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『海も枯れるまで』HO1 美人だが愛嬌があり、人当たりの良い笑顔でニコニコと笑っている。その笑顔を愛らしいと受け入れる人もいれば、常に変わらないそれを気味が悪いと遠ざける人もいる。 言動がどこかふんわりとしており、時折夢見がちなことを言う。彼女が本気でそう思っているのかどうかは定かではない。 父は母に暴力をふるっていた。父が帰ってくると、弟を連れて襖の奥に隠れた。父の目に触れないように、声を押し殺して弟の耳を塞いだ。 母は微笑んでいた。いつだってなんでもないように笑っていた。服の下から見え隠れする痣に、気付かないフリをしていた。 六年前、いつものように二人で襖に隠れていた。一際大きい怒鳴り声が聞こえた瞬間、弟は襖から飛び出し、母を庇った。耳を塞ぎ、目を閉じて、一人で震えることしかできなかった。 自分は誰も救うことができず、また、自分が誰かに救われる価値もないと考えている。 死に場所を求めて、休みの日にはさまざまな場所を旅している。一日の終わりに、今日も死ねなかったなと思いながら眠りにつく。 ---------- 生きる理由を見つけた。大切な人と共に、たくさんのことを知りたいと感じている。

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