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「不滅の愛も、憧れも、信仰も、自由も、美学も、罪も、後悔も、私は一つずつしか持っていません。その全てを捧げます」 2015特徴表 飛ばし屋：操縦技能の初期値が50% 急所を見抜く：貫通の発生率が技能値2分の1となる(最大40%) 名前の読みはアイギス。二万円家出身。 幼少期から父である二万円詩聖にべったりだった筋金入りのファザコン。優れたフィジカルと精神力と空間把握能力を駆使し、強力なボディーガード性能を備えた詩聖専属の運転手として付き従っている。が、いつの間にか自分を置いてどこかに行かれていたり、詩聖の気分で運転席を奪われたりなど、中々思ったようには活躍できていない。実力はちゃんとある。 より優秀になるため日々訓練に励んでおり、その技術の多くは独学である。ボディーガードに重要な能力は偏りなく研究しているが、中でも戦闘術系統の吸収は特筆して早く、詩聖の型を積極的に真似していることもおそらく関わっている。兄弟たちとの間に少しだけ距離感を感じていたが、他ならぬ詩聖の計らいによって近頃は接点が増え、数年前に比べてかなり柔和な接し方になっている。 詩聖に限らず、自分の家族を害されそうになると羅刹のような気迫を纏い、目を見開いて放つ殺意でそいつのことを釘付けにしてしまう。これで引き下がるのであればそいつは傷を負わずに済むが、なお襲い掛かっていった者は最悪死ぬ。 ファザコンとしての感情は年々強烈さを増しており、実は詩聖が抱いた女に対してちょっと嫉妬している。詩聖が妻と認めた人間に対しては理解があるためにそうならないが、行きずりの相手くらいだとうぐぐぐぐってなる。本人は周囲に悟られないようにしているが、もしかしたら詩聖にはバレてるかもしれない。 そのため、詩聖が新しい女に手を出す度にやんわり窘めようとする場面もある。が、詩聖の態度があまりにも真っ直ぐ過ぎて萎縮して言い切れないのを繰り返している。 今となっては知る者も少ない話。まず、彼女には遥葉(はるば)という双子の弟が居た。姉と対照的に強烈なマザコンで、彼女が父親の下で育った一方、弟は実家を離れている母親と暮らしていたので、ある程度成長するまでは接点が少なかった。やがて彼女が弟と交流を持つようになった時、彼女は父親から受け継いだ平等な思想を基に、ただ純粋に仲良くなれると思っていた。しかし、遥葉にとってはそうではなかった。 彼は自らの母を想うあまりに、ただ母一人だけを愛さずに別の女を大量に侍らせ、その上で大量の子を儲けている詩聖の存在を強く嫌悪していた。彼がその感情を隠している間、愛紀守は父親の警護役を担えるよう努力を重ねながらも幼い頃一緒に居られなかった弟とのより深い交流を求め、その態度はむしろ遥葉の心にフラストレーションを降り積らせて行った。 ある日、凶刃が彼女に襲い掛かった。握っていたのは弟で、何の前触れもなかった。 彼は、生まれてから一度も吐き出される事なく飲み込まれた無限の悪感情をその時初めて表現した。彼の姉は痛みと混乱と恐れで震えながら殆どを聞き流してしまったが、彼が語った、自分の父を殺そうという目論みだけは理解できていた。 二万円愛紀守の脳へ、沢山の選択肢とその未来が一斉に広がった。その目には、抵抗の意思はないという見積もりで背中を向けて、父の元へ歩いていく弟の背中が見えた。彼女は一つ閃いて、音を出さないように立ち上がって、その影に追い縋った。 彼女がその結末を理解したのは、既に床一面に血が広がった後。姉だったものは血塗れのままで助けを求めて走った。家族のうち聡明な数人がすぐに駆けつけ、慌てふためく彼女とは対照的な態度で魔法のように状況を察知し、美術品を扱うように優しく遥葉を抱き上げ、どこかへ運んでいった。二度と会うことはなかった。 幸か不幸か、彼女は傷を受けていた。正当防衛らしいという見解は案外容易に共有され、また遥葉と実家の間に結びつきが薄かったことで、無関係の家族たちに事態の真相を知らせないままにすることもできた。 それからずっと、彼女は罪を償う方法を探している。彼女なりの方法で、受け入れてくれた家族への感謝を表現しながら。

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