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クトゥルフ PC作成ツール
河合 和希
ID:2304345
MD:65e22bba28a85462d357753c71decbf4
河合 和希
タグ:
つかさ@168
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生まれ・能力値
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その他増加分
一時的増減
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知識
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SAN
現在SAN値
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(不定領域:
)
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技能
職業P
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(うち追加分:
)
興味P
/
(うち追加分:
)
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初期値の技能を隠す
複数回成長モード
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<戦闘技能>
成長
戦闘技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
回避
キック
組み付き
こぶし(パンチ)
頭突き
投擲
マーシャルアーツ
拳銃
サブマシンガン
ショットガン
マシンガン
ライフル
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<探索技能>
成長
探索技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
応急手当
鍵開け
隠す
隠れる
聞き耳
忍び歩き
写真術
精神分析
追跡
登攀
図書館
目星
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<行動技能>
成長
行動技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
運転(
)
機械修理
重機械操作
乗馬
水泳
製作(
)
操縦(
)
跳躍
電気修理
ナビゲート
変装
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通常表示
<交渉技能>
成長
交渉技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
言いくるめ
信用
説得
値切り
母国語(
)
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<知識技能>
成長
知識技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
医学
オカルト
化学
クトゥルフ神話
芸術(
)
経理
考古学
コンピューター
心理学
人類学
生物学
地質学
電子工学
天文学
博物学
物理学
法律
薬学
歴史
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戦闘・武器・防具
ダメージボーナス:
名前
成功率
ダメージ
射程
攻撃回数
装弾数
耐久力
その他
%
%
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所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
価格総計
現在の所持金:
、 預金・借金:
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パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
職業
年齢
性別
身長
体重
出身
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
「平凡を繪に描いたやうな、何の面白みもない人間。」 「平凡。無個性。どれも俺を表すにはぴつたりな言葉だ。」 親戚の文士(小説家)の家に下宿し師事している青年。 一家の次男として生まれたが、自身には何の才能もなく、周りから期待されていないことを自覚している。 学校卒業後、厄介払いのように浅草にある親戚の家への下宿を勧められ、特に断る理由もないため流された。 和希は下宿先の親戚とは面識がなかった。否、もしかしたら幼少期に会っているかもしれないが、親戚といっても縁遠いものであり、少なくとも和希の記憶にはいない人物だった(実は親戚の作品を読んだことがあるのだが、筆名と本名が違うため、気づくのはしばらく後である)。 この一人暮らしの親戚、文字書きとしてはそこそこ評判がいいものの、いかんせんそれ以外の部分はなおざりである。 「凡人からしてみれあ、一つでも人より秀でたものがあるなら十分だと思ふけど。」 部屋は散らかりっぱなし、食事は思い出すまで摂らない、といった感じで生活能力が低く、身の回りのこともまともにできないため、(和希自身がまともな生活を送るためにも)いつの間にか親戚の身の回りの世話をするようになっていた。気づけば世間からの認識は親戚の助手だった。 「師事してるつて體だからある意味間違つてない…か?しかし、何かずれてゐる氣がする…」 ちなみに、趣味は読書だが、特に小説家になりたいわけではない。 「俺が來る前のこの人がどうやつて生活してゐたか?女中や下男がゐたらしいけど、俺が來た時は丁度お暇した直後だつたらしい。…ここに俺が來させられた理由つて、多分さう云ふことなんだらうな。まあ、別にいいけどさ。……樂しいし。」 なお、和希の父からの評価は、自分が仕向けたにもかかわらず「女の仕事(家事)までして自己の確立か。あはれなり。」 和希の自身への評価は下宿後も変わっていない。 しかし、彼にとって、人に必要とされている、人の役に立てていると思える今の生活はなんだかんだ楽しいようだ。 ※以降、親戚の小説家のことは「先生」と記載する。 ○神話的事象に対して(①クリア以降) 基本的な行動方針は『手の届く範囲にあるうちに、対処できる程度のうちに対処する』 放置すると先生等身の回りの人物にまで影響が出そうだと判断すれば、不安の種を取り除きに行く。 困っている人を助けたい、という善良な理由ではなく、今後自分達に悪影響を及ぼされると困るから対処する、といったスタンス。 薄緑所持時は特に顕著だが、不安要素を取り除くために殺人が必要なのであれば躊躇わない(彼が殺人を行うのは相手を人と見なさない場合のみであろう)。この際、誰かの手を汚すのは気分が悪いため自身で行う。 なお、自己肯定感は低いが、自身がいなくなった結果起こりうる悪影響も理解している。 ○③クリア以降 先生とシナリオ終了毎に情報共有する。 キャンペーンの性質上、和希だけがロストした場合、他PCを巻き込んで打ち切りにならないための保険。 〇技能 能力値からもわかるように器用貧乏である。 基本的に他人依存で身につけた技能ばかり。無個性だと言う彼らしいといえばらしいだろうか。 ・図書館 日頃から先生の書斎の本を整理しているうちに、欲しい情報の掲載された本を見抜く力が備わった。 また、先生が所有している本は多岐にわたり量も多く、元々読書が趣味な彼にとっては大変魅力的な環境である。 時間のある時に借りて読んでいるようだが、整理の途中に気になって読むことも(その結果、読書に夢中になってしまい整理が進まないこともあるらしい)。 ・他の言語(独逸語) 先生の所有している本の中には独逸語で書かれたものもいくつか見受けられる。というのが、先生は一時期独逸に渡っていたことがあるからだ。 その話を聞いた和希は独逸語の本に興味を持ち、何冊かを学校教育で得た知識と辞書片手になんとか読破。この経験から独逸語の知識が身についた。 ・目星、聞き耳 散らかった部屋をよく片付けているため、探し物を見つける能力が向上していた。 また、先生のもとには友人から仕事関係者まで様々な人間が訪れる。来訪者の相手をしているうちに、その人物が害をなしそうな人物であるか否か(例えば、来訪者が何か危険物を持っていないか等)を見抜けるようになった。 なお、少々人間不信であるため、周囲の人物が自身(や先生)の悪口を言っていないか、何か自身に不利益をもたらすようなことを企んでいないかが気になる様子。そういった周囲の情報を逃さないよう警戒している。 ・経理、説得 出納の管理、編集社との打ち合わせなど、先生の仕事上の助手として活動する中で身につけた。 「仕事に係る会計管理だけならわかるんだが…私的な財産まで俺に管理させるなんて、不用心すぎないか…?」 「打ち合はせの時、本來であればあの人…ぢやなくて先生と編輯社で打ち合はせすればいいんだが、どうも先生は相手を氣にしなすぎてな…氣づいたら俺も同席するやうに成つてゐた。」 ・製作(料理) 先生は生活能力が低いにもかかわらず、和希が来た後は女中を雇いたがらなかった(わざわざ雇わずとも、身の回りのことは和希がどうにかしてくれるだろうと楽観的に考えていたのかもしれない)。 だからといって、和希の財力では女中を雇うなど到底不可能であるし、先生のお金を勝手に使用するわけにはいかない。まともな生活を送るために和希が身につけるしかなかった。 ただ、書斎にあった調理本には和食か洋食の調理法しか掲載されていないため、中華料理などは作れない。 なお、(当時の時代背景から)馬鹿にされたり好奇の目で見られることがわかっているため、先生等親交の深い者以外に料理を振舞ったことはない。 ・日本刀、回避 他の兄弟たちには護身用として拳銃が与えらえていたが、和希には与えられなかった。 父には見限られ、周囲には兄弟たちと比較され諦観気味な和希を不憫に思ったのか、当時屋敷にいた歳のいった下男が、護身術として合間に稽古をつけてくれた。 その下男は数年後いなくなってしまったが、その後も時間を見つけては鍛錬に励んでいる。もしかしたら、自分にだけ教えてくれたというのが嬉しかったのかもしれない。 なお、鍛錬には下宿時持ってきていた木刀を使用しているが、この木刀は普段持ち歩いていない(木刀を持ち歩くことにより、遠目で帯刀しているのではないかと見間違われるのが面倒なため)。 ・応急手当 鍛錬の際、腕や足を痛めることもあり、自身で対処できた方が良いと考え身につけた。 〇余談 ・先生の筆名:小鳥遊 秋(たかなし しゅう) ・先生の本名:高崎 調(たかさき しらべ) ・先生の作風 怪異を絡めた不思議な話が多い。純粋なミステリーではない。 「人の心が視える男の一生」「殺されてしまった男が幽霊となり復讐を目論む話(ただし紆余曲折あって切ない系)」 など、そういった人間模様を描く。 ただ、一作だけいつもの彼とは違う恋愛物の作品があり、 「真っ赤な地域に迷い込んだ男性がその土地の女性に恋をするが、結局その女性とは結ばれず、紆余曲折あって脱出するしかなくなる。脱出後気になり再びその地域に行こうとするが、地図には載っていない地域であり、記憶を頼りに捜索しても二度とたどり着けなかった。」 という内容だが、この作品の真意は彼のみぞ知る。 ※大正探索者 ※親戚に師事しているのであって、現在学校に通っているわけではない。 以下クリアシナリオネタバレ含 〇クリアシナリオ ①喀/血/卓様作『羅/生/門』 KP:焼き魚様(KPC:大光葉 升麻) PL:柏木 まあさ様(PC:姫小路 月子)、つかさ クリア報酬等:SAN23回復、クトゥルフ神話技能+7、アイデア+4、日本刀+10、歴史+8、医学+3、芸術(能楽)+2、サンスクリット語+6 ②本条凛子様作『帝都百鬼夜行【狂骨の恋文】』 KP:焼き魚様(KPC:大光葉 升麻) PL:柏木 まあさ様(PC:姫小路 月子)、つかさ クリア報酬等:SAN6回復、目星+6 ③本条凛子様作『帝都百鬼夜行【土蜘蛛の祭典】』 KP:焼き魚様(KPC:大光葉 升麻) PL:柏木 まあさ様(PC:姫小路 月子)、つかさ クリア報酬等:SAN-8、知識+3、信用+2、目星+2、+100円 ④本条凛子様作『帝都百鬼夜行【迦陵頻伽の影見】』 KP:焼き魚様(KPC:大光葉 升麻) PL:柏木 まあさ様(PC:姫小路 月子)、つかさ クリア報酬等:SAN-7、日本刀+4、聞き耳+3、+150円 ① ――まさか、この刀を所有することになろうとは。 宮司さんに返され行き場を失い、先生のおかげですんなり所持申請が通った妖刀を見つめる。まあ、申請してもらう代わりに、先生にはしつこくここ数日間のことを聞かれたが。升麻さんからの助け船もあり、宮司さんに話した内容に加え、薄緑について説明することでなんとか言及を免れた。…うん、免れたというか、免れさせてもらったというか。 知的好奇心旺盛なのはいつもの事だが、今回は本当に頑固だったな…何か奇妙なことが起きたという先生なりの予感があったのだろう。全く、変なところで鋭い。あと、これは自惚れかもしれないが……多分…恐らく…それほど心配をかけたのだろう、と思う。自信はないが。 自身が真剣を振るう日が来るなどと思っていなかったし…それにより、命を奪うなんてことも全く思っていなかった。 はじめは、升麻さんに誘われてこの件に関わったが…あんな悍ましい死に方を見て、見て見ぬ振りで事件から手を引くなどできるわけがなかった。 ただし、これは正義感や義務感からではない。残念ながらそんな大層なものは持ち合わせていない。 得体のしれないものへの恐怖、不安。人間とは誰しも不安をそのままにはしておけない生き物だ。 あんな常識では説明のつかない現象がこの世には存在する。あのような理不尽な現象が、いずれは自身や先生、親しい人たちの身にも降りかかる可能性がある。そんな未知の事象を放置したまま日常に戻るなんてとても不可能だった。 それに、行動を共にした人たち……彼ら、彼女らはそれぞれ危うかった。さすがに俺にも良心はある。苦しみながら他人のために奮闘する少女や、知的探求心から自身の身を滅ぼしそうな旧友を放ってはおけなかった。 ――ぐしゃり 命を斬り捨てた時のことを思い出す。 別に老婆の話に特別腹を立てたわけではない。何を言ってもあの老婆には無駄であろうことはすぐわかった。 だが、老婆は言った。自身のしたこと、九頭竜さんのしたこと、どちらも悪とは思わない。仕方のないことだと。 ――ならば、不安要素を取り除きたいという“欲”に従いお前を殺しても“仕方のないこと”なのだな。 誰かが囁いた気がした。 どうせこいつは同じことを繰り返す。今回の件を踏まえ、更に狡猾になる可能性だってあるだろう。そうなってしまえば、もうどうすることもできなくなる。 ここで終わらせるよりほかない。 何、簡単なことではないか。 あの老婆は人を人と思っていないようだった。それなら、こちらがあの老婆を人と見なしてやる必要などない。 日頃から何気なくやっているだろう。室内に蚊が飛んでいたらなんの躊躇いもなく殺す。それと何の違いがある。 土蜘蛛だって害をなすから殺した。老婆も同じことだ。害をなすから殺す。ただそれだけ。 そこまで考えれば、あとは一瞬だった。 ② ――嗚呼、世間のなんと狭きことか! 今日はなんだか驚き尽くしだったような気がする。軍服の旧友に、偶然探し人と友人だった少女に、異様な生物…ここ一年は特に何事もなく――小さな事件は度々あったとは思うがいつものことなので――ああ、『何事もなく』過ごしていたから、そういった驚きとは無縁だったんだがな…まあ、以前のような大事件に巻き込まれなかったのは幸いだと思う。 …ん?帝都を騒がす二つの事件に結果的に首を突っ込んでしまったのだから、大事件に巻き込まれるという表現に当てはまるんだろうか。……感覚麻痺しているような気がしてきた。 二人とも、一年ぶりに会ったが特に変わりなかったな。 一年前、俺は醜悪な生物を斬り捨てた。だが、見ていた二人がそう認識してくれているとは限らない。実のところ、気まずくならないか、怖がられるのではないかと思っていた。だから、二人が何も変わらなくて安心した。 (俺?俺自身も一年前のあの日以降変化ないな。強いてあげるなら、取り繕って人と接するのに慣れ…た…か?) 何故今日は一年前のことばかり思い出すのか。それは、今日の事件が一年前を彷彿とさせるものだったからだと思う。 旧友が話を持ってきて、気づいたら思いのほか大きな事件に巻き込まれていて、出来うる限りのことをして……あれ、厄事、旧友が毎回持ってきてるな?悪縁か?縁切った方が良いんじゃないか?…まあ、さすがに冗談だが。あれでも一応気負わず付き合える数少ない友人だからな。完全に悪い人ではないんだ。多分。 あの素直な少女も、相変わらず困ってる人を放っておけないというか、絵に描いたようなお人好しだったし、何故俺の友人は危なっかしい人間ばかりなんだろうな。 ――閑話休題。 捜索を進めていくにつれて、なんとなくこの事件は普通の事件とは違う、一年前のような非科学的な事象にまつわる事件だということには感づいた。 そのせいか、時々脳裏にはあの刀がちらついた。「持っていかなくて良いのか?」「不安要素を取り除ける物だぞ?」と主張するように。 それが一番膨れ上がったのが、女学生に首を絞められた時だ。あどけない少女には似つかわしくない恍惚とした表情でこちらの命を奪おうとしてくる姿には恐怖した。…いや、恐怖を感じたのはそれだけじゃない。一瞬でも、あの刀があれば…と思ってしまった自分に対してもだ。 予め断るが、俺は自身の命に価値など感じていない。昔の自分であれば、殺されそうになっても恐怖するが諦観していたと思う。だが、今は違う。俺がいなくなると先生の世話をする人間がいなくなる。だから、抵抗しようとするのは当然なんだが、それにしても、な…………。 思えば、今まで生きてきて、俺個人にここまで明確な殺意を向けられたのは初めてだ。今後殺意を向けられることがないのが一番なんだが、もしまた同じように命を奪う意思を向けられたら、同じことを感じるのだろうか。自分が喪われていくかのような感覚を。 以前の一件で俺はなんとなく理解している。世の中には人の正気を喰い、本来人にある制限を取り除いてしまうモノがあるということを。 あの刀は多分『生きている』。 骨董店の店番は言った。「人が『モノ』を買うのではなく、『モノ』が人を選ぶ」のだと。俺があの時あの刀を持ったのは偶然なのか?それとも……。 いや、さすがに物思いに耽りすぎだな。その理屈で言うと、選ばれたのはあの目を覚まさぬ少女だ。俺じゃない。 とにかく、あの刀は危険なものだ。他の誰にも使わせないし、俺自身、今後振るう機会など訪れないことを祈る。一生家具として飾られてれば良い。 そんなことより、先生に夫人の件で助け船を出されたから、何があったのかちゃんと話さないといけないな。なんていうべきか…。 ――そんな文士の家の住人を、いつものように定位置から眺める存在がいた。彼は何を考えているのだろうか。それは、彼のみぞ知る。 ③ ――良かった。無事帰って来られた。 病院で目を覚ました時、安心した。 同じ時期に目を覚ました姫小路さん。病室に来た升麻さん。……皆無事だった。 薄緑を持っていくと決めた時、俺の中には一つの目標があった。 この刀を伴い行動しても、自身を損なわず、事を終えて帰ってくると。…被害者にとって失礼な臨み方では?という突っ込みは甘んじて受け入れよう。 幸い、頼れる者が大勢いたおかげか、この刀を振るうことなく済んだ。そのことも素直に喜ばしい。 ……頼れる者、か。我ながらそう感じたのは意外だと思う。これが腑抜けた結果でないと良いのだが。 薄緑を持ち出すのはこれで二度目だが、やはり精神的に負担のかかる代物だ。いくらこれと向き合うと決意したとはいえ、今後も本当に必要そうな時以外は使用を控えるか。 これは、人が安易に触れてはいけない代物。必要以上に遠ざけず、多用せず。……それで良い。お前の思うようにはさせない。 姫小路さんに自身を過信するなと言った以上、俺もそうあり続けなくては。 ――病室での会話を思い出していると、『兄弟』という単語が脳内で木霊した。 ……どうやら、あの時の俺は、升麻さんに気を遣われるほど動揺していたようだ。 先生の所へ来てから、親兄弟のことなどすっかり忘れ切り捨てていたつもりだったのだが、…自分で思っていたよりも気にしていたらしい。 それも、ここ数か月、兄弟に関わる事が多かったからだろうか。心のどこかで引っかかっていたのかもしれない。 親とは、兄弟とは、良いものとは限らない。内心そう叫びたくなるような……ああ、醜いな。 全て他人事のように言うな、と思われるかもしれないが、今自覚したばかりなのだから仕方ない。 『あれらは、そもそも親族でも、人間ですらない。醜悪な存在だ。』 そう思う心こそがもっと醜悪なのかもしれないと自己嫌悪するが、そう割り切るしか感情を整理する方法を知らない。 あんな存在にいつまでも囚われてはいけない。今の俺には、先生達がいるのだから。 しかし、ここで俺はまた嫌なことを思い出す。 先生……今日それも失ってしまうかもしれない。 …外出時の最後の言葉は「隠していることを全て話せ」ということだと思う。 どのような事情であれ、先生に隠し立てしていたことは事実だ。そもそも、先生に対して俺が隠し事できるわけがなかったのだが、言及しない先生の優しさに甘えていた。 でも、それも今日までなのかもしれない。捨てられるかも、という懸念は、隠し立てしたこともそうだが、俺の話に先生がすごく興味を持ってしまうということにもあった。 先生は、良くも悪くも知的探求心に忠実な性格だ。自分よりも興味深い人物がいれば、そちらに行ってしまうかもしれない。 ……先生の事を信用していなさすぎる?いいや、その逆だ。先生の事を信用し、理解していると思うからこそだ。 正直、話すのが怖い。……だが、ここまで来たら、覚悟を決めるしかない。 強く決意し、薄緑を持って俺は先生に話しかけた。 ==================================================== ――ああ、ようやくか。 「先生に、ちゃんと話しておきたいことがあります。」 退院してきた彼は、私が持たせた薄緑を側におきながら、真っすぐとこちらを見つめそう切り出した。 確か一年ほど前からだったか。彼が何某かの事件に巻き込まれるようになったのは。 彼自身、そういったことはまったく言わなかったが、ずっと観察…失敬、見守ってきた身としては、何かを隠している事、大変な事件に巻き込まれている事は一目瞭然だった。持ち帰って来た異質な刀がその事を裏付けていた。 そうやって隠されると余計気になってしまう。暴きたくなる。 私は誰から何を言われようとそういった性分だ。性格の悪さはとっくの昔に自覚しているし、良心はあの場所に置いてきた。 …そのはずだったのだが、彼に対しては違う感情が優先した。 彼に嫌われたくない、彼の気持ちを踏みにじり傷つけたくない、と。 昔の自分が見たら、何を今更と嗤うだろう。だが、人間というのはそう理論で語れるような生き物でも、不変的な存在でもない。……うん。そう考えたら、昔の自分も許容してくれるのではないだろうか。恐らくは。 彼が私に話さない意図は手に取るように理解できる。私が首を突っ込まないように。私に危険が及ばないように。あとは……ちょっとした自立心もあるかもしれない。 ……私に原因があるのではないか?フフ、そういったことは理解していても棚に上げるのが私という人間だよ。覚えておきたまえ。 しかし、正直なところ寂しくもあった。 今まで私に決して隠し立てなどしなかった彼が、他者と秘密を共有している事実が。 だから、昨日は少々意地悪なことをした。 彼が避けている刀を持たせて、向き合えと。あたかも知ったような口を利いて。 君が何か重要なことを隠しているのは知っている、と。少々あからさまになってしまったが、そう伝えた。 そうすれば、疑り深い彼は「先生は言葉とは裏腹に多くを察している。」と思い、話してくれるのではないか。彼に嫌われず、傷つけることもなく話を引き出せるのではないかと期待して。 どうやら効果は覿面だったようだ。 意を決した彼が話したここ一年の出来事は、私の想像を遥かに超えるものだった。 ……何か作品に生かせるような要素はあるだろうか。聞きながらそう考えてしまった事は内緒にしておこうかね。 土蜘蛛、食屍鬼、木の精霊……どれも伝記や小説では聞いたことはあるが、さすがに対面したことはない。私も見てみたかったな……と考えたことも彼には言わない方が賢明だろう。 彼は一通り話し終えた後、申し訳なさそうに謝っていた。理由は概ね予想通りだ。 それにしても、私は大変想われているね。彼は自分が思うよりも純粋なことを自覚した方が良いんじゃないか?私のような悪い大人も早々いないと思うのだがね。 「和希さん。話してくれてありがとう。……安心したまえ。君が今後どんな事件に首を突っ込もうとも、頼られない限り、私は待っているよ。心配だが、君の気持ちを無碍にはできないからね。」 「…先生。俺の事、まだここに置いてくれるんですか?」 「うん?何故そんな発想に至ったのかね?出て行かれたら大変困るのだが。」 「いえ、その。先生のためとはいえ、隠し事をしていましたので。……それに、多分先生にとって興味深い話をしたと思うから、そちらに興味が移って、もう俺は用済みだと放り出されるものかと。」 「……ハハッ、ハハハハ!」 先に述べた事を改めよう。彼は思っていたよりは私のことを理解しているようだ。 だが、心外なので訂正する。 「何を言うかと思えば……随分信用がないじゃないか。流石の私でも傷つくな。否、ある意味君は私をよく理解してくれているようだ。……だがね。」 彼の頬を両手で包み込む。当然ながら、彼は目を丸くして驚いた。フフフ、本当、ちょっかいのかけがいがあるな。 居心地悪そうにはしているが、どうやら抵抗はしないようなので、彼の目をそのまま真っすぐ見つめ、言葉を続ける。 「君に対して、そんな単純な感情は抱いていない。…そう簡単に手放してもらえると思ったら大間違いだよ。認識を改めたまえ。」 …今、私はどんな表情をしているのだろうね。まったく、表情を作らず話すと、把握が難しくなって困るよ。 そう思いながら、彼の瞳に映る私を確認すると、…自分でも驚くような優しい表情をしていた。 私にもまだこんな表情が出来たのか。 左親指で頬を優しくなぞりつつ、続ける。 「君は私にとって、大切な存在なんだ。……だから、今後も勝手にいなくならないでくれたまえよ。」 「…そこは、家族のような存在とか、そういう表現は使わないんですね。」 「使わないよ。君は、家族という言葉に良い印象を持っていないだろう。大事なところで誤解されたくないからね。」 返事の代わりに、彼は酷く安心したように微笑んだ。 むに。珍しく、何だか気恥ずかしくなって彼の頬を軽くつねった。そのまま弄れば、「やめてください」と怒られて振り払われた。 「ああ、あと。先ほど言った通り待ってはいるがね。…事が済んだらで構わないから、何かあったら今回のように私に話してくれないかね。……やはり、気になるんだ。」 「…わかりました。」 少々迷っている様子だったが、私からこう言われることを想定していたのか、よどみない返事が返って来た。 よしよし、これでひとまずは安心できる。 和希さん。月並みな表現だが、君がいなくなったら、私は傷つくよ。 頼むから、私の傷にはならないでくれたまえ。 「さて、難しい話はここまでだ。慣れない事をしたからか、お腹が空いてしまったよ。」 「…ちなみに先生。聞くまでもなく察せられるんですが、俺がいない間食事は……?」 食べていないと言えば、怒られてしまった。そこからはまあ、いつも通りだ。 (昔は怪我をした野生動物のようだったが。いつのまにか表情豊かに、言葉豊かになった。) (……成長したね。和希さん。) 胸にあたたかな気持ちを抱えつつ、私たちの日々は廻り続ける。 ================ ※PL的メタ発言 キャンペーンという性質の都合上、万が一和希だけがロストした場合の保険の情報共有。バトンタッチが発生した際、全く話がわからないといったことがないように。 ④ ――先生、そんなに驚かれることでしょうか。 俺が時々入院している升麻さんの様子を見に行くというのは。……え?先生よりも優先するのが、ですって? ……言われてみれば、そういったことは初めてかもしれませんね。今まで俺の行動動機、中心には全て先生がいました。それが今回は、ただ純粋に升麻さんが心配だから様子を見に行く……なんて、俺も変わったのかもしれません。 でも、ずっと付きっきりとかではないんですよ?最優先事項は変わりません。 ……守りたい人、か。いえ、姫小路さん……友人の言葉を思い出しただけです。 彼女の言葉を借りるなら、俺にも守りたい人が増えたんだと思います。 ええと、先生。そんなに強く掴まなくても。……優しい顔?一番じゃなくなるのが嫌? 何馬鹿なこと言ってるんですか。先生が大切なことに変わりないですし、さっきも言いましたけど、俺の最優先は先生です。……俺がここまで生きてこれてるのは、貴方のおかげなんですよ。……貴方を喪うということは、俺が死ぬのと同義なんですから。貴方を喪わないためなら俺はなんだって……。 今日はいつにも増して素直?酔ってる?……お酒なんか飲んでません。人が折角頑張って本音をぶつけているのに貴方っていう人は……。 ……そうですね。素直ついでに、ちょっと俺の話を聞いてください。途中で寝ても良いですから。 俺、今日初めて普通の真剣で人を斬ったんです。…薄緑のような不思議な刀ではなく、です。 薄緑はなんというか、精神を蝕まれるような感覚のある普通でない刀ですが、先生からお借りした真剣は「普通の刀」なんです。 そう、何かに蝕まれていたからだ、なんて言い訳の余地もなく、10割自分の意志により、確かに正気で相手を殺傷しました。 それで、最期相手は「くるしい、たすけて」って言ってました。まあその言葉は俺達にではなく別の存在に向けられた言葉なんですが……。 俺、それも初めてだったんです。 斬った相手が救いを求めるという光景。それは、今までの敵にはないものでした。 人に「同情してもどうにもならない」「割り切れ」といったようなことを言っておきながら……少し、哀れに思ってしまいました。 この人の人生はなんだったんだろう、って。その無為さが、まるで昔の俺を見ているようで。 まあ、そう思っても、俺にも譲れないものがあるので、この結果に至る事実は変わらないんですけど。 ……意地悪な質問、ですか?なんでしょう。 ……「もし先生を助けるために友人を殺す必要があったらやるのか?」ですって? …………。 仰る通り、意地悪ですね。 でも、今まで俺が選択してきたことってきっとそういうことだと思います。 自分の大切なものを守るために、危険因子を手遅れになる前に排除する。 それは仕方ないことであり、当然のことだと考えながら。 ……幸い、貴方と出会ってから、自分のしてきた大きな選択に後悔なんてないんですよ。 ですが。そうですね……その質問の答えは出せませんし出したくないですけど、どちらを選択しても後悔するでしょうね。 先生を喪うのは嫌です。でも、だからと言って、友人を手にかけることもできるとは思えません。今回、目の前で殺されかけた友人を見て、酷く動揺してしまいましたし。痛感しましたよ。 あと、正直ついでに言ってしまうと。 もしそんなことになってしまったら、死にたくなると思います。…別に心中したいとかではなく。 ただ、絶望するだろうなって。さっきも言った通り、大切なものを喪うということは自分が死ぬのと同義ですから。……ここに至るまで自身の利のために相手を何度も排除してきておきながらなんて虫のいい、と思われるかもしれませんが。 嗚呼、そうだ。薄緑は放っておけませんので、できれば人の手の届かない所にやっておきたいですね。……いっそ、水底に一緒に沈んでしまうのが良いかもしれません。俺の末路としては綺麗すぎる気がしますけど、 って痛い痛い!先生!腕が軋んでますので!力をですね! というか、質問しておいて何怒ってるんですか!……気にくわない?その言い方だとやっぱり自分が一番じゃない? なんて横暴な……文豪でいらっしゃる先生でしたらよくご理解いただけるかと存じますが!そう簡単に割り切れないんですよ、人の感情って。開き直りですけど。 ええとですね。でも、貴方に向ける『大切』と友人に向ける『大切』は種類が違うと思います。その二つを天秤にかけることってできないんです。ごめんなさい。 だけど、貴方への感情が変わるわけじゃないですから。貴方は確かに俺にとっての世界で、俺の全てです。 ……そうですね。仰る通り、今までにない経験をしたからか、ちょっと疲れてるんだと思います。 ……なんです先生。急に引っ張って……一緒に寝よう?まったく、俺もう子供じゃないんですから。というか、幼少期貴方に育てられた記憶もありませんけどね?ってああもう聞いてない! …まあ良いか。今抵抗する気力ないし。 ……心音が聴こえる………それにしても、この人の傍は落ち着いて、安心して……嗚呼、もしかしてこれが……。 疲労が一気に押し寄せ、気づけば俺の意識は眠りに落ちていた。 〇AF ・真打「薄緑」 ※①クリア後入手。普段は先生の家に家具として飾っている。所持申請済。 技能:日本刀 基本命中率:15% 射程:タッチ 耐久値:破壊されない ダメージ:1D10+db この刀を所持している者は、正気度ポイントを失う際に、追加で1点の正気度ポイントを失う。 (ただし、後述のダメージを上昇させる効果による正気度ポイントの損失には影響しない。) ダメージロールを行う直前に、使用者の正気度ポイントを3D10点減少させることが出来る。 その場合、ダメージを喪失した正気度ポイントと同じだけ上昇させる。 (攻撃が成功しなければ正気度を減少する必要は無い) またこの効果は正気度ロールではないため、一時的狂気に陥ることは無いが、不定の狂気には陥ることに注意。 (なお薄緑を2人以上が同時に使用することで効果による正気度ポイントの現象を分割することは出来ない) この刀は折れず、あらゆる物理干渉や魔術の影響を受けない。
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