タグ： カサネノモリ

平凡な少女が居ました。 彼女の親は厳しく、なにか失敗しては激しく叱責される日々でした。 いつしか彼女は親の躾に恐怖し、失敗することを極度に恐れるようになりました。 しかし、どこまでも平凡な才しか持ち合わせていない彼女。 来る日も来る日も失敗を重ねていきます。 そんな彼女は叱責から逃れるべく「失敗したのは自分じゃない」と自身を騙しました。 「ねぇお母さま。お皿を割ったのは私じゃなくてあの子なの」 「テストで悪い点を取ったのは私じゃないの」 ……初めこそ火に油、言い訳をするなと烈火の如く𠮟りつけた彼女の両親でしたがしかし、 いつの間にか彼女が二つの人格を行き来していることに気が付きます。 自分を「わたし」と呼ぶ、失敗を恐れる弱い人格と。 自分を「アタシ」と呼ぶ、失敗を失敗と思わない強い人格。 医者に連れて行っても心因性のものであり、時間経過で様子を見るしかないと宣告される。 両親の求めた理想が折れるのには、十分すぎる診断結果でした。 彼女の両親は以降、厳しくすることを止め、なんでも彼女の自由にさせました。 彼女の望むことは何だって叶えようとしたし、叱ることもなくなった。 ……それでも彼女は何かと”失敗”しては入れ替わり続けていたのでした。 それから年月は流れましたが、彼女は相変わらず「2人」のままでした。 しかし変わったこともあります。彼女は成長する中、自身が二重人格であり、「異常」 であることを理解したのです。 それを理解した彼女は、まともな就職が叶わないことを察しました。 ……そこで目を付けたのが配信業。「異常」であることが逆に評価される世界、でした。 初めは「2人」で始めたものの上手くいきませんでした。 珍しさこそありましたが、彼女はそれまでコミュニケーションなどマトモに取れていなかった ので話すのも下手でした。 少し特殊なだけで、才能としては下の下であった彼女。 面白い企画も、見栄えのする編集も、小気味よい会話も。 どれもこれも、彼女の持っていないもの。 なら…… 集めよう。「私たち」を受け入れられる人たちを。 「私たち」を1つのピースとして、輝かせられる人たちを。 ・オカルト系配信チャンネルになったのに彼女からの深い意図はありません。 　二重人格と相性良いな、ってくらい。 「わたし」が祈乃狐。「アタシ」が千鶴狐。 ・技能の判定に失敗すると「千鶴狐」に押し付けます。成功すると「祈乃狐」が喜びます。 　→SANチェックは逆。失敗すると「祈乃狐」が泣く。 ・芸術(意識の切り替え)→成功すると人格を意識的に交換する。失敗するとそのまま。 ・高卒。23歳。空白の数年あり。 ・リーダー無能。 ・本名：砂土路川 祈(さどろがわ いのり) ・ソロ配信では、おまじないやらジンクスやらの検証を行うシリーズが主。 　「【これ何日かけて食べるの……？】食パンにジャム塗って百回落としてみた【マーフィーの法則】」 やら 「【競馬賭けずに予想してみる】今朝黒猫が目の前を通ったので多分全部外れる【黒猫が前を横切ると縁起が悪い】」 やら 【傘を持って出かけてね】限界までてるてる坊主逆さに吊るす【てるてる坊主を逆さに吊ると雨】 など。 むしろ失敗すると千鶴狐が出てきてスパチャが飛ぶ。

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