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７０歳前後の年相応の肉体であり、顔には幾つもの皺がより、髪も全て白くなっている。だが、肉体はさして衰えておらず、普通の日常生活を送れている。服装もとくに派手なものを着るわけでもなく、落ち着きのある服装を選んでいるため、見た目はまさに普通のおじいさんといった感じである。ただし、戦闘機搭乗員時代に敵機から機銃攻撃を受けた際に被弾し、右目の辺りには傷跡が出来ている。また、このときの後遺症で右目の視力は極端に悪くなってしまい、こちらの目はほとんど開かずに視界を左目に頼っている。なお、服の下に隠れているものの、戦中の古傷自体は右目以外にも幾つも残っている。 ・恩賜の銀時計：軍人時代、霞ケ浦航空隊に入隊後、操縦練習生３６期を主席で卒業。その際の卒業式のときに、昭和天皇の名代から功績を称えられて恩賜の銀時計を拝受した。それ以来、戦闘機搭乗員としての道を歩んだ時も、戦後新たな人生を踏み出した後も、この銀時計だけは肌身離さず持ち歩いている。過去の決意と自らの功罪の証。自らが望んで追いかけたものと、その中で得たものと失ったもの。若き日の想いと結果が込められた自らの原点。 霞ケ浦航空隊で教官をしていた際に知り合った予科練習生の中には戦後に栄達を果たした者がおり、その時の関係が理由で現在政財界で活躍する、あるいは活躍していた人間に繋がりがある。 かつての思い出の品として、チョコレートを幾つか持ち歩いている。これは勿論子供たちにあげたりするのだが、たまに自分で食べてしまうこともある。甘味はわりと好物。 ・かすみ幼稚園：戦後十年くらいは農業を営んで生計を立てていたが、経済が復興してくるにつれ、農業を廃業して託児所を経営するようになる。託児所の経営はうまくいき、数年後には幼稚園としての経営が始まった。子供たちが幸福な人生を送ることが出来るように願いながら、よりよい幼稚園経営に励んだ。 オーヴァードとして覚醒した際に、普段の好好爺としての円満な性格と、若かりし頃の軍人としての性格が分離する。日常生活の中では今まで通りの様子であるが、戦闘などでレネゲイドウィルスが活性化すると、軍人時代の熱い性格が表に出て肉体の主導権を握ることになり、やや過激な言動が見られるようになる。またその際には、肉体自体もある程度若返り、髪の色も黒く変化する。 レネゲイドが活性化するとひどい頭痛に襲われ、その侵蝕率が上昇するにつれて頭痛が悪化する。そして耐えられなくなると意識を手放し、もう一方の人格が顕在化する。軍人時代の人格は不活性化された状態で普段は精神の底に眠っているが、普段の性格が活動している間の状況は見ていて把握している。一方、普段の人格は軍人時代の人格の覚醒中には完全に気を失っていて、何が起きたかは人伝に聞いて把握するしかない。 妻には数年前に胃癌で先立たれている。息子が二人と娘が一人いて、全員結婚して所帯を持っている。長男夫婦と共に暮らしていたが、妻の病死を契機に長年住んだ家を出て、現在は独り暮らし。ただ、子供たちとの関係は良好であり、現在住んでいる団地の一室も子供たちが資金を出し合って借りている。７０歳になった際には、古希の祝いとして、伊勢旅行をプレゼントされる。そして、八月某日、羽田空港からボーイングに乗り大阪空港へと飛び立つ。

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