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高校の時、彼女と出会った。 彼女の名前は坂之上 忍(さかのうえ しのぶ)。当時から根暗な僕に声をかけては反応を楽しんでいたようで、いわゆる僕と逆の立ち位置の人。 そんな彼女が僕に「アタシ中御門の事好きだな！付き合っちゃおうよ！」と告白してきた。 人生初の出来事に僕は全身の血液が駆け巡り、ボボボッと湯気があがったような感覚があったことを覚えている。 僕はどう返事したんだろうか。返事をした僕の言葉を聞いて彼女はまたケラケラと笑っていた。 僕はそんな彼女の笑顔が好きだった。好きだと思ったから、そしてこんな僕を好きになってくれたことが嬉しくて、一生をかけて大切にしようと思った。 だから僕は勉強を頑張って、医者という道を選んだ。 彼女も応援してくれた。けれど、それだけど彼女は僕と別の大学へ進むことになった。それは僕たちの進む道が違うから仕方ないことだった。 どんどん遠距離になっていた。それがいけなかったのだろうか。久々に彼女から電話が来た。 勉学も進路も順調で研究に没頭していた僕は明るく電話に出た。 「ごめん、アタシ大学で付き合う人できたから別れよ」 僕は「え」としか言えてなかったと思うが、気づけば向こうからは電話が切れた音。 掛けなおそうとしても彼女は電話に出ない。 僕は先ほどまでしていた研究のことが抜けていった。 世界が灰色の世界に戻っていく。彼女のおかげで明るかった世界の色が落ちていく。 自暴自棄になったのか、何をする意味も見い出せず、起きても寝ても食事をしていても己の顔を鏡で見ても彼女との出来事が蘇ってくる。 話をしよう。 僕はなけなしの勇気で、彼女の大学へ向かった。 そこで丁度彼女と新しい彼氏が仲睦まじく歩く姿。彼女は清楚な雰囲気に変わっていた。隣の男は僕よりもはるかに明るそうだ。 丁寧に笑う彼女はなんだろう。ケラケラと笑って僕を子馬鹿にしたようにした彼女は、無邪気な彼女は。 話をしようと思ったのに気づけば僕は知らないところに突っ立っていて、ぼうっとしていた。 そうしてかなりの高さがある階段から転げ落ちてしまった。 このことから教授は僕に休養をとるようにと誘導してくれた。僕はこれからどうしたらいいのか。 彼女のためにと、大切にしたかった。その彼女が僕ではない誰かの隣で幸せそうに笑っていて、それをよく思わない僕は、なんて なんて醜いのだろうか。 小旅行へ向かう。どこか遠くへ行きたくて、波に揺れて、三半規管が気持ち悪くて、あぁどうにでもなったらいいのになぁ。 僕はこれからどうしたらいいのだろう。 ------------------------------------------------------- ひょろガリ、10/8生まれ、てんびん座、シュウメイギク(薄れゆく愛/忍耐) ※大学時穂村熾の後輩。 ------------------------------------------------------- フェティッシュ３か月→直哉 放射線科か、外科か、悩んでいた。 2021年になっていた。23歳。現在３年生。 2024年では26歳。ちょうど卒業になるであろう。 son=11

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