タグ： ファンの資格

火之浦　源清。24歳。 T大学の大学院に勤めてる。若くもあるが優秀な学者で教授からも一目置かれているほどだ。 彼は己を良く知る。自らが他人の目にどう写っているのかを把握しているのだ。さらには、相手が何を想うのか、相手が何を望むのか、相手の好意、相手の悪意、それを感じ取ることができる。 なぜそうなのかは彼自身もよくわかっていない。幼少の頃から自然と出来るようになっていた。 平凡な生まれだった。平凡に生まれ、平凡に育ち、幸せと言えるかはわからないが、満ち足りた人生を送っていた。穏やかな性格が嫌われることはなかった。 大学院生になったのはそれが良いと思ったから。ただそれだけである。漠然とした未来の中で、運良く自分の能力で出来るものを見つけただけであった。 だからこそだろうか、最近は何か物足りない。自分は何になりたいのだろう。このまま医者になるのだろうか。それも悪くは無いかもしれないが 『恐らく僕はこうであってはならないんだ』 人生の目的を見失っている。それを見つけるために、あらゆるものに手を出そう。 たとえそれが狂気であったとしても。

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