タグ： いかざこ

大学で学ぶ物理学徒。 小さい頃に雑誌で見た星空の写真から宇宙に興味を持ち、天文学と宇宙物理学を志した。 研究テーマは『宇宙空間の静的予測に対するコンピュータシミュレーションによる数学的アプローチ』 つまりは宇宙の未来をコンピュータシミュレーションで予測するための数式を見つけること。 生来からの読書家で、幼少から難解な本を読んでいたが、逆に体力はなく運動はからきしだった。 幼い時から病弱で、喘息持ちのため根っからの嫌煙家。ただ、人に迷惑をかけない限りは吸うのは自由だと思っている。 その悪い意味での人生経験の多さからか、幼少期からふた回りほど年上に見られることが多く、いよいよ以って老け顔になってきている。 対面は非常によく、礼儀正しい人間。だが実のところ、敬意を本当に抱いている人間はいない。 普段から嫌味や皮肉、飾らない言動が多く、人を選ぶような人間。基本的に気を使うのにひどく疲れる人間で、そういった関わりを嫌う。 女性観はドライなものだが、礼儀を重んじる。ひょっとすると、心の底では『理想の母親』を求めているのかもしれない。 ある程度心を開くと、口は悪いものの率直な言葉でものを言い豪放な性格のため、信頼されることがある。 だが、その性格にも裏がある。彼は、人間関係に関して妙に達観しているのだ。 『人付き合いなんてものに人生をめちゃくちゃにされる必要はない』『どんな大親友でも駄目だと思ったらバッサリ切る』という風に。 その根には、彼の育った環境があった。 彼の母は精神病を患っており、まったくの無気力無関心、育児放棄の時期と、幻聴と妄想にとらわれ、周囲に喚き散らす時期とを繰り返していた。 そんな中で彼の父は鬱を患い、何度も失踪を繰り返した。故に、彼に父親の記憶はほとんど残っていない。 そんな失踪を繰り返す父に対し、母は毎日、呪詛のように彼女の夫を罵った。そして同時に、その息子である彼自身も、『馬鹿の血を引いている』として、幻聴半ばに喚きながら。 幾度の失踪の挙句、父は死んだ。野垂れ死にのような形だった。 実の父の死体を見て、彼は『人の死体ってのはこうなっているのか』と思うだけだった。 それ以降、彼の母の症状は悪くなるばかりだった。あるときは彼に包丁を突き付け脅し、またある時は着るものをすべて捨てた。 そうしたときに問い詰めたとき、あまつさえ母親は我が子の首に手をかけた。 その時、彼は『こいつも駄目だ、切ろう』と思った。 そうして転がり込んだのは父方の祖母の家だった。だが、それがまた新たな苦しみの始まりだった。 父方の祖母は世間知らずの田舎者で、自分には絶対的な正義があるかのようにふるまい、同居人を馬鹿にしていた。 同じ同居人で、彼の叔父である男は、彼の父につられて鬱とニコチン中毒になり、すぐに癇癪を起こす男だった。 そんな間に挟まれながら、彼は育って行った。『お前たちは母と子のつながりなんだぞ』と言い続ける、母方の祖父も交えて。 そんな彼がはぐくんだ人間観は、決して一般的なものではなかった。だが同時に、あんな人間にはなるまいと足搔くあまり、自分を鎖で雁字搦めにしていた。 彼は甘えることも、頼ることも知らず、今日も疲れ切って人生を生きているのだ。どこかに救いを求めながら。

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ