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寿司屋の跡取り息子として東京の下町のとある江戸前寿司屋で生まれた柊太　　最初に覚えた言葉は「ママ」でも「パパ」でも無く「クロマグロ」だった　　学校教育意識の低かった両親だったが板前としての知識は非常なほどに叩きこまれ、小学校を卒業する頃にはもう一人前の寿司職人としての力量を持っていた　　中学に入り、後の妻となる海老名光子（えびな　みつこ）に出会う　　柊太は光子に一目惚れし、それから間もなく交際が始まる　　中学を卒業し、調理師免許を取った柊太は、客前に出て常連客との親交を深めていった　　そして16歳の冬、柊太は光子にプロポーズし無事、婚約が成立する　　その際、光子は指輪の代わりに柳刃包丁を婚約の証として柊太に渡す　それ以来、柊太はその柳刃包丁を【光子】と呼び肌身離さず持ち、毎日丁寧に手入れをしている　　時は流れ、光子と結婚した柊太に両親は「おめぇなら、ここにこだわる必要もねぇ！さっさと家出てって自分で店開きな！」と半ば無理やり家から追い出され、　寿司屋【柊】を新宿に開業する　　それから間もなく、娘（望海（のぞみ））を出産し大事に育てられる　　そんな柊太の人生は順風満帆な人生に思えたが、ここから一変する　　【柊】の営業は開業当初順調かと思われたが、伝統的な江戸前寿司には華が無く、特殊なメニューがある店や安価な店（すしざんまい）に客を奪われてしまう　　とうとう赤字続きとなってしまった【柊】に光子は過労とストレスから病気になってしまい、2年後他界する　　赤字続きの店、一人ではこなせない仕事量、人を雇う金もない、望海の養育費、それらから柊太は【柊】を畳むことを決意する　　プライドからか妹夫婦も手伝い始めた元の江戸前寿司屋に戻ろうとはせず、その場の一時しのぎとして今の会社に就職するが、不慣れな所為からかおぼつかない手つきで業務をしている　　今の職場は辛いが今は絶対辞められない　　高校生の望海を大学に行かせてやるため、柊太は今日も社会と闘う

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