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振りなおし：SIZ1回 元少年兵~19 元SOCOM陸軍分隊小尉~26 現ワシントンD.C.インターポール所属~ SOCOM所属時は元少年兵であるということを一部の上司が知っていたため、風当たりが強く部隊での評価は最悪だった。養父からのオーソライズが無ければ昇格すらなかっただろう。 現在日本に潜伏しているらしい国際指名手配犯を監視するため日本に長期滞在中。 就いていた仕事をやめ、貯蓄を食いつぶしていると話す傍ら同じく潜入しているエージェント達と様々な手段で情報の交換を行っている。 巻き寿司にハマっている。ブルームーン（ビール）にオレンジを絞って飲むのはこちらに来てもやめられない。 MITでは心理学を専攻していたが物理担当の教授とは仲が良かった為、空いた時間でよく歓談していた。 講義の準備などを手伝うようになってからは音無の所属していた大学にも顔を出すようになる。 教授が優秀であるというだけあり彼女との会話はカデンにとっても有意義なものだった。それ以上に興味を惹かれたのは彼女の生い立ち・境遇だろう。 しかし今でも続いているツールを使っての他愛ないやり取りが単なる興味によるものとは違うと、認識しつつある。 友人と呼ぶのだろう、親友と言えるのだろう。だが彼自身、真に自覚は出来ていない。 コックスは現在の養父の姓であり、名前も養子になった際に新しくつけられたもの。 大学に入れたのはそれまでテロに必要な知識を憶える傍ら暇つぶしに勉強をしていたためでもあり、養父のおかげでもある 幼い頃にアメリカで誘拐に遭う。父はその際に死亡。 船で密輸されていたところをテロ組織に襲撃される。母と離別し少年兵としての教育を受けた。 19歳の時のことをふと今でも思い出すことがある。 今まで同じような人間を何人も何人も殺した。 感情は理性によって制御され、確立しつつあったブリーフシステムによって悲しみも怒りも感じなくなっていた。 ――だというのにあの日のことを未だに忘れられないのはなぜだろうか。 友の為に自身の身を刃へ投じたその者の姿は、物言わぬただの肉塊になり果てた。 何度も見た光景だ。ナイジェリアで、シリアで、オランダで、トルコ、エジプト、イラク、ソマリア……。 おもらしを体で隠す子供の姿にもよく似た、赤く染まりゆく肉の塊。何を思ったのか、本当に友の為そうしたのだろうか。 あの日を境に、組織は崩壊した。 自分はいまだこうして生きている。 問いは全身を巡り、”しこり”は日に日に大きくなっている。 感情は消えることなく在り続けた。微弱ながらも自身の罪の意識はSOSを発し続けていた。それを無視するように下を向き続け、生きてきた。 過去とは常に自分の頭上にある。彼が彼自身を見つめ返し、自覚に至るのはそう遠くないだろう。 果てのないドロローサの道と十字架は既に用意された。彼に残されたプロセスは、そこへ辿り着くのみ。 全てに憎まれながら全てに忘れられる これが俺の果たすべき道なんだ 俺は俺自身の罪を決して忘れるつもりはない しかし俺の罪によって失った存在に　そのことに罪はない 俺は天使でも神でもない　個人だ 全は俺の見える世界だ、俺の届く世界だ それが救えるというのなら 俺は喜んで俺を差し出そう 僕はカデン・コックス。70億余りの旅人の中の1人　僕の旅はここからようやく始まる 心残りがあるとすれば……いいやなんでもない どこからだろう、アップルパイの臭いがする

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