タグ： 松永卓 みつたま

ぼんやりと、しかし確実に自身を苛み続けている、耐えがたい喪失感と殺しの記憶。 かつて知っていた手段は殺しだけ。とにかく殺せば降りかかる火の粉はすべて払えた。 だから殺す。何度でも、何度でも、姉妹を傷つけるモノは容赦なく。もう二度と大切なものを失わないために。 ただ姉妹がそこにいるだけで、彼女達の心は安らぐのだから。 二つの頭は男と女で二心同体。普段はたからものの衣装をマフラーのように巻きつけて女の顔を隠している。 首が異様に太く長く見えるのはそのせいだけど、この異様な世界で首が頭ひとつ分長いだなんて些細なこと、誰も気に留めないよね。 え？　どっちが本体かって？　それをここで教えちゃうのは野暮じゃない？ ■記憶のカケラ ９８【殺戮の天使】 人を殺すことを教え込まれた。何の疑問もなく、あなたは何度も人を殺した。 殺せば褒められた。今いるのは死なない世界。殺し続ける世界。もっともっと殺し続けたら、褒めてもらえるだろうか。 ０６【雨の中】 どしゃぶりの雨の中、あなたは立っていた。 雨の音と降り注ぐ水だけで、周囲の景色もわからない。雨は黒くも強酸でもない、ただあなたの体を濡らし冷やしていくだけ雨。 それがひどく懐かしく切ない。 【子守唄】 どんな辛い実験でも、どんな辛い拷問でも、この【子守唄】が僕たちを守ってくれた。 泣きじゃくる少年や少女、そんな彼らを守り、落ち着かせてくれた僕たちの母さんのような存在。 この子守唄にどれだけ救われただろうか。少年少女はいつの間にか眠りについてしまう。 そして、次に目を覚ましたとき、その女性はいなくなっていた。 【ネクロマンサー】 目の前で愛すべき人が人体実験を行われていた。 君は何もできなかった。助けることも、止めることも。 やがて、最愛の司が人体実験の末死に至ってしまう。 もう一度話したい、もう一度あの笑顔が見たい、もう一度逢いたい。 何とかして、君は司の亡骸を手に入れ禁忌を犯す。 そう、君は【ネクロマンサー】となり、司をアンデッドにした張本人だ。 【因果応報】 君は愛する司をアンデッドにした。その事実は揺るがないであろう。兄貴分のあの男と、最後の詰をしている最中だった。 だが、その時不幸な事故が起こり未完成である司のアンデッドが動き出した。俗に言う暴走というやつだ。 何とか止めようと奮起したが、どうにもならなかった。 縁寿はバラバラになり、君は首から下が形容しがたいものになってしまった。 薄れゆく意識の中、君はしっかりと見た。司が、血涙を流しながら君の頭部を抱えていた事を。 これが、禁忌を犯した【因果応報】というやつかも知れないと。 ■暗示 ６【喪失】 かつて、あなたは何かを失った。それは今も失い続けている。 命や記憶ではない……もっと別の、大切な何かを失ったはずなのだ。 【所持品】 蝶のブローチ：ベアトリーチェが手渡したブローチ。

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