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彼女は生まれながらにレネゲイドウイルスへの無比なる親和性があった。 　円満かつ裕福な戊家に生まれ、幸せな日々を過ごしていた。しかし真理の10回目の誕生日。真理が学校から帰ってきた所、父親が母親を砕いていた。真理が泣き叫ぶも、父親は母親の中身を引きずり出し、臓物を体に巻き付け歓喜の叫びをあげる。近隣住民の通報により父親は現行犯逮捕され、精神病院に永遠に監禁されることとなる。独り身となった真理はすぐにとある児童養護施設が引き取った(施設の手続きは予め準備ができているかのように素早い対応だった)。その児童養護施設は偽装されたレネゲイドウイルスの研究所だった。様々な改造を施された真理はシンドロームが顕在化し、代謝の異常発達と老化の遅延された身体を獲得する。 　研究所は遺伝子レベルで優秀な兵士の作成を研究していた。当時12歳の真理は母体として極めて優秀であることが判明しており、同じく当時3歳であった優秀な遺伝子の持ち主ヨハン C コードウェルと交配させられる。先にあるように真理の身体は異常な異常な代謝速度を持つため、妊娠から出産までの期間は6カ月程度。初めの妊娠確認から藤山に救出されるまでの8年間で、最終的にヨハン C コードウェルとの子供を13人産むことになる。産れる赤子は凄まじい生命力と身体能力をもっていたが、「奇形」「真理の母乳でしか栄養を摂取できない」「成長が通常の赤子の20分の1」という3つの欠点を持っており、それらの深刻な課題が研究を長引かせ、ついに8年経っても解決されることは無かった。また11歳になったヨハン C コードウェルの研究所襲撃によって赤子は全員殺害され、施設は壊滅。一切の研究資料は失われることとなった(この襲撃で生き残った真理が、襲撃後の研究所廃虚で藤山に発見され保護される)。その後6年間、UGNチルドレンとしてUGNのために戦っている。老化が遅く、研究所内で一切の教育を受けていなかったので、精神年齢外見年齢共に16歳程度。そのために26歳でありながら、高等学校に通学している。 　戊 真理は未だに幼い。10～20歳までの間を自らの赤子達とのみ暮らしてきた。幼い彼女が出産と妊娠の想像を絶する苦痛の中によすがにしたのは、未発達な自分の乳房に群がる奇形児達だった。日に日に人の言葉を忘れ、増していくのは我が仔への慈愛ばかり。故に仔をヨハンに殺された彼女の絶望は、何人にも推し量ることが出来ない。 　現在、高校生として生活する彼女だが、毎日奇形児の人形に乳を与え、話しかけている。失ったものは時間ばかりではない。

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