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【朔間 博忠】 生まれは日本、13の時に父母が離婚し、父に連れられてロシアへ住むことになった。都市から離れ、治安は余り良いとは言えず、不良とつるんで生活をしていた。無論、喧嘩も日常茶飯事のため、喧嘩もそこで覚えて行った。父はただの会社員ではなく、密輸や密売を行う裏の顔を持っていた。そのため、警察からの目を潜り抜けるため、また、商売を円滑に行うために息子である彼も利用された。日本にいる時から何かしら後ろめたい仕事をしていたようで、離婚の原因は妻にそれを勘づかれたからだと予想出来る。だが、警察に漁られる前に海外に渡航、今の現状に至る。20を超えると、彼は一人で日本へ戻る。母のことが忘れられなかったからだ。その時にはすっかり全身の刺青と、煙草癖のついた威圧感のある姿になっていたが、母は息子を快く歓迎。深くは聞きはしなかったし、本人も必要以上に踏み込ませるつもりはなかったため、良好な関係を築いている。無論、彼自身もまともな職に付くつもりはなく、地域の暴力団体に加入、主に裏から牛耳している会社の管理を行っている。暴力に頼ることも多々あり、日本に来てからずっと武道を習っている。 ある時出会ったのが大学の催しでスケッチ大会を行っていた菊月時雨と出会う。彼の絵を盗み見て、隣に座り、彼が描く様子を隣でずっと眺めていた。それから金銭を払い、依頼として自分を書いてもらうように頼む。単純に、傍から見て自分がどう映っているのか気になったのだ。 自他ともに認める平々凡々だった。ただ、少し可笑しいだけ、それを彼はどう捉え、どう解釈してくれるのだろうと。 また、この男は風景画というものが好きだった。いつか、故郷の絵を書いて欲しいとも依頼した。つまり、二人で旅行に行こうと言うことだ。 奇妙な縁から、奇妙な関係だったが、少なくとも彼を気に入っていた。誰に似ている、誰を思い出す、だから好きという訳でも無くて、 これは愛かも分からない、小さな恋だった。 自分を描く時、自分を見詰めて笑うのが好きだった。 そんな単純な、平々凡々な恋愛の話だ。

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