物。だが敵を前にすれば老獪な戦士としての側面が表に出る。趣味は習字だったのだが、この世界で活かされる機会はまず無いだろう。字が上手くても書く物がない。見た目は短髪できりりとした男前、日本軍の制服(消耗品の軍服ではなく儀礼用の高価なもの)を着ており、その胸には多くの勲章が授与されているが、この世界では役には立たないだろう。 【各スキル、パーツの見た目、設定】 《修羅》儂は修羅だ、何があってもこの一撃を目の前の敵に当て、ただの肉塊へと変えてやろう、それが儂の使命だ。 《死神》戦場でそう呼ばれることもあった。どうやらその称号はここでも役立ちそうだ。 《殺劇》確実に殺す。より多い戦力で敵を攻撃する、あまりにも基本的な戦術だ、儂でなくとも戦士なら身につけておいて当然じゃろうよ。 《怪力》どう弄られたのか、この身は生前以上の力を発揮しておる、それも好都合じゃ、効率良く相手を追い詰められるのだから。 《日本制式軍刀(日本刀)》儂が生前使っておったものに良く似ておる、いや、もしやそのものなのか? 《日本軍式刀剣術(有刺鉄線)》身につけた剣術は未だ体に残っておる、これも戦いの役に立つじゃろう。 《戦場の龍(アドレナリン)》体に染み込んだ経験は儂の体を突き動かす。儂こそが戦場の龍、天翔龍弥だ。 《龍の尾(しっぽ)》生前には無かった龍に似た尾、だが動かし方はわかる、これもまた戦を生き残る新たな術となるじゃろう。 追加設定小説 雪の中を、走る。オレが従軍してから三年が経った。その三年の間に幾多もの戦場を駆け抜け、幾多もの敵を物言わぬ死体にしてきた。今現在日本軍は戦線を拡大し、ロシアへと侵攻している。日本の培ってきた様々な技術は有人無人問わず優秀な兵器を作り出し、戦場に出る人間の少なさを補って余りあるものだった。多くの国と同盟を組み、より多くの国を侵略し、日本は極東の島国から世界有数の大国へと成長を遂げていた。オレ達兵士の死体の上でふんぞり返る骸の大将達のことを思うと虫酸が走る。そしてオレはその大将から命令を受けてこの場所にいるのだ。奴らの言うことを素直に聞いて上手くこなしていっていると、いつの間にやら英雄として祭り上げられ、そのくせ階級も給料も上がらないという、とんだ客寄せパンダだ。オレの影響で軍に入る若者が増えたなどという報告を聞いても何も嬉しくない。そいつらはオレより先に死ぬだけなのだから。 「隊長、考え事ですか。良くないですよ、作戦中に」 隣を走っていた部下がオレに声を掛けてきた。ありがたいお説教である。コイツもオレと同時期に配属されたまだまだ若い隊員で、オレとずっと戦場にいた猛者だ。どこかの戦場でついた顔の大きな傷跡が随分やくざな印象を周囲に与えていて、オレがいない時の部隊のまとめ役として良く働いてくれている。 「うるせぇ、テメエに心配されるようなヘマはしやしねえよ」 口調はオレの方がよっぽどやくざなのだが。まあコイツの忠告のおかげで余計な思考は消えた。今度美味いものでもおごってやろう。 それからしばらく走って、今回の作戦目標である基地が見えた。今回の目的はこの基地の陥落……ではない。そんな作戦なら、このご時世自分の足で態々走る必要などないのだ。ならば何なのかと問われれば、この基地に匿われているというとある少女の誘拐、あるいは殺害である。なんでもその娘は奇跡の力を持つとかで国内で圧倒的な支持を得ているらしい。そんな広告塔を客寄せパンダが奪取すれば更なる話題になるだろうといういやらしい思惑が透けて見える。そんなわけでオレは直近の部下十数名を連れてこの場所にやってきた。明朝、陽動作戦が展開され、基地を攻める陽動部隊に釘付けになっている間にオレ達が潜入し、迅速に作戦目標の場所へと向かうという手はずだ。今夜は基地周辺を偵察しつつ警備の穴を探し、あらかじめ用意していた場所でビバークをする。幸い雪で視界は悪く、こちらからも見えにくいがあちらもオレ達を発見するのは難しいだろう。オレは部下に偵察機を飛ばすよう命令しながら、野営の準備を始めた。 明朝、予定通りの時間に陽動部隊が攻撃を開始した。基地から敵の兵士が出て行ったところで、オレ達の小隊も動き出した。見回り、監視の兵士が少ないところは昨日の偵察で十分に情報を集めることが出来、その部分の兵士を無力化しつつ基地内の制圧を行う。想定外のことが起きて当たり前の戦場で、気味が悪い程とんとん拍子で事が運ばれているが、こういう時にありがちな不安を抱くことはなかった。 腰に佩いた刀の鞘を握りながら走る。隊員からは旧時代的だ、原始人だと揶揄されるが、申請すれば貰える武装だし、何よりこれが一番手に馴染むのだからそんな言葉は聞き流している。そしてこういった作戦の時には派手な発砲音を立てない白兵武装は都合が良いのだ。断末魔を上げる暇もなく首を切り落とし、白い雪を赤く染めていく。人間の血液は少しだけ雪を溶かした後、更なる降雪によってまた白く隠されていく。それもまた隠密には都合が良かった。 娘のいる区画がどこかはわからないため、基地に侵入すると数人のグループに別れ、虱潰しに調査することになった。戦力の分散は望むところではないが、今回ばかりは仕方ない。 「その代わりオレは一人で動く。そっちの方がやりやすいこともあるからな」 オレの決定は普通ならあり得て良いことではなかったが、隊員達は特に文句も言わず受け入れてくれた。集団戦法は兵法の基本だしオレも望むところだが、基地内という閉所では互いの動きが邪魔になることもあるのだ。それこそ望むところではなかった。 「敵地で長々とミーティングしてる時間はない、各自臨機応変に動くように。では解散!」 最後にそう言うと、隊員達は散開していった。オレも手近な部屋に突入する。 「って、早速大当たりかよ……」 扉こそ他のものと変わりは無かったが、内装は少女向けに改造されている。黄色やら桃色やらが目に痛い。整頓された本棚、対照的に散らかされたぬいぐるみの山。つまりこの部屋の主は散らかすタイプで、本は全く読まれていないということになる。 「ちょっとはお勉強した方が色々楽しいぜお嬢さん」 そうロシア語で話しかけると、天蓋付きのベッドでオレの方を見ながら怯えていた少女が身を竦ませて、おどおどとこちらの顔を覗き込んできて、口を開いた。 「あなた、私をどうする気なんですか。殺しますか、犯しますか」 言っていることは物騒かつまだ15にも満たないような小娘が言うようなことではない。だが鈴の音のような声だった。白銀の髪に海色の瞳、白磁を思わせる穢れのない肌。オレは今までこんなに美しい少女を見たことがなかった。成程奇跡を起こすだのなんだのと持て囃されるだけはある。戦場でそんなものを望むのは愚の骨頂だが、彼女を見ていると無いわけではないのだろうと思えてくる。 「いや、抵抗しないなら誘拐するだけだ。うちのお偉いさんはアンタを人質にこの国から色々ふんだくるつもりでいらっしゃるらしい」 「そうですか。私には何も出来ないのに」 「奇跡を起こすんじゃないのか?」 そういう触れ込みで売り出してると聞いたぞ、と続けると、少女は首を横に振って否定した。 「別にそんなことは出来ません。私がたまたま偉い人の娘で、その権限で戦争の視察に行ったとき、偶然大勝して……戦争って人を狂わせるんですね、なんの力もないただ可愛い女の子を奇跡の子だなんてありがたがって、こんなところで匿うんですから。お父さんもお母さんももう亡くなってしまったのに」 「へぇなるほど、正に広告塔、雛人形、傀儡ってわけだ、しかしただ可愛い女の子って、大人しそうな顔してナルシストなんだな」 しれっと自身に満ちた発言に俺は失笑を漏らしたが、少女は小首を傾げてまじまじと俺を見つめた。もしかして上手く伝わらなかっただろうか。ロシア語は勉強してきたが、いざ現地人と話すと間違っているなんてことは多々あるのだ、今回もそれかもしれない。 「……だって私、可愛いでしょう?」 「天然かよ!!」 思わず日本語でそう叫んでしまい、少女を怯えさせてしまった。自信があるのか無いのか良く分からないヤツだ。 「あー、すまん、確かに美人だよお前は。あと五年したら抱いてやってもいいくらいには」 「やっぱり犯すんですか」 「今すぐじゃねえっつってんだろ、いや今後もねえよ誘拐して軍に引き渡したら会わないだろうし」 「軍に引き渡された後、私はどうなりますか」 意図の見えない質問に、オレは少し返答に困ったが、少し考えて当たり障りの無い言葉を返す。 「まぁ悪いようにはされないんじゃないか?捕虜……それも無傷なことが優先される人質に手荒なことはしないだろうし。捕虜の待遇は良いって評判だぜ、うちの国。捕虜が解放される時帰りたくないってゴネるくらいにはな」 「そうですか、ならここと変わりませんね、連れて行くなら、どうぞ」 朝顔を洗う時のような自然さで少女はベッドから降りてオレに手を差し出した。その動作にオレは驚く。 「……良いのか、それで」 「別に、もう自分の人生なんてどうだって良いですから。選択肢なんて昔から無かった、これからもきっと無い」 戦争は人を狂わせる。確かにそうだ、こんな幼い少女の人生をこんなにもつまらないものにしている。 「そういえば聞いてなかった。お前、名前は」 「なんで今更聞くんですか……アイラ・ユークレースです、それがどうかしましたか」 「そうか、アイラ、オレは天翔龍弥だ、オレはここからお前を連れ出す。けど日本には帰らない。オレは国を捨ててお前に世界を見せてやる。戦争ばかりのろくでもない場所だけど、ここや日本の捕虜施設よかマシだ」 「どうしてそんなことを、余計なお世話です。それにあなたに得もないでしょう、そんなことをして、生きていられるとは思えません」 「大人は子供の未来を守るために戦ってんだ、目の前で子供の未来が閉ざされそうになってんのに、ほっとけるわけないだろ」 「あなたは戦争で人を殺して、その結果たくさんの子供の未来を奪ってきたんじゃないですか」 「そうだよ、他人の未来を奪って自分の命を繋ぐ仕事だ、軍人ってのは。でも生きている限り人間はそうならざるをえないんだ、今は決して平和な時代じゃない。人間一人に出来ることなんざ限られていてね、時代を動かすのは人間のくせに、自由自在ってわけにはいかないんだ。だからこれはオレのわがままでしかない、でもその方がやってると気持ちいいんだな、これが。どうする?お前の目の前には、オレの誘いを断って人質になるのと、オレの誘いに乗って必死に生きる選択肢があるぜ」 選択肢、という言葉に、アイラは目を少し見開いた。オレは今、彼女に初めて選択肢を与えているのだろう。しばらくして、アイラは一つ一つの言葉を噛みしめるようにして話し出した。 「ここにいても、リューヤの国に行っても、結局何も変わりません」 「ああ」 「リューヤについていって、色んなところに行く方が、楽しいこともいっぱいありますか」 「ああ、大変なこともいっぱいあるだろうけどな」 「はい、なら私はリューヤについていきます、これからはどんなことも自分で選んでいきたいです」 「ああ、ならまずはここから出るぞ、オレの仲間も待ってるだろう」 アイラは頷き、オレは彼女の手を取った。それは最初と同じ意味で出された手ではなく、これからの未来を掴むための手だった。 それから基地を脱出すると、もう陽動部隊はいなくなり、仲間達が外で待っていた。話を聞くと、全ての場所を制圧していたら最後にオレの入った部屋だけが残ったので先に脱出していたのだという。目的は基地の陥落ではなかったが、結果的にそれも果たしてしまった。優秀なのは良いことだし、当面の安全は確保されたことになる。 「その子が奇跡を起こす娘ってやつですか、へえ、本当に可愛いや!」 例のスカーフェイスの隊員がアイラの頭を撫でようとすると、アイラはオレの後ろに隠れた。 「おいおい、あんま怯えさせんじゃねえよ、お前自分の顔の怖さ自覚した方が良いぞ、泣く子も黙るってのはお前のことだぜ」 「こいつは参りました、ボク、そんなに悪い奴じゃないのになあ」 「まあいいや、アイラも恐がりすぎないでくれよ、気の良い奴だからさ。っと、で話があるんだが」 オレがそう切り出すと、隊員達は面食らったような表情をした後、態度を引き締めた。この切り替えの早さには助けられている。 「オレはこいつを連れて国から逃亡する、お前らはついてこなくてもいいが、楯突くようなら……そんなことはオレもしたかないがな」 空気が凍る。未だに激しく降る雪が身に染みていく、オレは腰の刀の鞘を強く握りしめた。 「隊長、あなた自分の立場をわかって言っているんですか」 「ああ、だが勘違いするな、オレは元々国のために戦っていたんじゃない、ただこれしか生きる術を知らなかっただけだ、小さい頃から戦争の話しか聞かされなかったからな」 スカーフェイスの隊員がオレを真剣な瞳で見つめてくる。オレは刀の柄を握った。 「隊長、ボク達も国のために戦ってきたんじゃありません、ボク達はあなたと一緒に戦いたかったんだ、それが自分の国相手でも変わりませんよ」 スカーフェイスの隊員がそう言うと、他の隊員も次々に頷いた。オレは刀から手を離し、長く息を吐き出した。 「ありがとう、きっと茨の道だ、苦労をかける」 こうして、オレとアイラの逃避行が始まった。 それから数日が経った夜、比較的安全な場所を探して、いつもの通りキャンプをしていた。見張りをしていたオレの所に、スカーフェイスの隊員がやってくる。 「隊長、調子はどうですか」 「ああ、万全だぞ、しかし意外に追手が来ないな、このまま逃げ切れるかもってのは楽観的かね」 「ええ、楽観的ですよ」 「何?……ッ!?」 夜を裂く銃声と、弾丸を切り裂く金属音が木霊する。次の瞬間には敵の首を刎ねるために刃を薙いでいた。 「ちっ!」 それはすれすれで回避される、首の皮を数枚巻き込んだか、血が数滴地面に落ちていた。 「テメエ自身が追手だったってことか、クサい演技しやがって……一応、理由を聞こうか」 オレの問いにヤツは口の端を醜く吊り上げた、それは今まで見たことのない表情だった。 「アンタがいると邪魔なんですよ、隊長のアンタの階級は上がらない、結果、ボク達も出世出来ない、客寄せパンダ部隊なんてもうご免だ、国を裏切った英雄を殺し、任務を完遂した英傑になれば、二階級特進だって夢じゃない」 「ハッ、名誉欲か、否定はしねえよ、じゃあな!」 刀を振るうが、精々切り傷を増やす程度で致命傷を与えることが出来ない。側で一番オレの剣術を見てきたのはヤツだ、ほとんど見切られている。 「ボクにばかり構ってて良いんですか?アイラちゃんのいるテントには他の奴らが行ってますよ?」 「ゲスがっ!!」 力任せに脳天に刀を振り下ろすと、避けるために無理な体勢になったヤツが倒れ込んだ。オレはそこを狙って腰から拳銃を引き抜き、頭を撃ち抜いた。それで三年間戦場を共に駆け抜けた男は動かなくなった。 「良かったな、殉死で二階級特進するだろうさ、そしたらオレの一個上の階級だろ」 そう言い捨ててオレはキャンプの方に歩き出した。中では隊員達がアイラを縛り、台の上に寝かせているところだった。音を出さないように近づき、一人の首を斬った。返り血がアイラに付かないよう蹴り倒す。 「う、嘘だろ、楽しむだけの時間はあるだろうってアイツがぁぁッ!?」 言い切る前に拳銃を口の中に突っ込み引き金を引いた。それからもオレは無言で手早くかつての仲間達を殺害し、アイラを縛る縄と猿ぐつわを外した。 「平気か、アイラ」 「平気、ですけど、リューヤは平気なんですか」 「大丈夫だよ、先に国を裏切ったのはオレなんだから、こういうことになる覚悟はしてた、こんなに早く誰かを斬ることになるとは思わなかったけど。今日はこのテントじゃ眠れないな、予備を出すから手伝ってくれるか」 「わかり、ました」 そんな風にオレより辛そうな顔をされたら、素直に辛いと言えなくなる。 予備のテントを出して、死体の処理をした。皮肉にも食料や水の備蓄は仲間が死んだことで余裕が出来た。どこか活動の拠点を探して落ち着くまでは十二分に保つだろう。オレは一時全てを忘れるために眠りに落ちた。 あの夜から五年の月日が経過した。いつしか戦火は拡大していき、日本もオレを追うだけの余裕を失っていた。こちらとしては好都合だったが、安住の地を探すのは難航した。アイラのいる前で人を殺したくはないが、自分の身を守るためにはやむを得ないこともあった。数日水と食料を手に入れられず、二人で餓死を覚悟することもあった。それでもどうにか危地を脱し、今は辺境の国で随分落ち着いた暮らしをしている。この国は正に秘境だった。世界にただ一つ残った理想郷。それ故様々な人種が行き交い、ロシア人と日本人という妙な取り合わせの二人組にも住む場所を提供してくれた。仕事も見つかり、ようやく人間らしい暮らしが出来るようになった。 「リューヤ、今日はお隣さんからお野菜を貰えましたよ」 ソファに座ってこれまでの出来事に思いを馳せていると、そんな世間的な話題で思考を中断させられた。目の前にはトマト、ピーマン、ジャガイモ、人参。それとアイラの笑顔。 「おお、良かったな、今夜が楽しみだ」 「ねえ、リューヤ」 「どうした?」 アイラがオレの隣に腰を下ろした。この五年でアイラは美しい女性として成熟していた。長い銀髪が太陽の光を反射して宝石のように煌めいている。 「リューヤ、昔、五年経ったら私を抱いても良いって言ってましたよね?」 「良くそんなこと覚えてるな、で、それがどうした」 確かに五年経ってアイラは成長したが、彼女に手を出すことはしていない。彼女のことを愛してはいたが、それを伝える機会も失っていた。今が幸せで、現状を崩すようなことを考えていなかった。 「リューヤから見て、私は魅力的ですか、今でもそう思っていますか」 「魅力的だとは思うし、まあ思わないでもない」 オレはもしや、今とても恥ずかしい思いをしているのではないだろうか、顔が熱い、淡い期待に胸が高鳴っている。 「なら、私と結婚してください」 決定的なセリフがアイラの口から放たれた。やっぱり恥ずかしいじゃないか、プロポーズを女性の方からさせてしまうなんて。 「構わない、けど心配だな、片付けは出来ないし、料理も中々上達しないし」 「そんなことを言ったらリューヤはガサツで乱暴です。刀を持って歩くのいい加減やめてください。あと給料も上げてください」 「昔から出世に恵まれないんだよ……おかげで三六ヶ国語で上司を罵倒出来る特技が大活躍だ」 「ふふっ」 「ははっ、まぁ、なんだ、これからもよろしく、アイラ」 「はい、いつまでも一緒に、リューヤ」 オレはきっと、世界で一番の幸せ者なのだと思う。
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