タグ： ひややっこ🌹 オリジナル

【詳細】 空を飛びたい、と思ったことは有るだろうか。 彼は有る、あるからこそパイロットになった。 小さな施設に一人残されて、空を眺めていた。 きれいな鳥が翼を広げて自由に空を泳いでいた。 多嘉山正道は、父にミュージシャンを持ち、母に会社員を持っていた。弟はケイと言う少年だった。 家庭環境は好況とは言えず、母は子供達には憂さ晴らしのように厳しかったが、売れないミュージシャンである父には一際優しく、彼を信じきると決めたようだった。歪んだ愛だったのかもしれない。 弟は常に自分の後ろを付いてくる愛嬌のある少年だったが、気が強く真面目でもあったため、家庭に馴染めず不良まがいのことをしていた。といっても、帰りが遅いくらいで、煙草を吸ったり酒を呑んだりすることはなく。 少し危ない同級生とつるんでる程度だった。 兄である正道は適応力のある人間で、そんな家でも上手くやっていた。 あるとき、家に帰ったら宙ぶらりんの麻袋を見た。 麻袋は奇妙な汁を滴らせ、白濁した瞳に涎を垂らしていた。 父だった、父は自殺したのだ。その理由を息子が知る由もないけれど、ギターの弦を全部引き千切って手が血塗れになっていたから、そういう事だと思った。 母は日に日に病んでいった。部屋に入ると、父の奏でたギターの曲が流れている。そのとき、自然と頬に何かが伝った。父は自分たちを捨てて自由になった、けれど、父を許せないとは、言えなかった。その理由は、耳が証明してくれた。素人が聞いても、熱意のあるビート、プロ顔負けの演奏。なのに、ちっとも心は癒えないのだ、ちっとも心に響かないのだ。父の音は綺麗だったが、二度と聞きたくないくらいには人の心を病ませた。 弟は学校でいじめを受け始めたらしい。いや、受けていたらしい。兄にはちっとも話してくれなかった。 恥ずかしかったのだろう、よりによって自分が選んだ人間に虐げられていくのが。 最初はパシリ、それから暴力、あとは金。少数グループでの差別はクラス全体に広がっていって、全員が弟を無視した。 憔悴していく母をなだめて、何故か自棄になっていく弟に構って。 自分の時間なんてものは一切なくて。 母は精神病院へ送られた、弟は耐え抜いた末に殺人を犯して逃げていった。 取り残された自分は施設行き。 静かに、ただ静かに目立たないように生きて窓外を眺める。 鳥は自由だ、夢に雁字搦めの父と違って。 空は自由だ、愛に囚われた母と違って。 翼は自由だ、真面目さに殺された弟と違って。 だから、空を飛ぶことにした。 自分はもう、自由だ。 恐怖症：自殺恐怖症。現場の死体が自殺だった場合SAN減少+1 異常性癖：埋葬愛好。外見に惑わされることが無く、性欲が薄いが、自分で死体を埋めることに異常な快楽を感じる。他者の自由の終わりを証明する背徳感が彼の愛好。 服装：それなりの服、白手袋、腕時計。 【クリアシナリオ】 『とある末路』 SAN-1 『head for "N"』 KPCとして登場 SAN-1 『午時葵は咲かない』 KPCとして登場 SAN+1

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