タグ： 天使たちの黙示録 HO4 らんたな

挿絵作家。南の国出身。一人称はボク。 南の国随一の学術都市に授かった。 幼い頃は剣術や七科など様々な教育を受けていたが、力が弱く志願して挿絵画家になった。それ故の細く白いさまは中性的な見た目も相まって周囲からたいへん可愛がられる原因になっている。 世間のことには疎い。 宗教画のミニチュアールを主な仕事にしているが本人はこれをあまり好まず、暇さえあれば風景や動植物を描いている。その様子は熱心な信徒には咎められることも多いが、学者たちの中には密かなファンも多く、個人的に学術書の挿絵・装飾を依頼されることもしばしば。 その他司書たちの手伝いもしている。 絵ばかり褒められてきたので絵しか自分には取り柄が無いと思っており、6つ上のこの都市で一番絵が上手いと言われていた先輩に早く追いつかないとと思っている。 その先輩は6年前に疫病で亡くなった。 司書さんや学者さん、錬金術師さまとは仲が良く目をかけられているが同年代の友人はいない。平穏な今の暮らしに不満はないが、本でしか読んだことのない他の町や国、気の置けない仲間というものに憧れており、いつか商人についていって世界を見て回りたいという夢がある。 信仰のことはよくわかっていないがこんなに素晴らしい自然を創り上げた主はどんなにすごいことだろうと漠然と感じている。季節や動植物が同じように巡ってゆくさまが好き。人間のことも自然の一部と考える彼の考え方は他の人々には奇妙なようでいつしか彼はそのことを口にはしなくなった。 天使は見たことがないのでいつかこの目で見て描いてやろうという密かな野望がある。強い憧れがあり天使に選ばれるような素敵な人間のお話はぜひ聞いてみたいので話せる機会がないものかと考えている。 星を眺めることが好きで深夜まで起きていることも。 夏至の時期になると早起きをして天文台の人たちと一緒にシリウスが昇るのを今か今かと待っている。一年で一番好きな時間。 錬金術師さまから貰ったラピスラズリの飾りが一番の宝物。 そんな彼はアポカリプス大天使養成学校への招待状を受け取った。 「ねぇ君、ボクの絵のモデルになってよ！」 「生きて同じことを繰り返してゆくことこそ永遠ともいうべきじゃないかな」 「それが主の思し召しでも」 ---------- ---------- (2000-2016) イギリス有数の都市に生まれた。 幼いころから様々な教育を受けパブリックスクールへ入学した。運動は苦手でそれ故の細く白いさまは先輩や同級生から可愛がりを受ける原因のひとつになっている。 世間のことには疎い。 本を読むことは喜ばれたため昔から本ばかり読んで暮らしてきた。幼少期の中でたくさん書かされた絵だけは楽しかったが、年を経るにつれ咎められるようになりいつしか筆を持つことが怖くなってしまった。 自分には取り柄がないと思っており、もっと勉強して良い成績をとらなければと思っている。 先生や図書室の司書さんには気にかけられていてよく話すが同年代で友人と呼べるような仲の良い者はいない。門限が厳しく遊びまわった経験も無いため、物語でしか読んだことのない豊かな自然や人情溢れる街並み、信用してもいい友人というものに憧れており、生まれ変わったら旅人になりたいという願望がある。 家は敬虔な正教会の信徒だが信仰のことはよくわかっておらず、世界の神話や伝承を区別なく好んでいる。昔はそういったオカルト話を楽しそうに聞いてくれる同級生もいたが、普通の人には困った顔をされるのでしないようにしている。 その同級生は、初めて遊びに行く許可を取って二人で街へ行こうとした日に事故で亡くなっている。 星を眺めるのが好き。晴れた夜にはよく星が見えないものかと部屋の窓から空を覗き込んでいる。 そんな暮らしがある時急に悲しくなり、彼は留学をすることを思いついた。珍しく勉学に積極的な彼の提案は歓迎され、来年度からアメリカへ留学しようということになった。 その日の夕方、彼は初めておつかいを頼まれ中心街にいた。心躍らせながら小さい店で買い物をしている時、店内に暴走した車が突入、巻き込まれた彼の腕は切断せざるを得ず、翌週彼は初めて自らの意思でした行動を叶えたのだった。16の誕生日の前日のこと。自分が意志を持つことで罰を受けるなら、自分から罰を受けてしまえばいい。そうすればもう、呪いに悩まなくてすむ。 「僕には君が世界そのものみたいだ……」 「死んでも記憶に残らなければ永遠なんかじゃないさ」 「それが主の思し召しなら」

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