タグ： 雪の先

ゆうきの高校の同級生。高1の頃はイギリスに留学していた。高2でゆうきと同じ高校に通い始める。本場でロックに触れ、ギターを始める。軽音楽部を見学するも、洋楽が好きだったためあまり上手く馴染めず、帰宅部。クラスメイトのゆうきが例のバンド（ウィンドフォールズ）のライブを見て以降、キーボードを始める。ゆうきはマイキーボードを持ち込み、1人毎日教室に残って練習をしていた。なんとなく気が合い、ピアノの経験を活かしてゆうきにアドバイスをしたり、ウィンドフォールズの曲を聞いてギターを弾いて合わせてみたりしていた。 プロになりたいという気持ちはあるものの、本当に自分程度でやっていけるのか、親の期待を裏切っていいのか（留学させたのも将来のためだった）、世間から一般的といわれるレールから外れてまで音楽と向き合えるのかと葛藤し、専門学校を諦め、英文科のある大学を受験。今度は軽音楽部に入部。大学内ではそれなりに有名なバンドにはなる。 プロとしてやっていく自信はなく、自分の音楽が否定されるのが怖くて楽曲を持ち込むこともできないまま就職活動を始める。ロックへの未練はあるし、大学の仲間にプロとしてやっていこうと誘われるものの、やはり夢を追う勇気がなかった。 地元では有名な企業に就職し、営業として良い結果を残す。しかし心にはロックへの心残りがあり、本当にこのままの生活を続けていて自分は幸せなのか？と会社から帰ると自問する日々。ロックを聞くのをやめ、ギターを捨て、音楽を振り切るように格闘技を始める。 そんな生活をしていたある日、営業先に向かう車の中で、バンド・シエスタの曲を耳にする。最近注目されているというこのバンドの曲に心を奪われ、仕事中にも関わらず、音楽サイトで購入して曲を聴く。シエスタのアルバムジャケットにゆうきを見つけ、「あいつは音楽ちゃんと続けて成功したんだなぁ」と感慨にふける。 機会があればまたゆうきと話してみたいが、こんな情けない自分を見せられない、どうして夢を追いかけなかったのか、と後悔する。同時に、ゆうきへの劣等感に強く襲われる。 ※ウィンドフォールズのことはネタバレになるので、「お前の推してたバンドの曲結局聞けてないよ」程度の発言にします。「あんなことになって……」とかは禁句で。

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