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Rラボと千ヶ崎刹那の合作により完成された人造RB【天使】を内蔵したオーヴァード。 制作には旧南方軍部が所有していたとある兵器の技術を転用しているとか、いないとか。 幼少期に埋め込まれたこともあり本人の精神と完全に同化を果たしている。 性格は温厚であるが、戦うこと、殺害することへの抵抗はすでに失われており、目覚める前の記憶は有していない。 戦闘面においては命中精度の不安が懸念されているが、それ以外は概ね水準値を維持している。 人造RB【天使】 天使と渾名がついているが、エンジェルハイロウではなくノイマンシンドローム。 制作者曰く、 「天使の弓が最もわかりやすく、イメージしやすい射撃武器だったからこう名付けたけれど 如何せん制作班にはそんなロマンチストはいなかったようでね、天使様とはほど遠い爆撃機が出来上がったよ。 素体としたレネゲイドも崩壊しかかっていたし、まあハイロゥじゃないのも仕方ない。」 天使との融合をするにあたって一度人格は破壊されている。 また融合したことにより彼女はもうRBなしでレネゲイドを完全に制御することはできない。 もはや分離することも適わない一心同体となってしまっている。 『失われた記憶の断片』 私の母はオーヴァードであった。 あの人は私にオーヴァードとしての側面を見せたがらなかった。 それは自らをバケモノと称し、人外だと認識するからこその配慮だった。 ただあの日、母のそれを見てしまった。 夥しい数の動く屍、それから家族を守るため私には決して見せることのなかった力で応戦している。 眩く神々しい光が屍たちを一掃していく。 しかし後になって分析するなら相手が悪過ぎた。 一度の瞬発的な爆発力により広範囲殲滅を得意としていた母と、無限に蘇り続ける屍の群れは最悪の相性と言って良い。 撃ち漏らした屍が父を殺めた。 正しく言うなら父はレネゲイドに呑まれた。 自我は崩壊し、感染したかのように突如発現したヴラム=ストーカーのウイルスにより体内の血液を全て吐き出し、そのまま屍の一員と化して、泥と消えた。 それを認識した後で、私の意識もそれまでだった。 気づいた時には見知らぬ病棟で、見知らぬ天井を眺めていた。 両手両足を対オーヴァード用の枷で拘束され、私の一生は幕を閉じたのだ。 今はカルロと呼ばれる少女だったモノ 人として残らなかった最期の記憶。 UGNエージェント【戦乙女　ヴァルキリー】〈エンジェルハイロゥ〉に関する資料 当該エージェントはオーヴァードとして不安定な状況にあった。 「母親として、人としての自分とオーヴァード、バケモノとしての自分で人格乖離を起こしている。 自身の欲求にレネゲイドは連動する。 故に自分が何者であるか定義できていないならば不安定になってもおかしくはない」 と問診を行った千ヶ崎刹那研究員は述べた。 UGN人事部、および同研究員の属するR-ラボによる協議の結果、 当該エージェントは秘密裏に処理されることが決定した。 処理作戦は当該エージェントに悟られぬよう同研究員が行い、その後R-ラボの管轄として扱う。 処理作戦中、当該エージェントは暴走しジャーム化、それに伴い、居合わせたエージェントの夫、娘は感染が確認され、夫はレネゲイドに肉体が耐え切れず死亡が確認された。 なお当該エージェントであったもの、（以下当該ジャーム）は同研究員により鎮圧がなされている。 『UGNエージェント【戦乙女　ヴァルキリー】〈エンジェルハイロゥ〉に関する資料』補足 処理の内容は当該オーヴァードの感情を揺さぶり、その中で人としての理性を守れるか、というテストを行った、と千ヶ崎刹那研究員は語る。 もっともそこでジャーム化する以前に同研究員が手を出したのが先ではないか、と怪しむ見方もあり、真相は定かではない。 人造RB【天使　エンジェル】に関する極秘資料 オーヴァード【戦乙女　ヴァルキリー】の回収後、千ヶ崎刹那研究員の下レネゲイドと肉体を分離させる実験が行われた。 ※【戦乙女　ヴァルキリー】に関しては以下の資料を参照すること。 『UGNエージェント【戦乙女　ヴァルキリー】〈エンジェルハイロゥ〉に関する資料』 その結果、素体となった当該オーヴァードは、オーヴァードの持つ特異性を完全に喪失し、 肉体の機能停止を確認。 一方当該レネゲイドウイルスはRBとして一時的に成立したものの、存在そのものが不安定であり、機能させるには定着できる依り代が必要であった。 そのため同研究員は当該オーヴァードの血縁者をその依り代とし共生型RBとしての定着を試みるも、結果として依り代となった血縁者の精神が完全に崩壊し、ジャーム化の可能性が極めて高い状態となった。 過去に南方軍部で開発され、その後UGNエージェントとして活動していた人造レネゲイド兵器No,XXXの人格データと技術を転用し人格の再構築がなされ、容体は安定。 RBは元のシンドロームではなく、ノイマンシンドロームとして定着し、依り代はモルフェウスの能力を発現させた。 依り代はその演算能力と素体の射撃適性、また疑似人格を持つことから戦場での自立型後方支援機としての性能が求められ、戦車の意味を持つ「カルロ・アルマート」と名付けられた。 管理責任者【血だまり　ベルゼブブ】千ヶ崎刹那 R-ラボ担当オペレーター【嘲笑する眷属】名称登録無し 戦術戦略指南役【ゲームマスター】葦原菖蒲 千ヶ崎刹那とカルロ・アルマートの会話 「マスター質問があります」 「千ヶ崎でいいよ、マスターなんて柄じゃない」 「いえ、しかし」 「呼び捨てが気になるなら、まあ……Mr、とでもつけといてくれたまえ。 それで、なんだい？」 「ではMr千ヶ崎、あなたはカルロ・アルマートになる以前の私を知っていますか」 「ん？いや？全然？キミがカルロになったあの日が初めましてだったからねえ」 ------- 切り開くものたち　ロスト。 身体システム修復後、再起動を果たすも人格データは完全に喪失。 開発当初の無機質なものを再度埋め込む形となった。 旧繃月支部、現高槻支部に再配属され、 その傍らで葦原菖蒲直属部隊随行支援ユニットとして戦線を絨毯爆撃により支援する。 カルロ・アルマート　最期の記憶 ≪ターゲットロック、敵性機体RVAC-000-0001頭部、右腕、左腕、右足≫ ≪照準セット、レネゲイド充填開始≫ ≪レネゲイド規定値オーバー≫ 構わない ≪レネゲイド充填200%　SEIRYUオーバーチャージ≫ 大丈夫、私がこの武器を使ってみせる。私と同じ試作機だから。 ≪照準確認、システムオールレッド≫ システムオールグリーン、私は耐えられる。 ≪発射まで、5.4.3≫ 「R-ラボを巻き込んだこと、後悔させてあげますわ」 ≪2.1　発射≫ ≪……着弾確認。敵性機体、損傷多数、再起の兆候なし≫ …………やってやりましたわ、Mr繃月。 発声器官が損傷したのか上手く声がでない。 視界が曇る、視覚がやられたのだろうか。 音が拾えない、聴覚も麻痺している。 そのくせレネゲイド感知器官だけは調子がいい。仲間の無事は確認できた。 さすがですわ、Mrプリズナー。称賛の声を上げたい、それも掠れて消えた。 ああ、やりすぎましたのね、私。 “いい？カルロ。無理をしてはダメよ。敵と刺し違えるのは最悪の愚策よ” “カルロ・アルマート、キミの身体はそこまで頑丈ではない。 レネゲイドを臨界稼働させれば身体はその負荷に耐えられないだろう” 師匠、Mr千ヶ崎、私はそれでも…… “カルロ、一つ聞いておくわ。貴方は何故戦うの？” “戦うことは殺害のための手段です。それ以外にはありません師匠” ああ、そうか私は……あの仲間といる時間が。 戦場が、支部が、あの日常が。 ≪………敵性レネゲイド反応再検出、ターゲットロック≫ ………！ あれがなんであれ敵であるならば破壊する、それが私の、カルロ・アルマートの道標。 私が今終わらせる、私が、ワタシが、わたしが……… ≪レネゲイド値上昇、人格プログラム演算停止、再起動処理を開始≫ ≪目標、敵性レネゲイド反応。付近に味方オーヴァード4名を確認≫ ≪オーヴァードから敵性レネゲイド防衛意志を確認。ターゲット拡大≫ ≪目標、範囲内全ての敵性レネゲイド反応≫ ≪ターゲットロック、レネゲイド値管理システム遮断、戦闘処理断行≫ ≪発射まで5.4.≫ 「カルロォ！」 「プリズナー！歩と篠原さんを守れ！」 ≪オーヴァード繃月帯人エンゲージ　至近射撃プロセスへ移行≫ ≪オーヴァード高槻瑠璃急速接近を確認　対高槻瑠璃プログラム作動、コマンドBeehive≫ ≪3.2.1　発射≫ ≪……全弾着弾を確認≫ ≪繃月帯人、生命反応の低下を検知≫ ≪囚人番号893、重山歩、敵性レネゲイド、反応健在、レネゲイドの再装填を開始≫ ≪高槻瑠璃、生命反応低下、レネゲイド反応上昇を検知、未だ急速接近中≫ ≪カルロ・アルマート損傷多数、ブラム=ストーカーシンドロームによる遺伝子干渉を検知≫ ≪身体制御機能不全を検知、移動機能、著しく損壊≫ ≪高槻瑠璃エンゲージ明確な殺意を検知、光の銃起動≫ 「さよなら、カルロ」 ≪人格プログラム再起動完了≫ 「さようなら、Ms高槻」 あなたと共にいれて私は ≪カルロ・アルマート機能停止。再起動不能、プログラム終了≫ ---------

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