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産業革命で没落した男爵家の嫡男、地位としては一応平民だが貧民街育ち。両親はプライドだけが無駄に高く、そこから貴族という人種を毛ほども好ましく思っていない。 本名はアルバート・キーニングだが、基本的に名乗る時はアル、と愛称を名乗る。貴族然とした名前が嫌い。 3歳頃に両親が没落したことで平民となる。それ以前のことは全く記憶になければ、親が何を生業として貴族として生きていたのかも知らない。 5､6歳の頃から親の元を離れてルー・ファミリーで育つ。10歳頃以降は顔すら見ずにいるため親の生死は不明だし、どうでもいいと思っている。 ルー・ファミリーとの出会いは幼少期に奴隷商に誘拐されそうになったことによる。能力者が半数を占めるその子供たちの組織に救われたことで一員となる。 一番に彼を助けたのはパトリシアという非能力者の少女で、それがきっかけで彼とパートナーとしての関係を築いていた。 ちなみに誘拐の理由としては元婚約者のロザリンドを助けた際に、彼本人は無意識であったが能力を使用してしまったことによるものなのだが、それを本人は覚えてはいない。 一切の遠慮のないパトリシアに押されながらも、彼女が真っ直ぐに進めるように道を整えるのが彼の役割であった。そうして自然と能力を自己の制御下に置いていく。 そうして彼が12歳になった頃、ロンドン全域で行方不明事件が発生する。被害者は貧民や平民の子供ばかりであった。 事件の本質としては貴族を始めとする富裕層に当時流行り始めた『魔術』の生贄にするためのものであったという。 そして、それにパトリシアも巻き込まれ、命を落とす。彼女は理不尽な要求をする大人に噛み付き、連れて行かれた。 当然それを目撃した彼及びファミリーの能力者で救出作戦を立てるが、彼女の明るく笑う姿は奪われ、苦しさに顔を歪めた姿で発見される。 この事件以前にも彼は貴族というものを毛嫌いしていたが、より一層憎悪の念が深くなった。 奇術師一座という表面を持つ、義賊団ルー・ファミリーにおいて、どちらにおいても秀でた才能を持つ彼は止める者なく孤独になる。 その姿を見かねた、当時ファミリーの中でもとても良くしてもらっていたウィリアム、メアリーの計らいで、ギルとパートナーを組むことになる。 ギルとは年齢こそ近いものの、彼が周囲と壁を作っていたこともありあまり関係は深くなく、最初はあまり良い関係とは言えなかったのだが、どこか目を離せない彼にパトリシアとは別の心配を覚え、いつしか世話を焼くようになり、今では二人でいるのが当たり前となった。 奇術師として公演をするのはあくまでカヴァーで、彼らが表に出るときは情報収集、彼らが出ないときは義賊として作戦実行中の時となっている。 彼の得意芸はナイフ投げや幻術系の奇術、いずれも能力を使用したものである。高身長で四肢が長いのもあって、ご婦人の目を引いているのだとか。 義賊の活動をしていないときは、ドブさらいから力仕事まで、小銭程度にならないことでもとにかく何でもやる。時には売春行為も厭わない、頻度はさほど高くないが。 その売春行為でのお得意様から鉛筆をもらってからは、暇ができれば広場などで絵を描いて過ごすようになる。ここ数年の間でかなりファミリー全体の生活が安定したこともあり、画材に報酬を使うことができるようになってからはよく街に出るようになった。 親に読み書きを叩き込まれたので人並み以上には読み書きや計算ができることもあり、ファミリーの子どもたちに教えることもしばしば。 一応マナーやなんかも多少齧っている。

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