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作家(クトゥルフ2010)参照 ベストセラーを多く輩出し、近年ではタレントとしても活躍の場を広げる著名な小説家、「露木賢治」のゴーストライター。ふわふわとした少し気弱で心優しい青年。 優しい両親に愛され、幸せな家庭で育つ。しかし5年前、交通事故で父が他界、母は意識不明の重症で植物状態に。 どうしたら良いかわからないまま立ちすくむ中、真っ先に駆けつけてくれたのが叔父の露木賢治だった。「大丈夫だ。お母さんもいつかきっと良くなる。叔父さんがなんとかするから心配しなくていい」と優しく声をかけてくれた。その後は賢治のもとでお世話になることとなる。 学校に通わせてもらいながら身の回りのことを手伝う中、やがて執筆のアシスタントを行うようになる。元より本を読むことも物語を書くことも好きで、賢治に憧れを抱いていた碧にとっては、彼の仕事を手伝えることが嬉しかった。いつか自分も小説家になりたいと、時間のある時はノートに文章を書き連ねていた。 ある日、賢治は碧のノートを見て驚くこととなる。碧には類稀なる才能があった。全盛期に比べると人気が低迷していた賢治は、碧の才能を利用しようと画策する。自身の原稿に紛れ込んでいて採用されてしまったのだと偶然を装い、碧の作品を自分の名義で世に出した。 それはここ近年稀に見るヒット作となった。碧はこの事実に驚きどういうことかと賢治を問い詰めるが、のらりくらりとした言い訳で躱されてしまう。更には母親の医療費を持ち出して、ゴーストライターとなるようにと言われる。 世間に嘘をつくような行為に、最初は渋っていたものの、自分の書いた作品が評価されたということは単純に嬉しく、多くのひとに手に取って貰える喜びを感じていた。しかし、何作かの代筆した作品が世に出るうち、どれだけ作品が評価されても世間は自分を認識しないという事実に虚しさを覚えるようになる。 次第に賢治の要求も過激になり、書かないと家から出して貰えないことも多くなる。息が詰まるような生活の中、碧という名で短編をSNSに投稿し続けた。それが唯一の世界とのつながりであり、自分の存在を確かめる手段だった。 しかし、その短編小説が世間で密かに話題になり、賢治に碧が書いたものだとバレてしまう。賢治は「ゴーストライターであることを公表して俺を貶める気か」と激昂し、挙げ句の果てには「誰が死に損ないのために大金払ってやってると思っているんだ。お前は一生俺の奴隷だ」と言い放った。 交通事故から4年が過ぎ、母が亡くなった。その後もゴーストライターとしての日々は続いた。 あんなに好きだった書くことが辛くて苦しくて仕方がなかった。この生活が一生続くのならば、死んだ方がマシだと思った。何度も死のうとしたが、やはり死が恐ろしいのか、それとも運が悪いのか、後一歩のところで死にきれず、賢治も碧に死なれては困ると部屋に軟禁するようになった。 ある日、賢治の隙を見て家を逃げ出す。書き上げた最後の作品をデスクに残して。がむしゃらに走って辿り着いたのが海だった。久しぶりに見た海がとても綺麗だったから、ここでならきっと死ねるような気がした。 【通過シナリオ】 『海も枯れるまで』HO1 『ラストグラス』KPレス

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