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『輪廻の獣』に強制的に適合させて、それを監視、支配下に置くために作られた実験体。 ずっと、「心配ありませんよ。あれは人間として運用しておりませんので」と言う事で人権なんて無かったけれど、支部長の恋人（仮称：早苗さん）だけは優しく接してくれて、ボクに心を与えてくれた。 たくさん、話をしてくれた。 日常を守ると言う事。力がある人の使命。UGNの信念。たまに、きれいな景色や珍しい美味しい物、恋人の惚気や愚痴なんかも。 それらを聞いて誇りを持ったり、決意を固めたり、美味しい物に憧れたり、胸が締め付けられたり。 ボクの変化に伴って、周りからの扱いも段々と人間の扱いになってきた。 でも、彼女は死んでしまった。僕を庇って。 それからは、ボクはまた、モノに戻って行った。 ある任務の時、PC1さんに頼んで、彼女の言っていた『美味しい物』――「ペッパーX」「ドラゴンズ・ブレス」「キャロライナリーパー」――を 調達してもらった。 物凄く不味く感じた。 きっと、普通の人なら美味しいと感じるのだろう。 でも、ボクには不味く感じた。 それはきっと、支部長の言う通り、僕が災厄を招くだけの道具だからだろう。 綺麗な風景。 それは僕に感動をくれるんだろうか。 それとも、何も感じない――ボクはただのモノだと言う事を突きつけるのだろうか。 ※ペッパーX⇒2,693,000SHU ※ドラゴンズ・ブレス⇒2,480,000SHU ※キャロライナ・リーパー⇒2,200,000SHU 参考：ハバネロ⇒450,000SHU／ブート・ジョロキア⇒1,001,304SHU SHU⇒スコヴィル値。辛さの単位。抽出物の辛みを感じなくなるまで砂糖水で薄めたときの希釈倍率で辛さを表す。たとえば、とうがらし抽出物の4 万倍の希釈倍率で砂糖水を加えて辛さを感じなくなると4 万スコヴィルとなる。

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