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以下、「トランクに死体、バスタブに人魚」の核心に触れるネタバレが多量にあります。 --------------------------------- 足を踏み入れて驚いた。床一面、油絵の具で極彩色に彩られていたからだ。 排水溝まで絵の具が流れたのかゴポゴポと詰まった音がする。 一人の男がブツブツとなにかを呟きながら浴槽の中のなにかをかき抱いていた。 声をかけるが、男はこちらを見向きもしない。 浴槽を覗くと、異様に細切れになった肉や野菜や、よくわからないものたちがぐちゃぐちゃに腐り、うごうごとウジが湧いていた。 凄まじいにおいが鼻をつく。 ふと見れば、生ごみを大事そうにかき抱く男の左手の薬指がなかった。 ぐちゃぐちゃの断面は膿んで、色が変わっていた。 男の後ろには、キャンバスに立てかけられた一枚の絵が置かれている。 何が描かれているのかわからないその絵には、べっとりと人の体液らしきものも付着して異様な臭いを発していた。 この部屋で何があったのかはわからない。 ただごとではないと感じたあなたはすぐに応援を呼んで、男を連行した。 『賀来くんへ きみがこれを読んでいると言うことは、僕は死んでしまったのでしょう。 僕は、きみを愛していました。 でも僕たち、きっと、運命の相手じゃなかったね。 宇宙で一番愛していたので、僕より賀来くんを愛してくれる存在なんてこの先、ひとりもいないでしょう。 寂しい人生だね、かわいそう。 僕は天国に行くけれど、きみは地獄に落ちるのだから、もう会えないね。 さようなら。 一生後悔しながら生きてください。 きみが一生、幸せになりませんように。 清一より』 後遺症 ・呪い 一生僕を忘れられない呪い。 僕を殺した季節が来るたびに胸がざわついて、僕と生前見た景色に動悸が早くなって、夢の中で僕に会う。僕は美しい顔で笑う。 もう、一生恋できないね。 あなたは清一を忘れることが出来ない。 「恋」という感情をあの日、あの時、あの子に奪われたまま一生を過ごすことになる。 新しい恋は、芽生えない。

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