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彼は≪エデンの影≫――エデンという存在が"在る"為に必要とされた定義上の存在、実在しない仮定空間――の第Ⅳの使途として生を受けた。エデンの影は質量を持たず、エデンという存在に付き従う概念でしかない為、そこに住まう者達もまたエデンの民無くして存在出来ない虚ろなる幻惑である。≪エデンの影≫は太陽の光を享受するエデンが生んだ存在証明（そこに確かに存在していることの立証）の為に存る付属物に過ぎないのだから。 個体固有名はالتفاح。エデンにはない発音だが、あえて表記するならリン・ゴールディ（安寧を浸食セシ赤き竜）となる。名付けという行為は存在そのものが希薄な≪エデンの影≫の民の最初運命への反抗だったのかも知れない――――。本来の彼らは多少の形の差はあれど容姿というものを持たない漆黒の結晶だが、名を得たことで人の姿を得た。その名を授けた少年は今、何処で何をしているのか……。 التفاحは元々エデンの民と同等の高度な知能（INT16）を持っていたが、名を得た影が真に至ることを恐れた古の神々によって知性制限を掛けられ現在は非常に鈍い（INT9）。彼の目的は本来の自分を取り戻すこと、そしてエデンを真たらしめる現在の太陽を破壊し、影の世界を照らす黒き太陽を正位置へと掲げることである。これにより真と影は入れ替わり、彼の住む世界は≪真なるエデン≫へと昇華されるのだ。世界に個という概念は消え失せ、全てが等しく安寧の平等たる影に変わる。肉体ある者達は影の内に飲まれ、己を消失して消えてしまうことだろう。 それで漸く得たこの名前も消えてしまうのだとしても。それで君が救われるのなら構わない。 初めは、"そのこと"に何の疑問も抱かなかった。 ある時迷い込んだ君が、僕に手を差し伸べたこと。 僕らはただ揺れるだけの影――人の姿などない結晶――だったのに。 君は僕に手を差し伸べて、こう尋ねた。 「君の名前は？」 と。 今なら分かるよ。 君はとっくに、疲れていたんだね。 人が人に見えなくなる程に、ただの影を人だと思ってしまう程に……。 だから僕は、僕であることをくれた君に、君が君でなくてもいい世界をあげたいんだ。 その為なら。 僕自身が消えてしまっても構わない。 ――――思い出した。 ※以下『MIDNIGHT POOL』未通過× ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【AF】 ・鈴のついた朱色のお守り 和金のように鮮やかな色をした小さなお守り。 ダメージを1d3肩代わりする。使用後は消滅する。

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