タグ： クロッカスはリナリアを見ないKPC ロスト

一人称:僕(仕事中は私)。二人称:君、あなた 心が男。女の子らしい趣味には興味が無い。部屋の家具は全部黒。服も黒が多い。 恋愛対象は女性。ただ恋愛自体そこまで興味はない。割とひとりでいるのが好き。 趣味はバイクと映画鑑賞。喫煙者。 □ 藤沢編集長の部下。実は元々家が近所で、昔から面識がある。隣に住んでるお姉さん的な存在で、凛お姉ちゃんなんて呼んで、自分が引っ越してしまうまではよく遊んでもらっていた。 彼女が大好きだった。引っ越す時にどれだけ泣いたか。その当時、恋愛なんてよく分からなかったけれど、もしかしたら…なんてことを今になって思う。 向日葵とは同期で、高校生からの仲。 昔から男になりたいという願望があり、ずっと偏見などに悩まされてきたが、向日葵のおかげで自分らしく生きられるようになった。彼女はモネにとって良き理解者である。 ひまと出かける時は男装。恋愛対象はお互い女性だが、大親友の関係が1番落ち着く。学生の頃からよく恋バナをしたものだ。 とはいえ男として就職するのは難しく、結局のところひまと一緒に女として｢Flower Road｣に入社。入ってみて驚いた。だって彼女がいるんだから。 でももう、彼女は覚えていないだろうな。寂しさを覚えつつも、普通に仕事をこなした。 女でいることを強いられる若干の不便さを感じてはいるものの、向日葵もいて、凛灯さんもいて、周りの社員も優しいため居心地の良さを感じている。 ある時ひまが｢凛灯さんって素敵！｣と言っていたのでやっぱりな、と笑った。ひまはああいう人がタイプなのは知ってる。 久しぶりに彼女とちゃんと会話したのは、仕事でやらかして残業していた時だ。向日葵も残って手伝うと言ってくれたが自分のミスだからと帰らせた。 1人で黙々とやっていたら、編集長がオフィスに入ってきて、最後まで付き合ってくれたのだ。 まぁミスに関して色々と言われたけど、どの言葉も優しくて、いい上司だなと思った。 その日の帰り、1度だけ一緒に食事をした。凛灯さんは覚えていてくれたみたいで、大きくなったね、なんて言ってくれた。とても嬉しかった。 職場の話とか、休みは何してるのかとか、何気ないお話をした。あまりひま以外とこういうことはした事がなかったけれど、とても楽しかった。 ひまと親友だって話したら意外だね、なんて笑ってくれた。 茶化して｢凛灯さん、彼氏とか居ないんですか？｣って聞いたら｢女として見てもらえてないみたいなの｣と話していた。まぁこんな性格だからねって笑って。 そんなことない。凛灯さんは素敵な人だ。頑張っていて、優しくて、綺麗で。昔から知ってる。こんな素敵な"女性"はそうそういない。 そう思って、｢そんなこと、ないと思いますけどね｣なんてとっさに返した。顔が赤かったの、バレてなかったかな。 その日はそのまま帰って、それだけ。凛灯さんはいい人で、できる人で、周りから信頼されてる。 ミスを助けてもらった手前、変な気を起こして仕事の邪魔なんてしたくなかった。 もうあの時の凛お姉ちゃんじゃないんだから。 でも、ある日。凛灯さんが上の人たちと話してるのをたまたま見かけた。 ｢藤沢くん仕事は大変順調だけど、私生活の方はどうなの？｣ ｢まぁ藤沢くんって、何と言うか男勝りだからね〜｣ あはは、と笑うじじい共に苦笑いしてる彼女。 腹が立った。普通にセクハラだ。ふざけるな。 その後、傷ついた顔で帰っていく凛灯さんの横顔が見えて。 追いかけた。いても立ってもいられなかった。 私……僕が、僕が言うんだ。 あなたは素敵だって。僕は知ってるって。 好きです、幸せにします、って。 雨の中走って、走って、曲がり角を曲がって、 見たのはひまが凛灯さんに告白してるところだった。 ｢お願いします！！！！｣って。 ｢これで5回目ですけど、私諦められません！好きです！｣って。 なんだそれ。聞いてないよ。 凛灯さんはため息ついてから、いいよ。って笑っていた。 ………不思議と、あぁ、お似合いだなって思った。 負けた。でも、きっと、ひまの方が彼女を幸せにできるよ。 思えば、ひまは凛灯さんにやたら優しかったな。最近好きな人ができたとも言っていた。 僕は、応援してるって、言った。 そっか。良かったね、ひま。 1人で帰った。傘をさすのも忘れて。 びしょびしょになって家に着いて、シャワー浴びて、大声で泣いた。 なんの涙かはよく分からなかった。告白できなかったからか、ひまにお姉ちゃんを盗られたからか、何も伝えられなかったからか。分からないけど泣いた。 泣き腫らして、声も涸れて、死んだように寝た。 朝起きて、辞表を書いた。辞めよう。もうあそこでは働けない。決心して、出勤した。 そのまま凛灯さんのデスクに行こうとしてひまに話しかけられて。 気が立っていた。話しかけないでよ。今、会いたくない。｢何？｣って返した声は、酷く冷たかった気がする。 ｢モネくん大丈夫！？どうしたの？？すごい顔だよ！？？｣ ひまがそのまま凛灯さんに｢モネくん今日はお休みにしてあげてください！｣と言い放って、家まで送ってくれた。 何も聞かずに布団まで連れてかれて、暖かいスープ作ってくれて、抱きしめてくれた。 また、大声で泣いた。 この涙の理由は分かる。自分が惨めだったから。目の前にいるこの何も知らない大親友が、どうしようもなく優しくて、どうしようもなく大好きで。 ここでちゃんと納得した。ひまには敵わない。これで良かったんだ。僕が好きになった相手が悪かったんだ。ただそれだけだ。 結局Flower Roadは、辞めるのを辞めた。 ひまに正式に付き合うことになりました！と凛灯さんを紹介された。 ｢モネくんには真っ先に教えたかったんだ！｣って。まぁもう知ってたけどね。でも、その言葉にちゃんと｢おめでとう｣と、笑って返せるくらいには回復した。 今では3人で出かける仲だ。 未練がない訳ではないけど、もういい。 今は2人の幸せが、僕の1番の願いだ。 凛灯さん、どうかこのへっぽこな大親友を、よろしくお願いします。 相棒ポケモン：ラフレシア

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