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【『弱者』の味方、男装の怪盗・寿三良(ことさぶろう)】 　スラム街で育った幼少期。『子供』に鞭打つ重労働。容赦なく搾取される『女』。 　見聞きしたもの、「体験した」もの。それでも彼女は折れなかった。 　「いつかきっとみんなで幸せに暮らせる日が来る」と信じていた。 　―――あの時まで。 　失った場所、喪った命、身体に刻まれた痕跡はいっそ幸いだったかもしれない。 　これで『見失わなくていい』。 　かつて憧れたものがある。強きを挫き弱きを援く。影に乗じて飛び回り、華麗に予告を果たしていく。 　「怪盗」という存在。己もそうなりたい。己の様に搾取される『弱者』を救いたい。 　自分のような思いをして欲しくない。「大事な家族」のような思いをして欲しくない。 　上でふんぞり返って扇子片手にせせら笑ってる奴らの鼻っ柱を叩き折ってやりたい。 　 　それが本来悪行であることなど解っている。銀幕の中で追われていた彼を見ていた。 　構うものか。たとえ死ぬとて、一泡でも二泡でも吹かせられればいい。 　彼女の夢は、腐った富裕層から奪った物を弱者へ注ぎ、己と同じ思いをする人間を無くすことだ。 　彼女は姿を変え、性別すら偽り、今日も闇を駆け抜ける。 　『正義の反対とは何か？悪か？いいや違う。正義の反対は別の正義である。 　　「人」を捨て堕落した悪魔どもに飽くなき制裁を！ 　　―――怪盗「寿三良」、此処に推参！！』 　普段は詩人として活動しており、基本的に常に変装している。 　火傷痕とか見られたら面倒だし顔変えとかないとばれちゃうもんね。

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