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スティーブンソン兄弟はかつて画家を目指していた。 しかし兄のリチャードは挫折し酒に溺れ、弟のウィリアムは、才能に恵まれるも運に恵まれず、貧しい生活を送っていた。 だがある日、リチャードがウィリアムの部屋を訪れると、とある絵画が置いてあった。それは有名な画家の画風そのものであり、何故そんな絵がここにあるのかと弟に訪ねると、彼は「それは練習で描いた模写だ」と答えた。 どう見ても本物にしか見えなかった兄は、あるアイデアを閃く。兄はその絵を借り受けると、その絵に少し手を加え、原作者のサインを模写した。そして知り合いのつてを伝い、とある富豪にその絵を本物として売り付けることに成功する。 そのことを弟ウィリアムに報告し、再び模写を描いて欲しいと頼み込むも、弟は難色を示した。そんな弟に兄は、「悪どく儲けてる連中から巻き上げるだけ」「お前を認めない美術会への復讐」等と説得するも弟の態度は変わらなかったが、「画商として成功すれば、いずれお前の絵も扱うつもりだ」という言葉に心は揺らぎ、ついに贋作製作へと手をそめてしまう。 その後彼らが大成するまでに、そう時間はかからなかった。リチャードは一代で富を築いたいわゆる「成り上がり」と言われる人間を主なターゲットとした。そういう人々は今まで芸術に関わる機会が少なく、よりバレにくいと考えた為である。そして時勢がらそういった人間は山ほどおり、売り手に困ることは無かった。 リチャードは贋作で得た金を元手に正当なブローカー、画廊としての仕事も始める。しかしその裏では今まで通りの贋作製作に加え、盗品の売買をも行うようになっていた。 巨額の富を築き上げ、リチャードは画商として十二分に成功したと言えるようになっただろう。がしかし、今だもってなお、弟ウィリアムとの約束は果たされていない…

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