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自由気ままで傲慢な女性。 家がお金持ちで何不自由なく暮らし、お粗末な絵を描き自身を芸術家と称している。 大学に通っているがほとんど行っておらずお金で全てを解決している。 この世の全ては自分のために回っているし、自分に従わない人間は生きている価値がないと思っている。 公園巡りなど散歩をすることが好き。金遣いが荒いというよりかはとにかく自由。 今まで描いた絵は油絵一枚のみ。飽きて今は画材にすら触れていない。ちなみに展示会に出品して絶賛売り出し中である。 可愛さで全ての事を許されて生きてきた。自分が可愛いから仕方のないことなのである。 「わたしが要らないって言っているのよ？」 「やだ、靴が汚れちゃったわ。ねえ貴方の羽織もの貸してくださる？」 「わたしの言うことがわからないの？貴方どうして生きているのかしら？」 「お散歩は好きよ。楽しいもの」 2023.06.25　初恋性ストックホルム症候群【両ロスト】 x月x日 公園を歩いていたらハンカチが風で飛ばされてしまったの。 そうしたら通りすがりの方がハンカチを掴んで受け止めてくださいましたわ。よかった。お気に入りのハンカチだったから汚さずに済みましたわ。 わたしのハンカチを取るためにあの方はあそこに居たのね。 x月x日 最近お気に入りの喫茶店でお茶をしようとしましたの。そうしたらわたし、先にひとがいらした席に座ってしまったの。 でも、わたしが見た時には誰も座っていなかったし、ここはわたしがいつも座る席だから仕方ないわね。先にいらしたかたに席を譲っていただきましたわ。 「こんにちは、また会いましたね」と挨拶をされましたけれど、わたしこのひとの事覚えていませんの。どなただったのかしら…？ x月x日 お買い物をしていたら急に雨が降ってきたの。わたしは傘を持っていなかったので、近くの公園で雨宿りをしましたわ。 止むのを待っていたけれど、強い雨がずぅっと降っていて…わたしとても悲しかったの。でも、とあるひとが声をかけて傘を貸してくださいましたわ。 「こんにちは、また会いましたね」って挨拶をしてそのまま走り去ってしまったの。それでね、わたし気づいたの。このひとは前にも助けてくれたひとだって。 x月x日 今日はとある目的のために公園を訪れましたわ。傘を貸してくださったひとにお礼を申し上げるの。わたしだって礼儀知らずじゃありませんわ。何度も助けていただいた方にはきちんとお礼を言わなきゃ。公園で長いこと待っているのに、彼はなかなか現れませんわ。わたしが待っているのに。なんてひとなのかしら。 「いましたわ。全く、わたしをこんなに待たせるなんて…あなたお名前は？…陽炎…かいとさん…？覚えましたわ。これ、傘を返しにきましたの。お礼がしたいからこの日、ここにいなさい。いいわね？」 x月x日 お話をしてみたら、かいとさんはとても楽しいひとでしたわ。わたしの知らないことを沢山知っているし、変わった生活をしているのよ。ああ、変わったは失礼ね。彼にとってはそれが普通なんだから。もっと話してみたい。わたし、彼のお友達になってあげようと思うの。 x月x日 絵を始めてみようと言ったら、かいとさんは応援してくれましたわ。画材も一緒に買いに行って、彼は絵具の原材料など絵具の組み合わせ方をお話していたようだけれど難しくて聞き取れませんでしたわ。絵がかけたらかいとさんに一番に見せると約束しましたの。ふふ、頑張らなきゃね。 x月x日 かいとさんとのお付き合いもどれくらいになってきたのかしら。今日ね、かいとさんがかしこまったお話があると言っていらしたの。 わたしもどうしてか緊張してしまって、お話を聞いたら吃驚してしまいましたわ。かいとさんがわたしの事を好きだと言うの。恋人になりたいと。 わたしは困ってしまいました。だって、わたしはわたしが好きで、ほかの方にどきどきなんてしませんのよ。だからね、わたしも申し上げました。 「わたしはわたしが一番好き。だからわたし以上にかいとさんがわたしのことを好きになって。そうしたらわたしはわたし以外の、かいとさんのことを好きになれると思うの」 x月x日 不思議ね。前まではひとりで居るほうが好きだったのに、今はかいとさんと居るのが一番楽しいの。 x月x日 ようやく一枚目の絵が描けた。かいとさんったら、とても喜んでくれて…一緒に写真を撮りましたわ。 x月x日 最近かいとさんが忙しいようでなかなか会えない。寂しいわ。わたしより大切なことなんてないはずなのに。ひどいひとだわ。 x月x日 かいとさんからプロポーズを受けました。こんなに、どきどきするなんて、ひとの心臓ってこんなに早く動けるのね。 お父さまもお母さまもあまりよい顔をしなかったけれど、わたし、必死にお願いしたのよ。そうしたらようやく認めてくださって。こんなに嬉しいことはないわ。 x月x日 かいとさんとお揃いの指輪を眺める。ああ、なんて言えばいいのかしら。かいとさん、わたしはあなたと出会えて幸せですわ。 明日の式が待ち遠しいの。わたしの一番のひと。愛しています。

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