タグ： #誰がロックを殺すのか

HO3 新木真緒(あらきまお)　Mao 「1人じゃバンドはできない。そんな当たり前の事、見ないふりしてきたんだ。」 8歳の彼女が父に連れられて向かったライブ、それが彼女の人生の転機だったと言っても過言では無いだろう。それこそが【ザ・ウィンドフォールズ】のライブだった。 彼らの全てが彼女を魅了した。誰があの長髪の下に隠れたどす黒く燃える闘志を予測できただろうか。誰があの明るい笑顔がこんなにも力強い音を奏でると、あの小柄な体で余りにも正確なビートを刻むと、あの温和な表情が軽やかな音色を奏で、あまつさえボーカルやギターなどもこなしてしまうと。誰が予測できただろうか。 幼かった彼女は同級生が液体とラメの入ったシールを集めたりお絵かき帳を未熟な線で埋めるのに精を出していた中、父のお下がりの古いギターとサンタにもらった音楽プレイヤーを小さな手で抱え、1人高架下で歌っていた。 幸い一人っ子かつお金に余裕のある家だったのでやりたいと言えばどんな習い事もさせて貰えた。 初めはギターもベースもキーボードもドラムも、全てをやり全てが楽しくて1つを選ぶなんて考えもしなかった。1人きりで弾いて叩いて録って繋げて。それが彼女のバンドだった。（~17歳） しかし歳を重ねてゆくにつれて目を逸らしてきた自身の「中途半端さ」に直面した。彼らの全てを愛した故に、何者にもなれていない自分に気がついた。 「私は天才じゃないし、私の体は1つしかない。夢を夢で終わらせないために、夢を見るのはここでやめだ。」 そうして彼女は、特によく先生に褒められていたドラムに絞り、日々練習を重ねるようになった。 そこから4年、彼女が21歳の時彼女は【La・ローダンセ】の面々と出会うこととなる。 「初めて【La・ローダンセ】のみんなと演奏した日は忘れられないな。なんてったって初めての‘’本当の”バンド仲間だったんだから。」

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