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一人称:俺　二人称:お前　《沙々美》 霜之沙々美が勤務するコンビニ近くの小学校でスクールカウンセラーをやっているが正直子供は好きではない。むしろ嫌い。何でこんな仕事やってんだろうなと思いながら廊下の片隅にある狭い相談室で日々悩める児童達のカウンセリングを行なっている。 ちなみに話は半分くらいしか聞いていない。あまり深入りはしない主義。深入りしたら仕事にならないだろうとも思っている。 幼い頃両親が交通事故で他界。同じ車に自分も乗り合わせていたが、一人だけ奇跡的に生還した。しかしその後引き取り手や遺産問題で親族が揉め、あちらこちらをたらい回しにされる生活を送り、人間不信に陥った。事故後のPTSDの治療及び緩和のため、精神科医によるカウンセリングを受けていた時期があり、その際に「自分と同じようにPTSDに苦しむ人を助けられれば」と思ってカウンセラーの道を志す。が、志望した精神科や心療内科にことごとくおち、結果としてスクールカウンセラーに落ち着いた。「何で俺こんなとこにいんの？」 寄り添いたくない訳ではないがいかんせん子供がとにかく嫌いなのでうげえ…という感じ。たまにモンスターペアレントとも出くわすのでそれもやっぱりうげえ…という感じである。 外面はそれっぽく取り繕っているが、演技が下手なのか、あるいは生来の目つきの悪さか、滲み出る子供への嫌悪感ゆえか、「何であんな奴がカウンセラー？」と思われがち。当人もそう思われていることに薄々気付いているが、特に気にしていない。 何でもいいけどヘビースモーカー。銘柄はKOOL。酒は下戸でありほろよい舐めるだけで潰れる。 甘党。 大学受験と就職活動はそれなりに頑張ったが基本的には自堕落な性格であり、人生が人生なので少し捻くれたところもある。交友関係は非常に狭く、そして浅い。「知り合い」は多いが「友達」となるとお察しである。休日はベッドから出ず、食事もサボって一日中ごろごろするなど大概な生活を送っている。ベッド横の灰皿は常に吸い殻でいっぱい。 沙々美とはコンビニの店員と常連客という間柄だったが、ある日レジでクソ客ががなり立てているのに遭遇し、早く帰りたかったのもあって助けて以来の仲。個人的には「助けた」という訳ではなく、単にレジが詰まっていて迷惑だったので凄んで退かせたというだけであり、恩を売ろう、親しくなろうというつもりは全くなかった。が、見るからに怯えた様子の彼女に思わず声をかけてしまい、何故か自分が買ったクッソ甘いカフェラテを「まあ頑張れよ」と渡してしまった。以来無性に気にかかってしまい、話しかけて怯えられたり、ちょっと雑談したりしつつゆっくり仲良くなっていった感じ。 明らかに警戒されていることに気付きつつも声をかけるのを辞められなかったのは、その時すでに恋心が芽生えていたからなのか、それともカウンセラーとしての直感や救いたいという使命感あってのことなのか今となってはわからない。 長年人間不信を拗らせていた自分にとって、彼女に対する恋心は初めての感情であり、それなりに戸惑いや驚きもあった。想いを伝えるつもりもなかったが、少しずつ少しずつ心を開き、不器用だけれど笑いかけてくれるようになった彼女と言葉を交わしているうちに積もり積もった感情が爆発してつい告白してしまった。「俺何言ってんの？」になった。タバコの味もわからなくなった。

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