タグ： ピリカ

生まれた時からスラムにいた。 名前すら持ち合わせていなかったので自分でソフィアという名前を付けた。 雨風をしのげる家を持っているんだから、食べ物を少しぐらい分けてくれたっていいでしょう？ そう呟きながら登った木の上で頂いた林檎を齧る。下のほうでは自分を探しているであろう声がする。 林檎1つ、夕方にはまたお腹が空くぐらいの量。 ふわりと甘い香りがした。その先には大きな屋敷。確か伯爵とかいうお金持ちの家からだ。 きっと余るぐらいのおいしい食べ物があるに違いない。 忍び込んだ屋敷の厨房には見たこともない様な豪華な料理が並んでいた。 ふわふわの白いパンにコトコトと煮込まれているスープ、お皿に綺麗に並んだお肉（後から知ったけどローストビーフと言うらしい）に白いクリームのかかったケーキ。 クリームを指で掬って舐めると、思わずため息が出た。なんて美味しいんだろう！ 迷わずそのケーキをつかみ取って貪る。白いパンもお肉も、スープもスプーンを突っ込んで飲んだ。美味しくて美味しくて、理由は分からないけど涙が出てきた。死ぬ前にこんなに美味しい料理が食べれたのが嬉しくてかもしれない。 瞼が重くなる。このまま死んでも悔いはないなぁと、そう思いながらパンを抱きしめて眠りに落ちていった。 気が付いたとき、そこは柔らかいベッドの中だった。飛び起きると綺麗な洋服を着た人たちが心配そうにこっちを見ていた。 本能的に感じたここにいてはいけない自分がいるべき場所ではないという気持ちのまま、逃げるためにベットから転がり出ようとすると綺麗なドレスを着た女の人にそっと抱き留められてベッドに戻された。 こんなに痩せてしまっては動くことも出来ないでしょう？体調が戻るまでここでお休みしていきなさいと言われて心底驚いた。屋敷の厨房に盗みに入った汚い子供をこんな綺麗なベッドに寝かせて休んで行けと、頭おかしいんじゃないか？私ならば水をぶっかけて追い出すのに。 おうちはどこと聞かれて、そんなのないと答えたら綺麗な女の人と格好の良い男の人が顔を見合わせた。一言二言話をした後、良かったら住み込みの女中にならないかと提案してきた。最近トゥーイーニーが一人療養の為に田舎に帰ってしまったらしい。仕事は大変だけど３食の食事とお給金も出してくれると。 やりますと答える前に口に出たのは「ふわふわの白いパンとクリームのケーキも食べれるの？」だった。 名字のない私に、アルバート様がリードという姓をくださった。 私はここヒューイット伯爵家で女中をしているソフィア・リード。働き始めて５年になる。 ソフィア・リード ・年齢：19歳 ・身長：158㎝ ・人種：イギリス人 ・血液型：O型 ・一人称：私 ・二人称：〇〇さん・貴方 ・趣味：刺繍 ・好物：スコーン（クロテッドクリーム付き） ・伯爵家での勤続年数：5年 コマネズミの様に毎日クルクルと動き回って仕事をしている女中。 広い屋敷なので掃除が終わったと思ったらどこかが汚れているので、休む暇がないとよく嘆いている。 厨房ではつまみ食い常習犯。 ◆ Episode１ 『 Do you know what the devil's horn is ? 　- 悪魔の角は、何の角か知ってるか？- 』 【生還】 仕える主人は代わった。私も変わらなけれはいけない、今の主人を支える事が出来るように。 https://iachara.com/sns/4719292/view https://iachara.com/char/view/4705514 https://iachara.com/sns/4738805/view

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ