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【HO2 秀才】 人生の中心には、常に一人の天才がいた。 スポットライトはいつも彼女に当たっていて、すごくキラキラしていて、自分はそれを隣で見ている二番目だった。 裕福な家庭に生まれ、音楽の造詣に深くこそないものの理解のある両親に愛されて育ち、順風満帆そのものだった。 三歳頃から多くの習い事の一環でピアノを始め、当時はそれなりに楽しく弾いていた。木性結が現れるまでは。 一歳年上の彼女が同じピアノ教室に来てからというものの、あっという間に追い抜かされ、楽しかったピアノは一気に変化した。 何を弾いても彼女だったらどう弾くかが脳裏をよぎり、常に意識した。せざるを得なかった。圧倒的な才能という怪物に追われるかのように。 木性結はもっと上手く表現する。木性結はもっと弾いている。木性結だったら。木性結だったら。木性結だったら。 気付けばピアノにのめり込み、練習に膨大な時間を注ぎ込むようになっていた。それは果たして劣等感から来るものなのか、本人にも分かっていない。 改めて意識はしていないが、楓佳自身もピアノが好き。比較による負の感情によって、純粋に楽しむことができていないだけで。 結の弾くピアノを聞いている時だけ、そのことを思い出す。誰よりも楽しそうに、心からピアノが好きなのだと言わんばかりの音が、思い出させてくれる。 だから辞められない。辛くても、苦しくても、好きであることを自覚してしまう。 どれだけ才能が無くても構わない。そんなことは知っている。もう嫌というほどに。それでも弾き続けるしかない。 だってどうしようもなく、ピアノに、木性結の音楽に魅せられてしまったから。 真面目で勤勉、器用貧乏ではあるが努力の天才。穏やかで気弱なようでいて、かなり情熱的。 努力の指標が自分基準になっているところが大いにあり、頑張りすらしない人間に対しては割と容赦がない。 自分ができることは周囲もできると思っている節がある。自己肯定感こそ高いものの、自己評価が極端に低い。 一人称は「私」、二人称は「あなた」。育ちは良いが割と気性は荒い。 都内の高校の音楽科に通っており、現在はウィーン国立音楽大学を目指し受験勉強中。 必要な勉強自体は順調そのものであり、周囲からも安心されているが、本人は結のことしか見ていないので焦燥感に駆られている。 木性結が奏でるピアノの一番のファンであり研究家。彼女の音楽を最も知っているのは自分だという自負がある。 軽やかで羽が生えているような自由な結を、彼女の音を心から愛している。 だからこそ負けたくない。諦められない。どれだけ眩しくても、手を伸ばさずにはいられない。 いつかあなたのライバルになりたい。彼女を突き動かすのは、ひとえにその向上心。 イメージ曲-ピアノソナタ第17番『テンペスト』 イメージ花-グラジオラス(ピンク) 花言葉: 「たゆまぬ努力」「ひたむきな愛」 カラーコード-#8689C3 ウィステリア

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