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歴史とは、生きた証である 歴史とは、歩んだ足跡である 歴史とは、眠る墓標である 物心付く前に両親を事故で亡くした山上は、両親についての記憶はない。 だが、両親が立派な人たちであった事は知っている。 それは彼の親戚、両親の友人たちから聞いたからである。 それは実家にある書斎に並ぶアルバムや、古いビデオテープを見たからである。 だから彼は、両親のことを知っていた。 誰かが語り、誰かが像を残し、誰かがその死を悼む。 彼にとって、両親という存在は教科書の偉人と何ら代わりはなかった。 何故、数ある学問の中から歴史を選んだのか聞かれたことがある。 確か高校の卒業式だったのを覚えている。 その時、彼は自分がどう答えたのかを忘れてしまっている。 しかし、その答えを聞いて寂しそうな顔をした担任の顔はよく覚えている。 彼はそれから世界を渡り、実際に史料や遺跡を見、聞き、そして触れた。 その道中で多くの人間と知り合い、語り合った。 孤児もひとり、行きずりで引き取った。 彼もまた、歴史の一部である。

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