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偽名_竜胆(りんどう) 本名_朝比奈 輝(あさひな てる) 竜胆…花言葉『悲しんでいるあなたを愛す』 少し近寄り難い雰囲気を出しているが、話してみれば意外とフランクで話しやすい。言動が少々男性っぽく、見た目や身長から男性に間違われることもある。竜胆は今の自分には本名は似合わないと考えており、本名で呼ばれる事を嫌がる。例え相方である鳳仙花でもだ。因みに本名を知る者は極わずかである。世間では朝比奈輝は死んだことになっている。 得物は日本刀。物心ついた時から長物に触れていたからだ。特に決まった型はなく、自由に扱っている。 相方の事は勿論大事で守らねばと思っている。ただ遺書に惹かれている点については理解し難い。自分が遺書屋をしているのは、殺しをしたいから。いや、正確には違う。遺書を作り覚悟をしている対象者の、悲しみに染まり歪んだ表情を愛おしいと思うから。そんな愛おしい存在をこの手で殺めるのが楽しくて仕方が無いからだ。酷く醜い愛である。 相方は大切な存在で死ぬところなど見たくないが、それと同時に死ぬ間際の表情も気になっている。 実家は剣道を経営しており、父が指南役となって毎日生徒が道場に通っていた。母らよく練習場に来ては差し入れを出していた。輝も生徒のうちの一人で厳しくも楽しく剣術を学んでいた。輝は両親の事が大好きだった。特に母の事が好きで、剣道を学ぶのも母を守る為だった。 しかし父が突然の事故で帰らぬ人となった。しかも、多額の借金を残して。母はそれを返そうと奮闘するが、父を深く愛していた母は父が亡くなった悲しみと、借金を抱える負担からとうとう押し潰されてしまった。遺書を残し、自ら死を選んだ。 その表情を、輝は今でも鮮明に憶えている。 母の悲しみに歪んだ表情は酷く綺麗で、輝の心を鷲掴みにしたのだ。愛おしく思ってしまう程に。 それから家を燃やし出ていった輝は裏社会に生きるようになる。その時から輝は、母が好きだった花から取り『竜胆』と名乗り始めた。 最初はただ依頼を受ければ人を殺していたが、その表情はただ恐怖に染まっているだけで悲しみを感じられずつまらなく感じていた。 ある日、とある依頼を引き受ける。ターゲットは誘拐犯の男だ。決行時刻にそのターゲットの元へ行けば、1人の少年を誘拐し連れ去っているところだった。それが鳳仙花との出会いである。その後、何度もターゲットの元へ行けば鳳仙花が誘拐されている現場に出くわし助け出していた。そのうち現場で会う度に話をするようになる。 暫くして、次のターゲットは依頼主の恨みを買ってしまった夫婦だった。竜胆はその夫婦の事を調べ始める。そこで竜胆はその夫婦が鳳仙花の親だと知る。だがそれでも仕事は仕事なので容赦なく処理する。ターゲットを始末したあと、鳳仙花を警察か孤児院かどちらに届けるか悩んでいると、鳳仙花は自分について行くと言い始めた。最初は断ろうとするが、ここまで関わった仲であるし、今更どこかに預けたところでまた誘拐かれるだろうと思い彼を受け入れた。 その後は彼に裏社会での生き方、武器の調達と扱い方、諸々を教え始める。そんな中、鳳仙花から遺書屋をしないかと提案があがる。彼がそれをする目的ははっきり分からないが、それを竜胆は承諾した。理由は、裏社会に入る切っ掛けになった母の事だ。竜胆は、母が遺書を書き終わり死ぬ間際のその悲しげな表情に惹かれた。ならば、その遺書屋をすればまた母の様な表情を見られると思ったのだ。 そこから2人は遺書屋を名乗り始め、本格的に活動をするようになった。始めは野良猫を拾った感覚だったが、今では鳳仙花の事を弟のように可愛がっている。

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