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至って普通の人生を歩んでいた。 両親と楽しく暮らし、職場の仲間とも楽しくやっていた。 仕事で培ったスキルでブログをやっており、撮った写真はそこに載せたりとしている。 ちなみにお家でシャコバサボテンを育ててる。まあまあ元気。 彼女の趣味は写真撮影。 ありとあらゆる刹那を切り取ったものを好み、自らもその瞬間に立ち会い、シャッターを切る為に赴く様になった。 此度もまた、その趣味の一環として遠方に足を運ぼうとした中だった。思いも寄らぬ出来事が待っているとは、知る事も無く…………。 大雪の中の館での出逢いは確かに記憶に残るものだったが、それが良いものかと問われると彼女は首を横に振るだろう。 何故なら、そこで彼女が目にしたものは惨劇だったから。無残な姿を残して死にゆくものを何度もその目に焼き付け、ありもしない筈の冒涜的な生物とも遭遇した。 そうして恐怖に呑まれた者を救おうとしても理解すら得られず、また恐怖で押さえ付けてしまった。 何もかもがただ苦しくて、辛くて、悲しかった。 そうして、得られた情報すら、彼女を貶めるばかりであった。 自分が一人の作家に作られた架空の人物であり、歩んできた筈の人生は全て筆一本で出来上がった物なのだと。しかも、身に覚えの無い肩書きまで付いて。 それでも同行者は彼女を"外"へと連れて行ってくれた。物語の世界から、現実の世界へと。 現実の存在となってからは、どうしただろうか。夢見の悪さと狂気の残火が胸に焼き付いたまま迷い続ける彼女を、鞄の中のフクロウは見つめている。 踏破シナリオ 「αの謳うメメント・モリ」 "α" 同行者:野衣 玲、荻野目 深夜

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