タグ： さよならを言いにきた-優等生×不良-

今瀬 星夏 いませ せいか 裕福な家庭、優しい両親の元で育った。父親は教育関係者で、学校の先生はみな自分の顔を伺った。昔から勉強は好きだった。親はいい点をとると褒めてくれた。それがうれしかった。親の言うことは正しかった。親の言うことは聞くものであると昔から教えこまれた。 だから、「あの子とは仲良くしちゃダメ」と言われたらその子から離れた。この習い事をしなさいと言われたら始めた。委員長だってやった。いつだって笑顔を振りまいていた。 クラスメイトからも慕われ、みな口を揃えて「彼女は優等生だ」と言った。 3つ上の兄がいる。昔から勉強をせず、やりたいことだけをして、親に反抗ばかりしていた。親は最初は怒っていたが次第に呆れ、代わりに彼女に期待をするようになった。それがうれしかった。期待されることで満たされる感情があった。兄のことが理解できなかった。親の期待に答えられず、ドロップアウトしていく兄のことをバカだと思った。 親がおかしいということに気づいたのは中学校の時だった。 あからさまな過干渉をされた、望まない成績を取ると長時間の説教をされた、少しでも反抗するとすべて「お前のためだ」と言われて片付けられた。 逃げたい、親の期待なんて捨てたいと思った時には、彼女は「兄とは違い、優秀で未来に期待できる」という親からの重圧をすべて背負っていた。 その時に気づいた。兄は期待に答えられなかったのではない、親からの期待から外れるために「わざと」消えたのだと。そちらの方が幸せである、と兄は自分よりも先にとっくの昔に気づいていた。 親の操り人形にされ、自分のやりたいことも分からなくなった。全ての期待を捨てたい。でも与えられたレールの上しか歩いてこなかったからレール上から外れた世界を知らない。外れた先に見えるものが分からないから怖い。 友人も捨てた挙句に得られたものは無駄に上手くなった作り笑顔だけだった。 バカは自分だった。 ・・・・・ 誕生日：7/14 好き：1人の時間 嫌い：自分勝手な人 不定：幻覚（4ヶ月） 8ED9FF

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